食品業界で押さえておくべき
トレーサビリティ関連の規格・法規制
2001年に日本で発生した牛海綿状脳症(BSE)問題をきっかけに食品に対するトレーサビリティが見直されました。また、その後に発生した食品偽造問題等により、さらなる食品の安心・安全管理を求められるようになりました。
また、食品のトレーサビリティを実現する手段として、バーコードや2次元コードが使用されるようになり、品目情報以外にも生産地、生産者の情報を始め、賞味期限、消費期限等も表示されています。
最近では、アレルギー対策として食品の成分も表記するように食品表示法が改正されました。
また、コンビニやドラッグストアチェーンでは、RFIDを活用して流通における効率化や在庫管理の利便化、および人手不足への対応が行われようとしています。
ここでは、原材料識別のためのバーコードガイドラインについて紹介します。
原材料識別のためのバーコードガイドライン【GS1 標準準拠】
GS1では、原材料メーカー、加工食品メーカー対象に効率的な管理・トレーサビリティの確保にむけて「原材料識別のためのバーコードガイドライン」を制定しています。
■ ガイドラインの狙い
本ガイドラインでは、以下の3点を実施することにより原材料メーカー、加工食品メーカーの双方が正確かつ効率的な原材料管理とトレーサビリティを実施することができる環境を目指しています。
- 1)原材料メーカー、加工食品メーカー間の取引では国際標準であるGTINで原材料を識別する。
- 2)原材料メーカーにて原材料にGTIN、日付情報、ロット番号をバーコードに表現する(原材料メーカーによるソースマーキング)。
- 3)原材料メーカーが表示したバーコードを活用し、これまで手作業で実施していた作業・記録をシステム化する。
出典:(一財)流通システム開発センター「原材料識別のためのバーコードガイドライン
■ ガイドライン活用のメリット
原材料メーカーで国際標準に準拠したバーコードを表示し、そのバーコードを原材料メーカー・加工食品メーカーの双方で活用することにより以下のメリットが期待されます。
- 1)精度の高い入出荷業務を効率的に実現できる。
- 2)入出荷データをすばやく正確に記録・保存できる。
- 3)出荷記録に関する迅速な問合せに対応できる。
- 4)企業の信頼性向上。
■ ガイドラインで対象とする原材料
本ガイドラインが対象とする原材料は、加工食品を製造する際に使用する、穀物、豆類、鶏卵、食用油 脂、調味料、香辛料、添加物等および資材(包装材・ダンボール・フィルム・容器等)です。
なお、食肉、青果(野菜・果 物)、水産物等の生鮮品や衛生用品は対象外です。
■ バーコードに表現するデータ項目の考え方
加工食品メーカー、原材料メーカー間で取引きされる原材料のバーコードに表現される項目は以下の基本原則をもとに定められました。
- 1)ロット単位で原材料を識別するために必要な最低限の項目
- 原材料の入出荷管理やトレーサビリティに必要な最低限の項目を基本とします。
商品規格書や商品情報のデータベースから参照できる情報(例:原材料名、商品規格書番号、製造工場名など)はバーコード化しません。
出典:(一財)流通システム開発センター「原材料識別のためのバーコードガイドライン
- 2)企業間取引に必要な項目
- 原材料をロット単位で識別するデータ項目は企業間の取引きに必要な項目に絞り込みました。加工食品メーカーが自社の内部工程管理に必要な情報を要求すると、原材料メーカーの対応のハードルを上げることになり、本ガイドラインでは推奨していません。原材料を受領した企業が自社内の工程管理に必要な情報があれば、原材料入荷時などに、自社でその情報を追加してラベルを発行し、貼付します。
■ ポイント
- ・食品管理に使用されるGS1-128やGS1-QRコードを高速で正確に読取るバーコードリーダや2次元コードリーダが不可欠です。
- ・入出荷工程では、各種リーダで読取った食品データを基に仕分けや検品をする必要があり、PLCや制御コントローラとのスムーズな連携が必要になります。
- ・コンビニ対応では、ソースマーキングされたRFタグ(ISO/IEC 18000-63)を出荷工程や流通工程で読取る必要が出てきます。
*本内容は、「原材料識別のためのバーコードガイドライン」 を参考に記載しています。
「原材料識別のためのバーコードガイドライン」 は、(一財)流通システム開発センターのホームページから取得できます。