誘導形近接スイッチの動作原理は図3に示すように検出コイルより出る高周波磁界中に金属物体(検出体)が接近すると、 近接金属中に電磁誘導現象による誘導電流が流れ、金属内に熱損失が発生する。
この誘導電流による熱損失は、検出コイルを通じて発振回路より引き出されたものであり、この結果、発振回路は発振状態を維持することができず、 発振が減衰するか、または停止する。
近接スイッチ内に、図4に示すように発振状態を検出する回路があり、発振が減衰または停止すると直ちに出力信号を発生させる。
以上が最も広く使用されている方式の動作原理であるが、この他にも
などがある。
誘導形近接スイッチが検出状態になるためには、検出体中に誘導電流が流れ、誘導損失が発生しなければならない。
このため、検出可能な物体は導電性をもつ金属に限定される。また金属の種類により検出距離が異なり、鉄などの磁性金属は動作距離が大きく、 銅、アルミニウムのような非磁性金属に対しては検出距離が短くなる。
しかし、最近は非磁性金属に感度の高い誘導形近接スイッチも開発されている。
図5は誘導形近接スイッチの構造の一例を示す。
次に誘導形近接スイッチに使用されている主要部品について説明する。
検出体の接近を検出するためのもので、誘導形近接スイッチの重要部品である。
図6は検出コイルの一例を示す。同図 aは検出コイルの構成部品、同図bは各部品を組立てた状態を示す。
コアは高周波特性の良い材料(例えばフェライト)で作られ、コイルの特性を高めると共に磁束を前面に集中させる効果を持つ。
キャップは一般に合成樹脂製で検出コイルを外部雰囲気から遮断、保護するが、磁力線は自由に通過できる。検出面でのキャップの厚みは1mm前後と極めて薄く作られている。
検出コイルは近接スイッチの重要部品であるが、上記のように薄い合成樹脂製のキャップで保護されているだけであるから機械的にも弱く、 この部分に無理な力を加えると検出コイルが破損することがあるから取扱いには十分注意してほしい。
トランジスタ、ダイオード、抵抗、コンデンサなどがプリント基板上に搭載されて発振回路、発振状態検出回路、出力、電源回路などを構成している。
また、形状が小形化されるに伴い、モノリシックICや、ハイブリッドICを用いている。
検出状態になると点灯する動作表示灯には発光ダイオードが用いられている。
一般に安価で比較的小形の製品に多く用いられている。機械的強度と周囲環境に対する耐性がやや不足ぎみではあるが、それらの問題がない場所での使用には好適である。
主として、機械的強度を必要とする製品に用いられている。
また円柱形で外周部にねじを切ってあるものも金属製が多く、取付穴の内面にタップを立て近接スイッチをねじ込んで固定する場合などの用途に適している。
外部接続のための端子台を持つものや、コネクタを使用するものがあるが、一般にはリード線引出式がとられている。
リード線をリード線取付口の近くで鋭角に曲げるとリード線取付口に無理な力が加わり、近接スイッチ内部の気密性が損なわれたり、 リード線の外皮に亀裂が入るなどの不具合が発生することがあるので注意を要する。
リード線取付口にブッシングなどが用いられているのは、リード線の曲げを制限するためである。
通常、近接スイッチは組立終了後、充填樹脂により密封される。
これにより、部品の固定と防振を図ると共に水、油などの浸入を防止する。
充填樹脂には、エポキシ樹脂、またはシリコン樹脂など、溶剤を含まず、触媒により硬化を行う樹脂が用いられる。
近接スイッチを機器に装着するための取付構造にはボルトによるもの、ナットによるもの、専用の取付具を使用するものなどがあり、その代表例を図7に示す。
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