注意事項とPL算出条件

実際に回路設計の際には、こちらを必ずご参照ください。

注意事項

1. 安全関連部の回路構成

本章の接続事例は、機械の制御システムにおける安全性を確保するための一構成部分にすぎません。実際の回路構成の際には、接地や配線保護等による断線・短絡等の防止が必要です。具体的方策については、関連規格を参照して設計・施工してください。また、機械システム全体の安全性に関しては、第三者認証機関等による確認を得ることを推奨いたします。

2. PLrの決定

安全方策の性能指標であるPLrは、リスクアセスメントの結果として決定されます。実際の安全関連部の設計の際には、機械の仕様に加えて機械の設置・使用・廃棄までの作業環境も考慮したリスクアセスメントを実施し、適切なPLrを決定することが必要となります。

3. 2チャンネル入力について

セーフティドアスイッチ等の位置検出機器の接点信号によりガードの開閉を検出する場合は、その回路構成にも注意が必要です。ガードの開閉確認のために、複数の接点を持つ位置検出機器に内蔵の2接点を制御部(安全コントローラ等)に2チャンネル入力している回路構成がとられる場合があります。しかしこういった構成の場合、操作キーの挿入不具合や過度の衝撃による位置検出機器のヘッド部破損等の原因で、2接点ともが共通原因故障を起こす可能性があります。リスクアセスメントの結果に応じて、1つのガードに対して2個の位置検出機器を使用することで開閉確認を行うなどの方策を検討してください。ISO14119:2013の箇条8.2には、1個の位置検出機器の内蔵2接点を使用してPLeを達成することは一般的には不可能であることを示唆する記述もありますので、PLrの選択とともに部品選択についても十分に吟味してください。

4. セーフティコンポーネントの役割

安全に関わる制御システムは、インタロック装置の故障時にも危険の生じる確率を最小限にする設計が必要となります。セーフティコンポーネントは、例えばスイッチの直接開路動作機構やリレーの強制ガイド接点機構など規格で規定されている機能を備えていますが、これらは安全に関わる制御システム構築の中でその機能を発揮するように設計されています。

5. セーフティコンポーネントの使い方

セーフティコンポーネントを使用する際には、弊社カタログ及びマニュアルに記載されている注意事項をご参照ください。特に、電磁ロック・セーフティドアスイッチの使用時には、ガードの閉状態を維持するための適切な固定手段を併用するようにしてください。スイッチ本体を、ガードをロックするための部材として使用した場合、ガードの自重、機械設備の振動、ロック状態における誤操作や、開閉動作時の衝撃などにより電磁ロック・セーフティドアスイッチの機能に異常をきたす場合があります。

6. 侵入検知と存在検知

セーフティライトカーテンは、指、手および人体等の侵入を検知する機能を基本的特徴として使用されます。全身がライトカーテン検出区域を通過し危険領域に滞在できる場合など、危険領域での存在検知機能が必要な場合は、セーフティマット・セーフティレーザスキャナなどとの併用設置を推奨いたします。

7. リセット方式

本回路事例では、原則としてマニュアルリセット方式を採用しています。特に非常停止回路については、規格において手動でのリセットとすることが求められています。保護装置を用いたインタロック回路でオートリセットを採用する場合には、ISO12100:2010 箇条6.3.2.5.3、箇条6.3.3.2.5も参照ください。また各リセット機能の構築については使用する機器のカタログ及びマニュアルの接続回路例もご確認ください。

8. コンタクタ

主接点溶着時、モニタとして使用される補助NC接点が機構的に同一故障を起さない機能(ミラーコンタクト)を備えた機器を推奨いたします。

PLの算出条件

ここで説明する接続回路例は以下の使用条件をもとにPLの評価をしています。
ただしこれらはあくまで例であり、実際の回路では実使用条件を確認のうえお客様自身での評価をお願いします。

機器 安全機能(セーフティコンポーネント) 年間の操作要求回数(Nop)*1
入力機器 非常停止スイッチ 500
セーフティ・リミットスイッチ
(ガードインタロックに使用される場合)
27,500
電磁ロック機能なしのセーフティ・ドアスイッチ
(非接触式ドアスイッチ含む)
22,000
電磁ロック・セーフティドアスイッチ 11,000
セーフティライトカーテン/マルチビームセンサ/シングルビームセンサ 27,500
両手操作制御装置 27,500
セーフティレーザスキャナ/セーフティマット 11,000
  イネーブルスイッチ/イネーブルグリップスイッチ 500
制御機器 セーフティリレー 関連する入力機器の操作要求の総和による
セーフティ・コントローラ
出力機器 サーボ/インバータによる動力遮断(STO)*2 関連する入力機器の操作要求の総和による
コンタクタによる動力遮断(停止カテゴリ0)*3

*1. 稼働時間を12時間/日で220日/年とした場合
*2. EDM機能を有する機器とする
*3. ミラーコンタクトを有する機器とする

オムロン商品の信頼性データについては、下記ページにて入手ください。

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