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ロータリエンコーダ編(選び方)

ロータリエンコーダ編(選び方)

(1) 方式

検出方式として光学式と磁気式があるが、それぞれの方式の特徴としては一般的に、磁気式は耐環境性の面で優れており、 光学式は信号精度の面で優れているということが挙げられる。(弊社で磁気式は取り扱っておりません。)

(2) 分解能

装置に必要な分解能によって決まるが、必要以上に分解能を上げることは得策ではない。高分解能のエンコーダは一般的に高価であり、 経時変化などによる信号精度への影響も受けやすい。また、接続される制御回路にも高速応答が必要になり、ノイズに弱くなるなどの問題も出てくる。 従って、機械系総合精度の1/2~1/4の精度が得られる分解能が適当と考えられる。

(3) 最高応答周波数

機械系の最大速度と分解能から計算した値がエンコーダの最高応答周波数以内であればよく、特に余裕を持たせる必要はない。 ただし、インクリメンタル形の場合、最高応答周波数付近で回転させたときの出力波形は正規のデューティ比である50%からずれている場合があるため、 エンコーダの信号を受ける制御回路の応答周波数はパルスデューティ変化を考慮した値でなくてはならない。

(4) 出力波形

一般のシーケンス制御に用いられる信号はオン/オフのデジタル信号である。したがって、エンコーダの出力信号もほとんどがデジタル信号である矩形波出力となっている。 また、インクリメンタル形の特殊タイプで三角波ないし擬似正弦波出力のものがある。これらの特殊出力のものは、増幅器や波形整形回路を別に必要とするので、 出力波形や出力回路の構成を確認する必要がある。また、矩形波出力の出力電圧は電源電圧により異なるので電源電圧と出力電圧の値をカタログにより確認する必要がある。

(5) 回転トルク

通常はあまり考慮する必要はないが、駆動源が非力である場合とか、駆動系にすべりがある場合には回転トルクの小さい製品を選ぶ必要がある。 また、シール性の高いものはオイルシールなどを使用している場合が多く回転トルクが大きいものが多いので注意する必要がある。

(6) 軸慣性モーメント

エンコーダは、シャフトとスリット円板を持つため、回転軸のまわりの慣性が存在し慣性モーメントをもっている。 このため使用する場合に必要な加速性能に合った慣性モーメントのエンコーダを選択する必要がある。 また、極端な加減速を行うとスリット円板取付部に大きな応力が加わり、スリット円板を破損することもあるので注意する必要がある。 スリット円板が金属製のものの方がガラス製のものより慣性モーメントが小さいので、 極端な加減速を行う必要のある場合は金属製のスリット円板のものを使用する方が望ましい。

(7) 許容軸負荷荷重

エンコーダは過大な軸負荷がかかった場合、信号精度の著しい変化、軸や軸受けの破損などが発生することがある。 このため装置に組込む場合、軸に負荷がかかるような使い方をする時はその荷重以上の許容軸負荷荷重のものを選ぶ必要がある。

(8) 耐振動耐衝撃性

エンコーダのスリット円板や軸受けは振動や衝撃に対し十分な強度を持っているとは言えない。特に、ガラス製のスリット円板を使用しているものは振動や衝撃によりスリット円板が破損することもある。 このため原則としてエンコーダの本体や軸に振動や衝撃が加わらないように注意して使用しなければならない。 やむをえず振動や衝撃が加わってしまう場合は振動や衝撃に対し考慮された製品、 例えば金属製スリット円板を使用した製品を使用するとよい。

(9) 保護等級

エンコーダの内部に、ほこり、水、油などが侵入すると正しい検出ができなくなったり破損につながる。 エンコーダの使われる環境を考慮し必要な保護等級のものを選択する必要がある。

出典 : 社団法人 日本電気制御機器工業会「制御機器の基礎知識-選び方・使い方-センサ編」 2001年7月

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一部誤記修正しています。