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ロータリエンコーダ編(上手な使い方)

ロータリエンコーダ編(上手な使い方)

(1) 軸のカップリング方法

エンコーダへ回転運動を伝達するために、何らかの機械的な結合手段が必要であり、方法としては、次のようなものがある。

1)直接駆動

エンコーダの軸にローラなどをつけて直接駆動する方法である。この場合、軸に過大な負荷がかからないようにする必要がある。 例えば図14に示すようにエンコーダをリンクアームに取付けて使用する方法がある。

2)段付ベルトによる伝達

図15に示すように段付ベルト(タイミングベルト)を使用した駆動方式であり、ベルトが段付であるためスリップがなく正確な伝達ができる。

また、ベルトが振動や衝撃を吸収してくれるためエンコーダに加わるショックが少ない。駆動軸に対しエンコーダの軸が多少ずれていても問題なく使用できる。 ただし、ベルトがゆるむと伝達が不正確になるため、ベルトがゆるまないようにテンションローラなどによるゆるみ止めが必要である。

3)歯車による伝達

加減速がやりやすく、すべりのない正確な伝達が可能であるが、かみ合い精度がでていないとエンコーダの軸に負荷がかかり破損の原因になる。 このため十分な精度保証ができない場合は採用しない方がよい。また、歯車の潤滑に使用するオイルがエンコーダにかからないような設置の必要がある。

4)フレキシブルカップリングによる駆動(弊社ではカプリングと呼んでいる。)

図16に示すようにエンコーダを駆動軸と同軸にカップリングを用いて結合する方法である。

エンコーダと駆動軸を結合する場合、お互いの軸の芯ずれがあると、エンコーダの軸や軸受けに過大な負荷がかかり軸や軸受けを破損してしまう。 これを防止するために必ずフレキシブルカップリングを使用する必要がある。フレキシブルカップリングはわずかな取付けのずれしか吸収することができないため、 あまり取付けのずれが大きい状態で使用しているとフレキシブルカップリングを破損してしまうことがある。カップリングの種類により吸収できる芯ずれの量が異なるため、 使用するカップリングの特性を確認し、必ずその範囲内で取付ける必要がある。また、カップリングの種類により、回転伝達精度も異なるため必要精度によりカップリングを選択する必要がある。 一般に使用されているフレキシブルカップリングの種類と特徴は表3のとおりである。

(2) 配線方法

エンコーダの出力信号はパルス信号であり、ノイズが重畳すると誤計数につながる。アブソリュート形の場合は誤計数があってもその後の計数には累積しないが、 インクリメンタル形の場合はそのまま累積してしまうため、ノイズ対策には十分配慮する必要がある。

配線上でノイズの誘導を受けないようにするための対策法を次に示す。

  • 1)エンコーダの配線は、他の動力線と平行したり、同一ダクト内に配線したりしないこと。制御盤内のリレーやスイッチ類から発生する火花はコンデンサやサージ吸収素子を使用し、できるだけ除去する。
  • 2)エンコーダからの配線は必ずシールド付きケーブルを使用する。シールドが0Vラインと別になっている場合、シールドはエンコーダ側で接地する。シールド0Vラインとして使われている場合はエンコーダに近いところで一点接地を行う。
  • 3)エンコーダの付いている機械の接地をとる。
  • 4)エンコーダを取付けた機械と制御盤が離れている場合は、両者の電位が同一になるよう太い導線で接続する。
  • 5)エンコーダ、電源、制御部を含む電気回路のラインを、どこか一箇所で接地する。

出典 : 社団法人 日本電気制御機器工業会「制御機器の基礎知識-選び方・使い方-センサ編」 2001年7月

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一部誤記修正しています。