ISO 14119に基づくインターロック装置の種類

ISO 14119とは

ISO 14119は、ガードの開閉条件に応じた制御システムとのインターロックを構築するために用いられるインターロック装置(キー式のドアスイッチ、リミットスイッチ、非接触式ドアスイッチなど)の設計・選択に関する原則を示した規格です。

2025年1月現在の最新版は2024年に発行されたISO 14119:2024です。

インターロック装置のタイプと代表例

ガードの開閉を検知してインターロック回路を作動させるために用いられるインターロック装置は、その作動原理と「コード化」の有無によっていくつかの種類に分けることができます。ISO 14119:2024で規定されている種類とその代表例は以下のとおりです。

タイプ 作動原理 アクチュエータ 代表的なオムロン商品
タイプ1 機械式
(例:物理的接触/力)
コード化なし
(例:回転カム/ヒンジ)
セーフティ・リミットスイッチ D4N セーフティ・リミットスイッチ D4N
小形セーフティ・ヒンジドアスイッチ D4NH 小形セーフティ・ヒンジドアスイッチ D4NH
タイプ2 機械式
(例:物理的接触/力)
コード化あり
(例:タン形状のアクチュエータ*1
小形セーフティ・ドアスイッチ D4NS 小形セーフティ・ドアスイッチ D4NS
小形電磁ロック・セーフティドアスイッチ D4SL-N 小形電磁ロック・セーフティドアスイッチ D4SL-N
タイプ3 非接触式
(例:誘導式)
コード化なし
(例:磁性体)
なし
タイプ4 非接触式
(例:磁気式/RFID)
コード化あり
(例:コード化マグネット/コード化RFIDタグ)
小形非接触式ドアスイッチ D40A 小形非接触式ドアスイッチ D40A
高コード非接触式セーフティドアスイッチ D41D 高コード非接触式セーフティドアスイッチ D41D
高コード電磁ロック・セーフティドアスイッチ D41G*2 高コード電磁ロック・セーフティドアスイッチ D41G
タイプ5 機械式
(トラップドキー)
コード化あり なし

*1. ISO 14119:2024では“Tongue (shaped actuator)”と記載されています。オムロンのセーフティドアスイッチの場合、「操作キー」として提供しているものがこれにあたります。
*2. D41Gは、電磁ロックの機能は機械式の機構で行っていますが、ガードの開閉検知はRFIDを用いた非接触式のため、タイプ4に該当します。

インターロック装置の「コード化」

インターロック装置のタイプを規定している要素の一つに、アクチュエータの「コード化」の有無が挙げられています。ここでの「コード化」とは、インターロック装置を作動させるためのアクチュエータの設計がスイッチに応じた形状/仕様となっていることを指します。ISO 14119:2024においては、タイプ2、タイプ4、タイプ5のインターロック装置に対してこの「コード化」されたアクチュエータを用いるものと規定されています。
例えばタイプ2のセーフティ・ドアスイッチのD4NSは、専用の操作キーを挿入したときのみ作動させることができます。タイプ4の非接触式ドアスイッチのD40Aシリーズも、作動させるためには専用のアクチュエータが必要です。これらのアクチュエータはいずれも「コード化」されているとみなされます。

この「コード化」されたアクチュエータは、さらに、コードの数(作動させられるスイッチとアクチュエータとの組合せ)によって以下の3つの種類に区分されています。コード化レベルが高いほど、スイッチとアクチュエータとの組合せに多くのバリエーションをもたせられる仕様となっています。

  • 低コード化アクチュエータ (low-level coded actuator):コード数が1~9のもの
  • 中コード化アクチュエータ (medium-level coded actuator):コード数が10~1000のもの
  • 高コード化アクチュエータ (high-level coded actuator):コード数が1000超のもの

例えば、電磁ロック・セーフティドアスイッチの中でもD4SL-Nは、組み合わせて使うことのできるアクチュエータの形状は一種類であることからコード数は1となり、低コードに分類されます。一方D41Gは、組み合わせて使うことのできるアクチュエータに1000種類以上の個別のコードを書き込めることからコード数は1000超となり、高コードに該当します。

インターロック装置のタイプと「コード化」レベルの選択の考え方

インターロック装置のタイプと「コード化」のレベルは、インターロック装置を取り付ける機械やそのガードの仕様、アプリケーションの特徴に応じて選定することが必要です。いずれのタイプ・コード化レベルのインターロック装置/アクチュエータを選定した場合であっても、適切に設計・設置を行えば、ISO 14119の要求事項を満足することができます。特に「コード化」については、インターロック装置の無効化の動機の有無や、無効化の動機が無くせない場合の追加方策との兼ね合いで検討する必要があります。
詳細についてはインターロック装置の無効化可能性の最小化を参照してください。