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共通編 近接スイッチとは

4. 検査と試験

近接スイッチの性能、品質に関する試験方法、判定基準は、JIS C 8201-5-2に規定されており、これに準拠している。

ただし、1999年以前に開発された近接スイッチはこの限りではない。

(1)形式試験

形式試験は、JIS規格に適合していることを検証する試験であり、項目は以下のとおりである。

  • 1)温度上昇
  • 2)耐電圧性能
  • 3)異常条件及び標準条件での開閉素子の投入容量及び遮断容量
  • 4)条件付き短絡電流での性能
  • 5)構造に関する要求事項
  • 6)保護等級
  • 7)動作サイクル周波数
  • 8)EMC
  • 9)耐衝撃性
  • 10)耐振動性

この項では各近接スイッチで共通した試験であるノイズ性試験について示す。

近接スイッチのノイズ性試験は、JIS規格でEMC(電磁適合性)として耐ノイズ性(EMI)、ノイズ放射の制限(EMS)ともに規格化されており、項目は以下のとおりである。

(a)耐ノイズ性(EMI)としては以下の3項目が規格化されている。

  • <1>放射電磁界強度(JIS C 1000-4-3による)
       最小試験電界:3V/m、
       周波数帯域:80MHz~1000MHz
  • <2>静電気放電(ESD)強度(JIS C 1000-4-2による)
       金属エンクロージャ(筐体=ケース)をもった近接スイッチの場合、接触放電方式によって最小試験電圧4kV。
  • <3>金属エンクロージャをもっていない近接スイッチの場合、エアギャップ放電方式によって最小試験電圧8kV。

(b)ファーストトランジェント強度(JIS C 1000-4-4による)

  • リード線が2m未満の場合、最小試験電圧は1kV。
  • リード線が2mを超える場合、最小試験電圧は2kV。
  • ノイズ放射の制限(EMS)としては近接スイッチの最も悪い動作条件の元でエミッション限界値が表10のように定められている。
<表10 ノイズ放射の制限>
ポート 周波数範囲 限界値 規格
エンクロージャ 30Mhz~230Mhz
230Mhz~1000Mhz
10mの距離で測定して40dB(μV/m)準ピーク値
10mの距離で測定して47dB(μV/m)準ピーク値
CISPR11
AC電源 0.15Mhz~0.50Mhz
0.50Mhz~30Mhz
79dB(μV/m)準ピーク値
66dB(μV/m)平均値
73dB(μV/m)準ピーク値
60dB(μV/m)平均値
CISPR11

(引用 JISC 8201-5-2:1999)

これらの限界値は、もっぱら産業用環境で使用される近接スイッチに適用される。

家庭用環境のときは、下記の警告が使用に対する指示に含まれなければならない。

  • 警告
    • この製品は、クラスAです。
    • 家庭用環境においてこの製品は電波障害を起こす可能性があります。
    • この場合は、使用者が十分な対策を講じて下さい。

(2)受渡試験

通常、機械的検査と電気的操作の検証に限られている。一般に以下のような項目が実施されている。

  • 1)外観
  • 2)動作距離
  • 3)消費電流
  • 4)出力回路の動作
  • 5)耐電圧

出典 : 社団法人 日本電気制御機器工業会「制御機器の基礎知識-選び方・使い方-センサ編」 2001年7月

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一部誤記修正しています。