生産構内にある狭路、段差、階層を越え
自動搬送エリアを拡張したモバイルロボット
導入事例:
旭光電機株式会社
商品名:モバイルロボット「LDシリーズ」
搬送 省力化・自働化 情報化
人による搬送を年間1000時間削減したモバイルロボットによる自動化
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1. 段差のあるフロアを跨ぐリフトを活用した搬送、エレベータを使った階層搬送の実現
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2. 狭い通路での運用を可能にしたモバイルロボットの搬送経路設定の工夫
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3. 社内設計したローラコンベア移載機構の標準機と、カート搬送機構への展開
旭光電機様は主に産業用機器に組み込まれて使用されるユニット機器を生産されています。
段取り替えが多い小ロット生産を行っていることから生産品種が増えるにつれて次工程が離れた場所に配置され、作業者の搬送にかかる負担が重くなってきました。
そこで運搬作業をロボットにより自動化することを目指しました。
自動搬送の計画は
① 1F SMT職場より基板を収納したラックを、基板検査職場への自動搬送
② 1F SMT職場より基板を収納したラックを、2Fへ揚げる昇降リフトへの載せ替え
③ 2F 昇降リフトから、渡り廊下リフターを経由して組立課への自動搬送
④ 2F 組立課から1F、3Fへエレベータを用いた階層を越えた自動搬送
⑤ 大きな箱や多量搬送対応へのカート搬送の導入
の順番に搬送ルートの展開拡張をしていくとともに、搬送荷物の種類も増やしてきました。
旭光電機様からの説明をご紹介いたします。
① 自動搬送 生産工程内には通路が狭いところが多く、ロボットが対向すると停止してします。これを防ぐために走行ルートを細かく区切り、搬送ロボットの走行中のル―トを把握し、すれ違うことができないルートでは事前に広い場所で待機する仕組みをつくりました。
搬送の搬送先を判別するために生産管理システムと紐づけたRFタグを設備で読み取ることで自動搬送を実現しております。
② 垂直昇降 搬送ロボットから垂直搬送機への荷物の受け渡しでは、決まった位置に停止する必要があったため、搬送ロボットの機能の一つである磁気テープ読み込みを使用しております。また荷物を垂直搬送機に渡した後、移動制御をロボット側に遷移させるとその場で方向転換を行い、周囲とぶつかるため安全に方向転換できる場所まで誘導してから移動制御をロボットに遷移させることで対応しました。
③ 段差リフト 高さの異なる2つのフロアを搬送ロボットでつなぐために、渡り廊下にリフトを設置しました。リフトには遠隔操作を可能にするため、通信機能をもったマイコンボードを搭載した制御ボックスを作成し、外部信号でリフトの操作が可能となるシステムを構築しました。
④ エレベータ 段差リフト同様に遠隔操作が可能となるシステムを構築しましたが、人用のエレベータに搬送ロボットを載せるということで、人と搬送ロボットがどのように共存できるか運用面から考えていきました。結果、安全面を考慮し搬送ロボットが使用しているときには人が乗れない仕様となりました。搬送ロボットがエレベータに載りこむには開口部が狭く、磁気テープを利用して位置精度を高めても、最適な位置を割り出すのに苦労しました。
⑤ カート搬送 当初は上物で設計したコンベアで搬送していく計画でしたが、多くの部材をまとめて運びたいとの要望に応え、カートで運ぶことを検討しました。既製のカートは大きくエレベータに載ることができなかったため社内でエレベータに載せられるサイズでかつ、コンベア付きのLDが潜り込めるサイズの設計に苦労しました。
ロボットの運用に携わられた萩野課長からは 「 導入前に台車を人が運んでいた時に比べて、運ぶムダを年間で1000時間以上なくすことができました。また導入前はまとめて運ぶために、仕掛品を一時置きする場所が必要でしたが、搬送システム導入後、リアルタイムで搬送することで、スペースを空けることにも貢献できました。」 とコメントをいただきました。
池田係長からは 「 高低差のある工場で運用するには各設備と上位システムとの連携が重要となりますが、試行錯誤することで何とか行うことができました。LDは通路の狭いところでも運用することができました。」との評価をいただきました。またここまでの成果で満足されることなく、さらに洗練された工場を目指して改善を行っていくとの想いをお聞かせいただきました。
旭光電機株式会社
自動ドア、鉄道、船舶などで培ってきたセンシング・コントロール・無線通信ネットワーク技術を核にして、常に独創的な開発テーマに取り組んでいます。これらの技術は幅広い分野に応用され、安全で快適な暮らしを支える役割を担っています。
旭光電機の生産・製造技術部門は充実した設備とこれまで培ってきた製造技術で、信頼できる高品質な製品をご提供できるように独自の生産管理システムと試験設備で万全の品質管理を行っています。工場構内にはモバイルロボットによる生産仕掛品の工程間自動搬送システムを導入しており、国内外からの見学者も増えています。