近接スイッチの性能を十分に発揮させるためには、その特性を考慮した使い方が必要である。ここでは各近接スイッチに共通する項目について述べる。
一番重要なことは、近接スイッチの仕様の範囲内で使用することである。
近接スイッチは電源投入後300ms以内で検出可能状態になる。負荷と近接スイッチを別電源にする場合は、必ず近接スイッチの電源を先に投入すること。
電源オフ時に出力パルスが発生する場合があるので、負荷あるいは負荷ラインを先行してオフすること。
無平滑の全波整流、半波整流電源は、リプルが多いため使用できないので、必ず平滑された電源を使用すること。
使用電圧範囲を超えて使用しないこと。使用電圧範囲以上の電圧を印加したり、直流電源タイプの近接スイッチに交流電源(AC100V)を印加すると、破裂したり焼損したりする恐れがある。
近接スイッチの出力は多くの種類があり、直接あるいはリレーを介して他の機器の入力に使用されている。正しく信号を伝えるためには、電源の種類、電流・電圧仕様が入出力間で整合している必要がある。
ここでは、代表的な留意点について述べる。
近接スイッチの固定用ナットやネジの締め付けトルクの許容度以上で取り付けないこと。
近接スイッチはさまざまな環境で使用することができるが、厳しい使い方、特殊な雰囲気中で使用する場合、あらかじめ十分な検討が必要である。
ここでは、代表的な留意点について述べる。
近接スイッチは非接触検出器であるから、検出体から離れて取付けられる。このため設定距離を不適当な値にとると、検出動作を行わなかったり、時々、検出しないという現象を生じたりする。誘導形近接スイッチ、静電容量形近接スイッチ及び反射形の超音波形近接スイッチ、光電形近接スイッチの場合は検出体の寸法が標準検出体より小形であれば、動作距離がカタログ定格値よりも短くなる。また、材質や表面状態が変われば、動作距離がカタログ定格値と異なる。従って、次のように実測を行う。
検出体を近接スイッチの基準軸上で動かし、動作距離を測定する。
カタログ定格値以内で、測定した値に余裕をもった(例えば70%以内)設定距離になるように近接スイッチを取り付ける。
なお、各近接スイッチの特性や感度調整の有無によって異なるので、詳細は各近接スイッチの使い方を参照されたい。
近接スイッチに検出体が衝突し、ケースが欠けたり、折れたりすることがある。このような事故を防ぐため、近接スイッチの周囲に適当な防護壁を設けると良い。
リード線に対する保護としては、コネクタ式のものは図25のようにステンレス製スパイラルチューブなどの保護管を接続すると良い。リード線引出し式の場合はできるだけ近接スイッチに近い場所でステンレス製スパイラルチューブなどの保護管に収容する。
<図25 保護管によるリード線の保護>