OPC UAを始めとする技術は、現在まで主にFAとITの橋渡しをする、上位接続・縦方向の相互接続に価値を提供してきました。今後はFAの中、製造現場・横方向の相互接続で価値提供を目指します。それがField Level Communicationイニシアティブ (FLC)の取り組みです。
OPC Foudationは、OPC UAをコントローラ間や、コントローラとロボット、フィールド機器との相互接続に適用できる仕様を策定していくことを、2018年11月に発表しました。その後、実際に複数のワーキンググループが設立され、規格化に向けた検討が始まっています。オムロンもFLCのステアリングメンバとして規格化に参画しています。
FAの相互接続に用いるためには、リアルタイム性や高速性が必要です。これを実現するために導入される技術がTSN (Time Sensitive Networking)です。TSNは、IEEE802.1で標準化が進められているEthernetの新しい規格で、時刻同期や通信パケットのスケジューリングが実現できるようになります。これにより、標準Ethernetの良さを維持しながら、フィールドネットワークに求められるリアルタイム性を確保できることが期待されます。
OPC Foundationや、OPC Foundationの会員企業は、IEEEとも連携して、フィールドレベルまで適用できるOPC UA規格の策定に取り組んでいます。
OPC UAは、実際にインターオペラビリティを可能にするために、コラボレーションを積極的に行っていることは、この連載 第3回で紹介しました。その後もコラボレーションは拡大しています。2つの例を紹介します。
Umatiページ https://vdw.de/technik-und-normung/umati/
ドイツ工作機械工業会(VDW)が規格化を進めている、工作機械と上位のITシステムをつなぐ標準インタフェースで、OPC UAをコミュニケーションプラットフォームとして採用することが発表されました。
2019年9月に開催されたEMO Hannover 2019で、工作機械110台規模をumatiで連携させた実演デモが展示されました。その実演デモには、日本の工作機械メーカ7社を含む70社が参加しました。
HKI コラボレーションの紹介 https://opcfoundation.org/markets-collaboration/hki/
HKIはドイツの業務用厨房機器メーカ 約200社(2019年7月現在) が加盟する業界団体です。
HKIでは、業務用のコーヒーメーカー、オーブン、揚げ物機など13種類の厨房機器の情報モデルを策定し、相互接続性の向上や標準化されたデータ交換の実現を目指しています。2019年3月にコンパニオン仕様のリリース候補版(RC)が会員に公開されています。
全6回に渡って、普及が進んでいるOPC UAの概要や特長、具体的な事例を紹介してきました。紹介した内容が、皆さまの業務や生産性向上の取り組みに少しでも役立てば幸いです。
(以上)
マシンオートメーションコントローラ
NJ/NXシリーズ CPUユニット
NX701-1□□□/NX102-□□□□/NJ501-1□00