誘導形近接スイッチは検出体を非接触で検出できる検出器であるが、その形状や構造による種類がいくつかあり選択をあやまると検出できなかったり、不安定でトラブルの原因となる事が考えられる。 どの種類の誘導形近接スイッチを使用すべきか、考慮すべき事項を次に説明する。
■ 定格と特性 1. 定格 (4)保証動作距離で説明したとおり、実際の使用方法は誘導形近接スイッチの検出面に対し、垂直ではなく水平に検出体を移動させ、検出を行うので動作距離より保証動作距離が重要である。
保証動作距離は定格動作距離の81%以下であるので、検出位置精度を良くするためには、さらに余裕をとる方がよく、設定距離は定格動作距離の 50~60%にとると良い。
検出体の蛇行やコンベアの凹凸により設定距離がバラツクので、その分の余裕を持たせる必要がある。
以上の説明によれば、誘導形近接スイッチは動作距離の大きな種類を使用した方が良いように考えられるかも知れない。確実に検出させる場合は、そのとおりであるが検出位置精度を出したい場合、 及び小形物体検出のため分解能を上げたい場合は、逆に動作距離の短い種類を用いた方が良い結果が得られる。表3を目安にして適当なものを選んでいただきたい。
なお、検出体の材質が鉄以外の場合、誘導形近接スイッチの動作距離は標準検出体を用いて測定された定格値と比べ大差があるので、資料をよく調べるだけでなく、サンプルによる実測が不可欠である。
この場合、非磁性金属に感度の高い誘導形近接スイッチを使用することを検討するとよい。
種類の項で示したように誘導形近接スイッチには形状の異なる製品が多数存在する。
誘導形近接スイッチの動作距離は、ほぼ検出コイルの直径の半分に比例するので動作距離の大なる製品ほど、その形状は大形となる。
また、取付方法によっても、ボルトで固定する角形、柱形、外周部にねじを切ってある円筒形などがあり、使用場所に応じ適当な形状のものを選択するとよい。
負荷の種類に応じ、電圧出力、電流出力、交流開閉出力を使い分ける。
電圧出力用の制御電源装置として直流安定化電源と増幅器、出力用リレーを内蔵しているものは出力が接点出力なので、大抵の負荷に適合させることができ、便利である。
負荷の種類による誘導形近接スイッチ出力形式の使い分けは表4のようになる。
誘導形近接スイッチの応答速度は、電圧出力形、電流出力形が速く、交流開閉出力形が遅い。
したがって、高速応答を要求される場合は電圧出力形、または電流出力形を使用し、誘導形近接スイッチにつながる制御部も無接点制御回路を使用すべきである。
誘導形近接スイッチの検出面近くに検出体以外の金属体が存在すると、検出性能に影響を与え、見かけの動作距離が増大し不安定となる。
金属壁にあけた穴により誘導形近接スイッチをのぞかせる場合は、検出部の外周ケースに金属を用いた埋込み形を使用するとよい。(弊社ではシールド形と呼んでいる。)
非埋込み形では(弊社では非シールド形と呼んでいる。)、検出部周辺の金属体を、どの程度離せば影響がなくなるか、カタログなどに記載されているから、その指示にしたがうこと。
特殊な環境に対応する製品や特殊な機能を持つ製品があるので、用途に応じて選択するとよい。
(防爆タイプは弊社では取り扱っておりません)