第5回 OPC UA対応商品と導入事例

第5回 OPC UA対応商品と導入事例

実際にOPC UAを用いて、オープンでマルチベンダに対応したセキュアな生産システムの導入が始まっています。それらで用いられているOPC UA対応商品や、導入事例の一例をご紹介します。

OPC UAサーバ

PLC・コントローラ

世界の主要なPLC・コントローラメーカはOPC UAサーバに対応した製品を提供しています。オムロンもOPC UAサーバを搭載したPLC・コントローラを提供しています。

マシンオートメーションコントローラ NX701-1□□□/NX102-□□□□/NJ501-1□00

PLCopen 情報モデルに対応し、OPC Foundationの認証を取得したOPC UAサーバを標準で搭載しています。これにより、コントローラの変数を選ぶだけの簡単設定で、SCADAなどの上位ITシステムと直結させることができます。

また、NX102シリーズは、データベース直結機能も搭載しています。
生産管理システムやSCADAとはOPC UAで、品質トレーサビリティで用いるSQL serverやOracle Databaseとはデータベース直結機能で、2つの役割を1台のコントローラで担うことができます。

PLC・コントローラ

NX102は、OPC UAやデータベース直結だけでなく、EtherNet/IPやEtherCAT, MODBUS/TCP, SLMP,さまざまなネットワークをサポートしています。センサレベルの情報を可視化するIO-Linkにも対応しています。これらの多彩な接続性とOPC UAを組み合わせることにより、製造現場の情報化、IoT化を進めることができます。

DCS

OPC UAクライアント

PLCなどのOPC UAサーバと組み合わせて使うOPC UAクライアントに対応したソフトウェア商品の一例を紹介します。

(注. OPC Foundation主催のインターオペラビリティテスト(IOP)や、導入されたシステム、デモシステムで接続実績があるものの中から抜粋して紹介します。ただし、これらOPC UA製品を弊社が推奨したり、接続を保証するものではありません。)

FANUC MT-LINKi

InduSoft Web Studio

Puerto UA Monitor

OSIsoft PI System

Node-RED

OPC UA開発キット

OPC UAに対応したソフトウェアやシステムを自社で開発する場合には、SDKなどの開発キットを用いることで効率よく開発することができます。

OPC Foundation が提供するもの

アプリケーション開発の参考書「OPCアプリケーション開発入門」

OPC Foundation コーポレート会員企業が提供する認証済みのOPC UA SDK

導入事例

監視制御システムをOPC DAからOPC UAへリニューアル

工場の監視制御や稼動モニタには、従来より第1世代のOPC技術・OPC DAが数多く導入されています。そのシステムのリニューアルに際し、OPC UAが採用されはじめています。ポイントは、以下のとおりです。

・Windowsパソコンだけでなく、PLCなどの制御機器と直接接続ができ、システム構成がシンプルになること
・単純な数値やメモリデータだけではなく、構造化したデータや意味を持たせた情報をやりとりできるようになること
・セキュリティ性も高められること

OPC UAに対応したSCADAやPLC・コントローラの選択肢が広がってきていることも導入の後押しになっています。

監視制御システムをOPC DAからOPC UAへリニューアル 監視制御システムをOPC DAからOPC UAへリニューアル

グローバル展開をされているメーカさまで、工場の情報化基盤をOPC UAで共通化

世界各地の製造拠点毎に、導入されている情報化の仕組みが異なるという問題がありました。M&Aなどで事業拡大をされていることも問題の一因となっていました。全社で情報活用を進めて生産性を高めていくために、指標(KPI)や仕組みを標準化することが課題とされ、グローバルで標準化でき、将来性もある基盤としてOPC UAの採用を進められています。

グローバル展開をされているメーカさまで、工場の情報化基盤をOPC UAで共通化

金属加工ラインの稼働監視

金属部品の加工ラインに大量に導入されているCNCを搭載した工作機械の稼動情報を、PLCで制御されている周辺装置の情報や、電力・温度などの稼働環境の情報と合わせて収集・見える化するために、OPC UAが採用されています。ポイントは、CNCとPLCの両方の情報を1つの仕組みで収集・管理できることです。

金属加工ラインの稼働監視

セキュリティ対策

セキュリティに対応できていることがOPC UAの特長を活かし、サイバーセキュリティ対策として、また、安心なモノづくりを実現するために製造データの改ざんを防止する仕組みとして採用されています。

・サイバーセキュリティ対策
実際の工場での採用事例はなかなか公開されませんが、名古屋工業大学において、ミニプラントでOPC UAを用いたサイバーセキュリティの実証研究が行われ、その研究内容や結果が公開されています。

・製造データの改ざんを防止する仕組み
医薬品の製造ラインや装置に対し、製造データのインテグリティ(Data Integrity:DI)を確保することが求められはじめています。データインテグリティはデータ完全性とも呼ばれ、データが全て揃っていて不整合がないことの保証が求められます。
この、データインテグリティへの対応を容易にするための仕組みとして、デジタル署名に対応したOPC UAが採用されている事例があります。

セキュリティ対策

(次回へ続く)

  1. 第1回 OPC UAの概要 "The Industrial Interoperability Standard"
  2. 第2回 OPC UAの特長 "つなげる・伝える・安全に"
  3. 第3回 OPC UAの活動(1)コラボレーション
  4. 第4回 OPC UAの活動(2)コンプライアンス
  5. 第5回 OPC UAの対応商品と導入事例(本記事)
  6. 第6回 OPC UAの最新動向
  7. 第7回 普及・進化するOPC UA
  8. 第8回 導入事例(OPC UAに対応した巻線機)
  9. 第9回 OPC UAの新たな取組


写真はイメージで実際のアプリケーションではありません。
ここでご紹介したシステム構成は参考例です。
Sysmacは、オムロン株式会社製FA機器製品の日本及びその他の国における商標または登録商標です。
EtherCAT®は、ドイツBeckhoff Automation GmbHによりライセンスされた特許取得済み技術であり登録商標です。
Safety over EtherCAT®は、ドイツBeckhoff Automation GmbHによりライセンスされた特許取得済み技術であり登録商標です。
EtherNet/IP、CIP Safety CompoNetおよびDeviceNetは、ODVAの商標です。
OPC、OPC UAはOPC Foundationの商標です。
その他、記載されている会社名と製品名などにつきましては、各社の登録商標または商標です。
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