CCF(Common Cause Failure)

CCFの概念

CCF (Common Cause Failure)とは一般に、複数の系統の機能などがある共通の原因によって共に損なわれてしまうような故障のことを指す言葉です。PLの評価においては、チャンネルの同時故障に対する耐性の高さを表すパラメータとして使われています。CCFはいわば安全関連部の設計及び施工の技術管理的な信頼性の指標です。建物でいえば地盤のようなもので、たとえ強い建物であっても地盤が弱いところに建てたら崩れてしまうのと似ています。

DCの概念

CCFはブロック図上で評価するのではなく、設計上の仕様の余裕度や実機での部品の取り付け状況や配線状況などを点数化して評価するものです。評価の点数は、共通原因を排除するのに有効な安全原則をどれだけ用いているかによって変わります。
CCFは、ISO 13849-1の附属書F、表F.1で提供されている共通原因故障を低減させるための方策のリストに従って、該当する項目をチェックしてその点数を加算することで求めることができます。
カテゴリB、1においてはCCFを考慮する必要はありませんが、カテゴリ2、3、4の安全関連部ではCCFが65点以上であることが求められています。

ISO 13849-1:2015(JIS B 9705-1:2019)の附属書F におけるCCF の見積り

(JIS B 9705-1:2019 附属書F 表F.1よりオムロン編)

No. CCFに対する方策 得点
1 分離又は隔離
  信号経路間の物理的な分離、例えば、
 ー配線及び配管での分離
 ー動的試験によるケーブルの短絡および断線の検知
 ー各チャンネルの信号経路の個別シールド
 ープリント基板上での回路間の十分なクリアランス及び沿面距離
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2 多様性(ダイバーシティ)
  異なる技術的方式、設計又は物理的原理の使用。例えば、
 ー第1チャンネルは電子又はプログラマブル電子方式で、第2チャンネルは電気機械式のハードワイヤ方式
 ー安全機能の各チャンネルは異なる信号によって始動(例えば位置、圧力、温度)
 及び/又は
 デジタル及びアナログによる測定(例えば距離、圧力又は温度)
 及び/又は
 異なる製造業者によるコンポーネント
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3 設計、適用又は経験
3.1 過電圧、過圧力、過電流、過熱などに対する保護 15
3.2 使用のコンポーネントは、"十分吟味されている" 5
4 査定・分析
  制御システムの安全関連部の各部に対して、FMEAが実施されており、その結果は、設計段階において共通原因故障を回避するために考慮されている 5
5 適格性(能力)、訓練
  共通原因故障の原因と結果を理解できるような設計者の訓練 5
6 環境面
6.1 電子/電気システムに対しての、適切な規格(例えば、IEC 61326-3-1)に従ったCCFに対する汚染防止及び電磁妨害の防止 (EMC)
流体システム:圧力媒体のろ過、ほこりの侵入の防止、圧縮空気の水抜き、例えば圧力媒体の純度に関してはコンポーネント製造業者の要求事項に従う。

注:流体システムと電気システムとの組合せに対しては、これらの両面を考慮することが望ましい。

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6.2 他の影響
温度、衝撃、振動、湿度のような全ての環境関連(例えば、関連規格で規定されるような)の影響に対して耐性の要求事項を考慮する。
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  合計 最大100
合計得点 CCFを回避するための方策
65以上 要求事項に適合
65未満 要求事項に不適合 → 追加方策の選択

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