リスクアセスメントとPLの関係

リスクアセスメント手順とリスク低減の反復プロセス

ISO 12100における機械のリスク低減の手順は、リスクアセスメントの分析に続くリスク低減の一連のフローに従います。
リスク低減の方策に関しては以下の3つのステップがあります。

  1. 1.

    本質的安全設計方策

  2. 2.

    安全防護、付加保護方策

  3. 3.

    使用上の情報

このうち安全防護や付加保護方策には、セーフティスイッチやセーフティライトカーテンといったインターロック装置や非常停止装置などの安全機器が多く用いられています。これらの機器は単体で動作することはまれで、通常これらを入力とした制御回路とその結果が伝達される出力回路で安全関連部を構成しています。
このような、制御に基づくリスク低減方策を実施する場合だけがPL評価の対象です。ISO 13849-1では、制御に基づくリスク低減の設計プロセスを下図のように具体化し、ISO 12100との整合をはかっています。

リスクアセスメント手順とリスク低減の反復プロセス

PL評価の対象となるリスク低減方策

リスク低減方策が制御システムと無関係であれば、PL評価の対象ではありません。制御で安全方策をとらない場合、たとえば固定の安全柵など機械的な保護構造物やロックアウト/タグアウトのような運用による安全方策は、PL評価の対象にはなりません。そのためPL評価の際には、まず機械のリスクアセスメントシートを見直して、リスク低減方策のうちPL評価の対象となる項目だけを抽出するところから始めていきます。

NO 装置名 危険源 危険事象 リスク 許容可否 リスク低減方策 PL評価の対象
1 プレス機 押しつぶし プレス作業中に他の作業者が横から手を入れてワークを取り出そうとし手を挟まれる。 × 光線式安全装置で防護する。
2 制御盤 充電部との接触 部品交換中に誤って充電部に接触し感電する。 × 制御盤に主電源断路器を設ける。  
3 コンベア 引込み、捕捉 作業服をコンベアに巻き込まれ、引きずられて全身をすりむく。 × 一定間隔で非常停止スイッチを設ける。
4 ケーブル つまずき 床面にケーブルが露出しており、作業者がつまずき転倒する。 × モールを敷設する。  
5 ワーク置き台 不自然な姿勢 ワーク置き台の高さが低すぎるため長期間の労働により腰を痛める。 × 台の高さを是正する。  

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