機械安全が求められる背景

人の変化

社会の構造的な変化に伴い生産現場で働く人たちの層はこれまでとは変わりつつあります。例えば、熟練労働者の退職による減少、少子化による労働人口自体の減少、雇用形態の変化による派遣労働者の増加や海外出身の労働者の増加といった傾向が顕著になっています。また、年齢、性別、経験年数、言語、習慣など働く人の持つ側面はこれまでの均質な労働者像とはことなり、幅が広くなってきています。

人の変化

機械や生産設備の変化

今日の社会では消費者のニーズが多様化し、よりバリエーションのある製品が求められています。これに合わせて生産の現場でも多品種を比較的短い期間で切り替えることが多くなり、これに伴い生産設備の変更も頻繁になってきています。また生産する際に、必要となる個々の機械も多機能化を求められるなどの変化が起きています。
このように変化する労働環境の中では生産に従事する労働者にも新たな技能の習得や作業手順の理解などの対応が求められます。

機械や生産設備の変化

使われる場所の変化

市場のグローバル化という大きな流れの中で、生産の現場が同じ場所に留まらず広く国境を越えるようになってきました。各国の国内産業はより強い製品競争力そして新たな市場を求めてBRICsに代表されるような新興工業国に生産拠点を求めるようになりました。そして国境を越えた新たな生産拠点とは、法令やインフラなどの枠組みはもとより、文化、習慣、民族性などさまざまな価値観の異なる環境になります。これまで各国内の産業で蓄積されたノウハウの結果である生産設備や機械もこれまでとは異なる人的環境の中で使われることになります。

使われる場所の変化

社会の認識の変化

今日の成熟した市民社会では、企業が社会に対し、社会的責任を果たすことが求められています。例えば、製品の製造者は消費者に対して製造物責任を果たさなければなりません。各国によって事情は異なりますが、消費者を保護するための製品安全については既に法令によって明文化されています。(例えば、米国、日本における製造物責任法、EUにおけるEC諸指令など)様々な製品事故を例に挙げるまでもなく、人間の尊厳という理念が広く共有された社会では安全と安心に対する事業者の責任に厳しい目が向けられています。そしてその理念を元に、生産の現場における労働者の安全にも同様に事業者に厳しい責任が問われるようになってきています。(例えば、米国におけるOSHA、日本における労働安全衛生法、EUにおけるEC諸指令の整備など)万一の労働災害は企業にとって、単に刑事責任、民事責任、損害賠償責任を問われるだけでなく、企業イメージを大きく傷つけることになります。このように労働者の安全に対して事業者が果たすべき社会的責任の重さは過去とは比較にならないほど重くなっているといえます。

このように人と機械の関係、そしてそれらをとりまく環境は地球規模で変化が起きているという事実があります。しかしながら、人が機械を動かしてはじめて生産が可能になるという事実にも変わりがありません。変化する環境を超えて、どこで誰が使っても安心して使える生産設備や機械が求められています。その解決を働く人の努力といった人的な対応にだけ求めるのではなく、機械というハードウェアの技術に基づいて解決することこそ重要です。そしてその安全性を世界共通に計ることができる基準が今日の生産現場では必須のものとなってきました。これが「機械安全」の考え方です。

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