ガードインターロックスイッチ
ガードインターロックスイッチとは、機械の危険領域への作業者の侵入を防止するために設けられた可動式ガードの開放を検知し、
機械を安全に停止させる安全回路を構成するスイッチです。セーフティ・ドアスイッチやセーフティ・リミットスイッチなどがあります。

ガードの監視とインターロック
ガードインターロックスイッチは、ガードの開放によって機械を停止させるなどして危険な状況を防止するための保護装置です。
ガードを使用して人を保護することを決定した場合、危険エリアへはガードの開口部を通してのみ入れるようにしなければなりません。
人の安全を確保するために、ガードには、開口部に設けられた扉などが開かれたことを検知するインターロックスイッチを用いることが一般的です。
このような可動式インターロック付きガードが開いた場合、機械の動いている危険な部分に人が近づく前に機械を停止させる必要があります。
ガードインターロックスイッチの選定のポイントとしては、以下のような観点が挙げられます。
- 使用の条件と使用目的
- 機械に存在する危険源の種類
- 起こりうる危害のひどさ
- インターロック装置が故障する確率
- 停止時間とアクセス時間に関する考慮事項
- アクセス頻度
- 危険に対する人の暴露継続時間
- 性能に関する考慮事項
スイッチの作動方式による特徴
ガードインターロックスイッチとして用いられるスイッチには、その作動方式ごとに以下のような特徴があります。
カム操作による作動
カム等によってアクチュエータを操作するセーフティスイッチを使用する場合は、直接機械作動(ポジディブモード)または直接機械作動と非直接機械作動(非ポジティブモード)の組み合わせで作動するように設置し、セーフティスイッチが簡単な方法で無効化されることを防止する必要があります。カムとセーフティスイッチを同じハウジングに収納することにより、さらに高いレベルの安全保護が可能となります。
操作キー方式による作動
操作キー方式のスイッチは、専用の操作キーの使用が必要であり、スイッチが簡単に無効化されることを防止することができます。ただし、予備の操作キーによる無効化の可能性があるため、注意が必要です。
ヒンジ方式による作動
ヒンジ式ドアスイッチの場合、スイッチの無効化が困難であること、および操作キー方式のような適用最小半径の制限がなく小さなサイズのガードにも使用できるという特徴があります。ただし、扉の大きさによっては扉の開状態を検出した時点で危険源に近づけるだけの大きな隙間が生じる可能性があるため、事前の確認が必要です。
非接触方式による作動
非接触式ドアスイッチの場合、センサ部に対し専用のアクチュエータが必要であり、スイッチが簡単に無効化されることを防止することができます。
これらのスイッチはカム式や操作キー式のような機械的動作方式ではないため、直接開路動作機構はもちません。スイッチの故障については診断機能などを備えることで、適切な安全性能を確保しています。また設置位置の調整が容易にできることから、その他のスイッチに比べ設置上の制約を受けにくいという特徴があります。
直接機械作動(ポジティブモード)と
非直接機械作動(非ポジティブモード)
ガードインターロックスイッチとしてセーフティ・リミットスイッチを用いる場合には、以下のような作動方式の特徴を踏まえた設置をする必要があります。

ガードインターロックスイッチに関する規格:ISO 14119
ISO 14119は、ガードインターロックスイッチの設計や選択に対する原則を定めた規格です。この規格において、カム操作やヒンジ方式で作動するインターロックスイッチはタイプ1、操作キーによって作動するインターロックスイッチはタイプ2、非接触方式で専用アクチュエータを必要とするインターロックスイッチはタイプ4と分類されます。
この規格では、インターロックスイッチの無効化についても考慮することが求められており、ねじ、針金、鍵や工具などによって容易な無効化がされないようなスイッチの設計や選択、設置の工夫が必要です。また、インターロックスイッチおよびインターロック回路に関しては、ISO 13849-1に適合した設計が必要です。
施錠付きインターロックに関する要件
人が危険領域へ到達するために要するアクセス時間よりも停止にかかる時間が長い場合、施錠付きのインターロック装置を使用します。
施錠付きインターロック装置は、閉位置でガードをロックすることで、以下を達成します。
- ガードが閉じられロックされるまで、機械は動作できない
- リスクが取り除かれるまでガードがロックされたまま開かない