ISO 14119に基づくインターロック装置の種類
ISO 14119とは
ISO 14119は、ガードの開閉条件に応じた制御システムとのインターロックを構築するために用いられるインターロック装置(キー式のドアスイッチ、リミットスイッチ、非接触式ドアスイッチなど)の設計・選択に関する原則を示した規格です。
2022年現在の最新版は2013年に発行されたISO 14119:2013であり、対応するJISが2019年にJIS B 9710:2019として発行されています。
インターロック装置のタイプと代表例
ISO 14119:2013では、ガードの開閉を検知してインターロック回路を作動させるために用いられるインターロック装置を、作動原理と「コード化」の有無によって4つのタイプに分類しています。規定されているタイプとその代表例は以下のとおりです。
タイプ | 作動原理 | アクチュエータ | 代表的なオムロン商品 |
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タイプ1 | 機械式 (例:物理的接触/力) |
コード化なし (例:回転カム/ヒンジ) |
セーフティ・リミットスイッチ D4N
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小形セーフティ・ヒンジドアスイッチ D4NH
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タイプ2 | 機械式 (例:物理的接触/力) |
コード化あり (例:タン形状のアクチュエータ*1) |
小形セーフティ・ドアスイッチ D4NS
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小形電磁ロック・セーフティドアスイッチ D4SL-N
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タイプ3 | 非接触式 (例:誘導式) |
コード化なし (例:磁性体) |
なし |
タイプ4 | 非接触式 (例:磁気式/RFID) |
コード化あり (例:コード化マグネット/コード化RFIDタグ) |
非接触セーフティドアスイッチ D40A-2 小形非接触式ドアスイッチ D40A ![]() |
高コード非接触式セーフティドアスイッチ D41D
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高コード電磁ロック・セーフティドアスイッチ D41G*2
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*1. ISO 14119:2013では“Tongue (shaped actuator)”と記載されています。オムロンのセーフティドアスイッチの場合、「操作キー」として提供しているものがこれにあたります。
*2. D41Gは、電磁ロックの機能は機械式の機構で行っていますが、ガードの開閉検知はRFIDを用いた非接触式のため、タイプ4に該当します。
インターロック装置の「コード化」
インターロック装置のタイプを規定している要素の一つに、アクチュエータの「コード化」の有無が挙げられています。ここでの「コード化」とは、インターロック装置を作動させるためのアクチュエータの設計がスイッチに対応した形状/仕様となっていることを指します。ISO 14119:2013においては、タイプ1、タイプ3ではコード化なし、タイプ2、タイプ4ではコード化ありとされています。そのためタイプ2、タイプ4のインターロック装置を使用する場合には、この「コード化」されたアクチュエータを用いることとなります。
例えばタイプ2の小形セーフティ・ドアスイッチ D4NSは、専用の操作キーを挿入したときのみ作動させることができます。タイプ4の非接触式ドアスイッチ D40Aも、作動させるためには専用のアクチュエータが必要です。これらはいずれも「コード化」されたアクチュエータとみなされます。
この「コード化」されたアクチュエータは、さらに、コードの数(作動させられるスイッチとアクチュエータとの組合せ)によって以下の3つの階級に区分されています。コード化レベルが高いほど、スイッチとアクチュエータとの組合せに多くのバリエーションをもたせられる仕様となっています。
- 低コード化アクチュエータ (low-level coded actuator):コード数が1~9のもの
- 中コード化アクチュエータ (medium-level coded actuator):コード数が10~1000のもの
- 高コード化アクチュエータ (high-level coded actuator):コード数が1000超のもの
例えば、タイプ4の非接触式ドアスイッチの中でもD40Aは、組み合わせて使うことのできるアクチュエータが一種類であることからコード数は1となり、低コードに分類されます。一方D41Dは、組み合わせて使うことのできるアクチュエータに1000種類以上の個別のコードを書き込めることからコード数は1000超となり、高コードに該当します。
インターロック装置のタイプと「コード化」レベルの選択の考え方
インターロック装置のタイプは、インターロック装置を取り付ける機械やそのガードの仕様や、アプリケーションの特徴に応じて選定します。「コード化」のレベルは、インターロック装置の無効化の動機の有無や、無効化の動機が無くせない場合に選択できる追加方策との兼ね合いで選択します。
「コード化」レベルと無効化に関する詳細についてはインターロック装置の無効化可能性の最小化を参照してください。