第1回 OPC UAの概要 The Industrial Interoperability Standard

第1回 OPC UAの概要
"The Industrial Interoperability Standard"

OPC UA(OPC Unified Architecture)は産業オートメーションなどの業界で、安全で信頼性あるデータ交換を行うために策定されたオープンな国際標準規格です。OPC Foundationが2008年に発表、その後IEC62541として国際標準化されました。

機器の種類やオペレーティングシステム(OS)、メーカの垣根を越えて、セキュリティが確保された信頼性の高いデータ交換が行えることから、Industrie4.0の標準通信として推奨*され、それを契機に世界中で一気に関心が高まりました。

また、PLCの国際標準 IEC61131-3と整合され、製造現場(FA)の情報を、上位(IT)の監視制御システム(SCADA)や生産管理システム(MES)と高い信頼性でやりとりできるため、食品・日用品の製造で用いられる包装機の標準規格PackML(ANSI/ISA-TR88)、射出成形機の上位接続標準(EUROMAP77)で採用されるなど、さまざまな業界で普及が進んでいます。

これを受け、オムロンはマシンオートメーションコントローラ NX701-1□□□/NX102-□□□□/NJ501-1□00にOPC UAサーバを標準搭載、FAとITの橋渡しをする産業IoT(IIoT)標準の普及に努めています。

* RAMI(Reference Architecture Model Industrie 4.0)に記載。

OPCの歴史 - OPCクラシックからOPC UAへ

ここ数年で一気に普及が進んでいるOPC UAは、OPC技術の第2世代です。第1世代のOPC技術は、1996年に発表されました。
当時は OPC = "OLE for Process Control" と定義されていました。マイクロソフトがWindows用に開発した技術に基づいており、Windowsパソコンを介して、生産システムと、異なるメーカの各種制御機器の間でデータ通信を行えるようになりました。この規格はOPC DA (Data Access)として大きく普及、工場へのパソコン導入と情報化を推し進めました。

オムロンはOPC技術の発表当初にOPC Foundationに加入し、日本での活動団体:日本OPC協議会にも参加、幹事企業として普及の一端を担ってきました。

OPCクラシック OPCクラシック

その後、IT技術の進化と、工場の情報化ニーズのさらなる高まりにより、OPCに対して新しい要求が出てきました。

  • Windowsパソコンだけでなく、さまざまな制御機器で動作させたい。
  • 単純な数値やメモリデータだけではなく、構造化したデータや意味を持たせた情報をやりとりできるようにしたい。
  • セキュリティも考慮したい。

これらの新しいニーズに対応した技術が、第2世代のOPC = OPC UAです。

OPC UA OPC UA

OPC UAを発表した後、第1世代のOPC技術はOPCクラシックと呼ぶようになり、OPCの定義も "OLE for Process Control"から "Open Platform Communications"に改められました。
また、OPC Foundationのタグライン(価値を伝えるキーメッセージ)も "The Industial Interoperability Standard" に変更、産業分野の相互運用(インターオペラビリティ)を実現する国際標準を目指すことを明確にしました。

本連載では、OPC UAの特長や事例、動向を今回を含め全5回で紹介していきます。

  1. 第1回 OPC UAの概要 "The Industrial Interoperability Standard"(本記事)
  2. 第2回 OPC UAの特長 "つなげる・伝える・安全に"
  3. 第3回 OPC UAの活動(1)コラボレーション
  4. 第4回 OPC UAの活動(2)コンプライアンス
  5. 第5回 OPC UAの対応商品と導入事例
  6. 第6回 OPC UAの最新動向
  7. 第7回 普及・進化するOPC UA
  8. 第8回 導入事例(OPC UAに対応した巻線機)
  9. 第9回 OPC UAの新たな取組


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ここでご紹介したシステム構成は参考例です。
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EtherCAT®は、ドイツBeckhoff Automation GmbHによりライセンスされた特許取得済み技術であり登録商標です。
Safety over EtherCAT®は、ドイツBeckhoff Automation GmbHによりライセンスされた特許取得済み技術であり登録商標です。
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OPC、OPC UAはOPC Foundationの商標です。
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