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基礎知識を学ぶ - 継電器とは?
保護協調とは
第5章 保護協調と保護継電器
保護継電器を説明する上で保護協調という言葉が数多く使われています。
保護継電器の役割は電力系統の事故(故障)が発生した場合、事故を検出し、すみやかに事故区間を切り離し、他の健全回路を守ることにあるから事故による異常を継電器が検出、判断、そして処理する過程において他の健全回路が誤って動作しないよう、保護
機能が相互に協調をとりながら健全回路へ給電を継続すること、ならびに負荷機器、回路機器、および開閉路が損傷しないように保護機器の保護レベルを調整し役割を果たすことを保護協調といいます。保護協調の中には電力を送るケーブルの保護協調、電圧を変換する変圧器の保護協調といったように目的、用途により協調の意味する内容が変わります。たとえば、需要家設備における過電流継電器(OCR)と配線用しゃ断器(MCCB)の保護協調を考えた場合、保護協調の考え方は次のようになります。
●保護継電器と配線用しゃ断器の保護協調
保護協調は先ほど述べたように事故が発生した場所をすみやかに切り離し、健全回路を確保することにありますので、上記のような設備を考える上での各機器における協調特性は下図のように保護協調特性を配慮し、万一、事故点(1)で事故が発生した場合は必ずMCCB-1で回路をしゃ断し、上位に事故が波及しないように設計、部品の選択をします。
項目 内容
事故点(1) 事故点(1)で事故が発生した場合は必ずMCCB-1で保護しなければ事故の波及が上位のMCCB-0を動作させ、MCCB-0以下が全停電となります。
事故点(2) 事故点(2)で発生した場合はOCRで守り、上位への波及を防ぎます。
保護協調のとり方を簡単に説明しましたが、さらに保護を細分化して下位を考えた場合、事故発生箇所をいかにくいとめ、上位への波及を保護するかということです。
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このためMCCB-5から見たMCCB-4は上位で、さらにMCCB-3はその上位にあります。このように上位の保護装置が設備保護装置で一般的にはバックアップと呼ばれ、上位に行くほど広範な回路保護を必要とし、しゃ断特性も遅くなるように保護協調をとっています。
しかし保護協調を考える場合、まだまだ数多くの検討項目が残っています。それは、各MCCBから見た場合の負荷の突入電流であり、短絡電流にも破損しないような線路の選択であり、OCRとトランスの熱特性などの協調です。
詳細につきましては専門書をご参照していただくとして、以下に保護協調の基本的事項を記載しました。
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■保護協調の基本的検討事項
保護協調を考慮する場合に検討しなければならない基本的事項には下記のものがあります。
機器、ケーブルなどの過電流耐量や過電圧耐量。
変圧器、電動機、コンデンサ等の負荷機器に発生する突入電流や始動電流。
保護継電器や保護装置の動作特性。

以上の項目を、保護協調曲線用紙上にプロットしたときに満足しなければならない原則的な事項としては次のものがあります。

しゃ断器のしゃ断容量は、設置点の短絡電流以上であること。
保護装置の動作時間は、線路や機器の損傷時間よりも短いこと。
保護装置は、変圧器の突入電流や電動機の始動電流で誤動作しないこと。
シリーズに入っている保護装置相互では電源側に近い程、時限を長くとるなどの処置をして故障の極限化を計る。
●保護協調曲線の作成
保護協調曲線用紙に次の内容を記入していきます。
1 系統図 ・ 保護対象の単線結線図
・ 線路、機器の特性
・ 保護装置の整定タップ値
2 保護対象の特性 ・ 保護対象の過電流耐量、突入電流
3 事故電流 ・ 事故点を想定して算出された事故電流
・ 保護装置への入力
4 保護装置 ・ 保護装置の特性 (保護協調がとれるように図上で検討)
・ 上位および下位からの制約条件
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●系統図の記入方法
系統図は協調曲線用紙の右上部に単線結線図にて記入します。
記入するデータ 記入事項
・ 主回路機器、負荷
・ ケーブル
・ 保護機器
・ 系統電圧
・ しゃ断器(CB) :定格しゃ断容量、全しゃ断時間
・ 配線用しゃ断器(MCCB):定格電圧、定格電流
・ 気中しゃ断器(ACB) :定格電流
・ 変流器(CT) :定格、変流比
・ ケーブル:種別、太さ
・ 変圧器(T) :定格容量、電圧、%インピーダンス、タップ値
・ 電動機(IM) :定格容量、電流、始動電流
・ 過電流継電器(OCR) :整定タップ値(電流、時間)
・ 地絡継電器(GR) :整定タップ値(電流、電圧、時間)
・ 静止形モータリレー(3E):定格電流、整定タップ値(電流、時間)
・ 熱動形継電器(THR) :定格電流、整定タップ値
・ 電力ヒューズ(PF) :定格電流
●保護対象
保護対象の主なものには下記のものがあります。
・線路:ケーブル
・負荷機器:電動機、変圧器
これらの特性については個別の保護協調のところで説明します。
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●短絡電流の算定
過電流保護の基礎となるのは系統の短絡電流の算定です。
短絡電流の算定には%インピーダンス法が一般的に利用されていますが、詳細な内容については専門書を参照してください。
この方法は以下に示す手順で処理されます。

%インピーダンスを求める式


または

と、異なる基準容量の%Zに変換することができます。

短絡電流Isを求める式
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短絡電流計算手順
各機器の%Zを調べる

各%Zの基準容量を統一する

%Zマップを作成する

事故点を想定し、事故点から電源側の%Zを合成する

合成された%Zから、上式を用いて短絡電流を算定する

注1 受電点より電源側の%Z は、短絡容量Ps(電力会社より提示)とすれば次のようになる。
%Z=100P/Ps
注2 変圧器のインピーダンス。
主として1次電圧および変圧器容量によって決まる。
注3 電動機のインピーダンス。
%Zは約20~25%として考える。
高圧モータは事故時に、短時間は発電機として作用するので短時間の事故現象には注意を要する。
注4 配線のインピーダンス。
%インピーダンスは、リアクタンス分Xと抵抗分Rを考慮する。
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