本文

センサの上手な使い方

3. 出力

(1) はじめに

センサはその用途に応じて様々な出力を備えている。ここでは、各々の出力の特徴について述べる。

(2) 接点出力式

マイクロスイッチ、リミットスイッチやリレーの接点を出力開閉素子とするもので、電磁開閉器、小形モータ、ソレノイドなどと接続することを 主目的とし、数Aの電流を開閉できる。電子制御機器と接続する場合はバウンス時間、最小使用(=負荷)電流に注意が必要である。(図6参照)

<図6 接点出力式>

(3) フォトカプラ出力式

検出回路と電気的に絶縁されており、接点出力式と同様に絶縁形として使用でき、接点出力式に比べて高速、高頻度で開閉が可能である。10~50mAの電流が開閉できる。(図7参照)

<図7 フォトカプラ出力式>

(4) 直流3線式

1)電圧出力形

図8に示す出力回路を持ち、検出時に負荷に対し電圧信号を供給する。電圧出力形は電子カウンタ、無接点リレーなどのトランジスタやICで構成された電子制御機器と接続することを主目的に作られたものである。

<図8 電圧出力式>

2)電流出力形

オープンコレクタ出力形とも言う。図9に示すように、出力トランジスタ動作時、電流を吸い込むNPN形(カレント・シンク)、電流を吐き出すPNP形 (カレント・ソース)があるが、日本においては前者が一般的となっている。出力トランジスタには小容量のパワートランジスタが使用されており、 50~200mA 程度の電流を開閉できるようになっており、電磁リレー、電磁弁、直流ソレノイド、表示ランプなどの負荷を直接駆動することが可能である。

<図9 電流出力式>

(5) 直流2線式

この方式のセンサはリード線が2本であるため機械的リミットスイッチと同じように取扱うことができ、配線も容易に行うことができる半面、次のようなことに注意する必要がある。図10に出力回路及び電流の流れを示す。

1)センサオフ時でも、センサの検出回路への電流供給が必要なので、負荷には、わずかな電流が流れる。この電流をオフ状態(=漏れ)電流という。(弊社では漏れ電流と呼んでいる。)オフ状態電流のために負荷両端には 「オフ状態電流×負荷の抵抗値」の電圧が生じるため、高インピーダンス負荷を使用すると復帰不良を生じることがある。

2)センサオン時にも検出回路に電圧を供給する必要があるので完全にオンにはならず、数Vの「電圧降下(残留電圧)」が発生する。(弊社では残留電圧と呼んでいる。)このため電源電圧は、「電圧降下+負荷の動作電圧」の電圧値が必要となる。 一般にはオフ状態電流1mA以下、電圧降下3~4V程度である。負荷としては、プログラマブルコントローラ(以下PLC)、リレー、ソレノイド、ランプなどが適しており、TTLなど論理回路の入力上注意が必要である。また、無極性直流2線式は図11に示すように ダイオードブリッジを有しており、有極性直流2線式に対して、極性に注意することなく取扱うことができる。ただし、有極性直流2線式に対してさらに「電圧降下」が大きくなるため、この点に注意する必要がある。

<図10 直流2線式の電流の流れ>

<図11 無極性直流2線式>

(6) 交流2線式

AC100V、AC200Vの商用電源に接続して使用できるもので、50mA~1A程度の交流負荷電流を開閉できる。出力開閉素子にはサイリスタが用いられており、図12に回路図を示す。動作原理は直流2線式と同じ原理のため、センサオフ時でも常時負荷を通して電流が流れている。 またセンサオン時には内部回路に電流を供給するためサイリスタに非導通角を持たせるか、サイリスタと直列にツェナーダイオードなどを挿入するので、電圧降下が発生する。このため負荷の選定に際して注意が必要である。一般に交流2線式のオフ状態電流は3mA以下、 電圧降下残は10V程度である。動作不良、復帰不良の恐れがある場合は、あらかじめ負荷と並列にブリーダ抵抗を付けるのが望ましい。

<図12 交流2線式>

(7) 交流直流両用2線式

DC24~240V、AC48~240Vと電源範囲が広範でかつ交流・直流ともに使えるため、電源の種類に応じたタイプを準備する必要がなく保守・在庫の面で有効である。直流電源にて使用の場合、オフ状態電流に注意が必要である。(図13参照)

<図13 交流直流両用2線式>

(8) アナログ出力

アナログ出力には、計装用の出力方法(電流/電圧、代表例:4~20mA)と、専用コントローラを組合わせる出力方法(電圧)がある。リニアライズ回路を内部に有し、センサ出力とアナログ出力のリニアリティ(直線性)を改善したものを特にリニア出力形と呼んでいる。 電流出力形は負荷インピーダンス300Ω以下であり、付属の抵抗(250Ω)を接続することにより1~5Vの電圧出力が容易に得られる。電圧出力形は 1~5V、±10Vなどが一般的である。実際の使用に際しては、 応答時間・分解能・温度特性などが個々のセンサで異なるためメーカの発行する技術資料などを参照してもらいたい。(図14参照)

<図14 アナログ出力>

出典 : 社団法人 日本電気制御機器工業会「制御機器の基礎知識-選び方・使い方-センサ編」 2001年7月

掲載の記事・写真・図表などの複写及び無断転載を禁止します。 著作権は社団法人 日本電気制御機器工業会に属します。
一部誤記修正しています。