ISO 13849-1:2023(第4版)の要点

ISO 13849-1:2023(第4版)は、制御システムの安全関連部(SRP/CS:Safety Related Part of a Control System)の設計原則に関する規格であり、2023年4月26日に第4版が発行されました。
本規格はISO 12100で定義されている機械のリスクアセスメント・リスク低減のプロセスのうち、ステップ2の「安全防護、および付加保護方策」を施すためにSRP/CSを設計・実装する際に適用できる規格です。ここでは本規格の第4版の内容のうち、第3版の要求に基づきSRP/CSの設計・実装を行っている製造者にとって、追加の対応が必要と考えられる内容のうち、「機能安全マネジメント」、「ソフトウェアによる安全関連パラメータ設定における文書化」、「新たな視点でのリスクの考慮」についてご紹介します。以下が要点です。

  1. 1.

    機能安全マネジメント:
    システマティック故障 (Systematic failure)を回避または低減するために、機能安全マネジメントの運用が要求されます。
    第4版ではSRP/CSの製造者は機能安全マネジメントの運用プランである機能安全プラン (Functional Safety Plan)の作成が要求されています。機能安全マネジメントの運用の例として、Vモデルによるプロセス実行があります。第4版では最初のフェーズで必要な安全要求仕様書を含め、各フェーズで作成しなければならない文書が明確化されました。

  1. 2.

    ソフトウェアによる安全関連パラメータ設定における文書化:
    機械の管理者がSRP/CSが実行する安全機能に関連するパラメータ、例えば位置、速度、温度、時間、トルク、圧力等の制限値(安全関連パラメータ)を変更する場合、それらが意図した通りに、SRP/CSに設定されることを確実にすることが求められます。第4版ではこのうち、ソフトウェアによって安全関連パラメータを設定するものに対して、文書化が必要な項目が明確化されました。

  1. 3.

    新たな視点での危険リスクの考慮:
    本規格では、機械のリスクアセスメント・リスク低減のプロセスにおいて、様々な視点から、リスクの低減策を考慮することが要求されています。第4版ではリスク低減策を検討する上で、新たに「安全機能無効化への対策」と、「制御システムにリモートでアクセスする場合の安全性確保」について考慮することが追加で要求されています。

ここではISO 13849-1の第3版から第4版への改定において変化がある点のうちSRP/CSの設計・実装を行っている製造者にとって、影響があると考えられる内容に絞りご紹介しました。個別の状況に応じて、他の変化点の内容をご確認の上、追加の対応をご検討ください。また、正確な要求内容などの詳細については、規格書原文をご確認ください。

ISO 13849-1:2023(第4版)改定の要点
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