パワーサプライは、交流電力または直流電力より必要とされる安定化された直流電力を供給するための機器です。ここではパワーサプライのトラブルシューティングを説明します。
●製品購入時
外観、形式・仕様
*詳細は、下記表中の“確認項目”の「外観」、「形式・仕様」をご参照ください。
●設置時
設置状態
*詳細は、下記表中の“確認項目”の「設置状態」をご参照ください。
設置場所
*詳細は、下記表中の“確認項目”の「設置場所」をご参照ください。
使用環境A
*詳細は、下記表中の“確認項目”の「使用環境」をご参照ください。
使用環境B
*詳細は、下記表中の“確認項目”の「使用環境」をご参照ください。
●配線時
入力電圧切替端子
*詳細は、下記表中の“確認項目”の「入力電圧切替端子」をご参照ください。
入力端子
*詳細は、下記表中の“確認項目”の「入力端子」をご参照ください。
端子配線
*詳細は、下記表中の“確認項目”の「端子配線」をご参照ください。
直列・並列・±出力運転
*詳細は、下記表中の“確認項目”の「直列・並列・±出力運転」をご参照ください。
製品に添付している取扱説明書をお読みの上、下記該当項目をご確認ください。
どんな時 | 確認項目 | 確認内容 |
購入時 | 外観 | ご購入後、製品および梱包箱に打痕跡がないことをご確認ください。 内部が破損している場合、破損個所によっては過電圧が出る場合も考えられます。 (打痕・変形などが見られる場合は使用をおやめください。) |
形式・仕様 | ご購入されたパワーサプライの入力電圧・出力電圧・出力電流がご希望のものと 合っているかご確認ください。 (形式ラベルなどに入出力仕様を記載しています。) | |
設置時 | 設置状態 | 取りつけねじは規定の長さのものをご使用ください。ねじが長い場合、基板を破損させ たり、ねじにより内部回路をショートさせたりすることが考えられます。 |
設置場所 | 放熱を十分考慮し取りつけスペースを十分確保してください。 | |
使用環境 | 周囲温度、設置環境の振動について各パワーサプライ毎に決められた基準を満足 しているかご確認ください。 (コンタクタ近辺は振動・衝撃が製品に加わるため極力離した場所に設置ください。) また、液体、異物が侵入しないような場所に設置ください。 | |
配線時 | 入力電圧切替端子 | 通電前に電圧仕様が装置の電圧と合っていることをご確認ください。 出荷時は入力電圧切替端子が開放された状態(AC200V設定)になっています。 |
入力端子 | 電源の入力を正しく配線ください。交流入力線を出力端子に配線したり、電圧切替端子 に配線した場合は内部回路が破損します。 | |
端子配線 | 端子にねじ締めをする場合、ねじ締め時に過大なストレス(押し込み)を加えないように お願いします。 また、ねじ締めも規定のトルクで締めた後、ゆるみがないことをご確認ください。 端子にねじ締めをする場合、ドライバの先端で基板、内部部品などにキズをつけない よう注意ください。 | |
感電を防止するために、グランド端子は接地してください。 | ||
リモートセンシング端子 | リモートセンシングは確実に接続されているかご確認ください。リモートセンシングを使 用しない場合は短絡片で短絡してください。(出荷時は短絡片にて短絡されている状態 になっています。) | |
リモートコントロール端子 | リモートコントロール端子は確実に接続されているかご確認ください。リモートコントロー ルを使用しない場合は短絡片で短絡してください。(出荷時は短絡片にて短絡されてい る状態になっています。) | |
直列・並列・±出力運転 | 直列・並列・±運転する場合は接続可能かどうか確認を行ってください。 配線方法は本文を参照ください。 | |
出力電圧を 調整する場合 | 出力電圧調整トリマ | 出力電圧調整トリマは、壊れる場合がありますので必要以上に強い力を加えないでく ださい。 また、調整時ドライバの先端で基板などにキズをつけないよう注意ください。 |
現象1 出力が出ない・出力の立ち上がりが遅い
●初回通電時
出力が立ち上がらない
*詳細は、下記表中の“現象”の「出力が立ち上がらない」をご参照ください。
出力の立ち上がりが遅い
*詳細は、下記表中の“現象”の「出力の立ち上がりが遅い」をご参照ください。
●使用時
出力がでなくなった(落雷があった)
*詳細は、下記表中の“現象”の「パワーサプライの出力がでなくなった(落雷があった)」をご参照ください。
出力がでなくなった
(強い高周波ノイズを発生するものが近くにある場合)
*詳細は、下記表中の“ 現象” の「パワーサプライの出力がでなくなった(強い高周波ノイズを発生するものが近くにある場合)」をご参照ください。
●長期間使用時
電源の出力がでなくなった(ファンが停止している)
*詳細は、下記表中の“現象”の「パワーサプライの出力がでなくなった(ファンが停止している)」をご参照ください。
出力が低下する
*詳細は、下記表中の“現象”の「出力が低下する」をご参照ください。
現象2 出力が不安定になる
●使用時
出力電圧が不安定になる
*詳細は、下記表中の“現象”の「出力電圧が不安定になる」をご参照ください。
負荷に印加される電圧が低い
*詳細は、下記表中の“現象”の「負荷に印加される電圧が低い」をご参照ください。
出力が不安定になる
*詳細は、下記表中の“現象”の「出力が不安定になる」をご参照ください。
出力が低下する
*詳細は、下記表中の“現象”の「出力が低下する」をご参照ください。
パワーサプライが正常に動作しない場合は、修理を依頼される前に下記に該当する項目をお確かめください。
それでも正常に動作しない場合は、当社営業部門にご相談くださるようお願いいたします。
ど こ で | 現象 | 内容 | 処置 |
耐 電 圧 検 査 時 | 耐電圧試験でNGになる | 試験電圧をスイッチなどで印加・遮断すると インパルスが発生している。 | 試験電圧の印加はボリュームなどで徐々に変化 させるか、0クロス(0Vより印加)にて電圧を印加 ください。 |
試験電圧の印加箇所が間違っている。 | 試験電圧は印加箇所により異なります。各製品毎 に規定されている電圧値で検査ください。 | ||
初 回 通 電 時 | 出力が立ち上がらない (・出力電圧が低い ・出力表示灯が消灯、 または暗い) | 定常時がパワーサプライの容量以内でもパワ ーサプライに接続されている負荷の起動電流 により、過電流保護が動作している。 | 過電流保護特性が逆L 字のものを採用するか、 パワーサプライの容量をあげる検討をしてください。 |
パワーサプライの負荷が定格を超えている ため過電流保護が動作している。 | 負荷の電流に対し十分余裕のあるパワーサプライ 容量を選定してください。 | ||
パワーサプライの出力が短絡している。 | 出力が短絡している原因を取り除いてください。 | ||
入力投入時にうなり音が する | 高調波電流抑制回路を搭載している機種に ついては、内部突入電流により入力投入時に 音がする。 | 高調波電流抑制回路を搭載している機種について は、入力投入時に音がすることがありますが、内部 電圧が安定するまでの過度的なものであり製品と しては異常ではありません。 | |
出力の立ち上がりが遅い | パワーサプライの負荷に容量性負荷(コンデ ンサ)を接続している場合、負荷側の突入 電流により立ち上がりで保護動作領域に 入っている。 | 負荷に突入電流が流れる場合は、突入電流を考慮 した容量選定を検討ください。 | |
出力電圧が高い | ボリューム設定が高くなっている。 | ボリューム調整により出力電圧を調整ください。 | |
出力電圧が高い(負荷を 破損させてしまった) | 内部部品破損によりフィードバック制御が制御 不能になっている。 | 内部回路が破損していることが考えられるため弊 社までご返却ください。 | |
出力表示灯が点灯する がすぐ消える | リモートセンシング端子が開放されている。 | リモートセンシングを使用しない場合は、端子(+Vと +S、−Vと−S)短絡ください。 またこの場合は過電圧保護が動作しているため入 力電源をOFFし、再度投入してください。 | |
内部制御回路が誤動作し過電圧保護が動作 している。 | 入力電源をOFFし、再度投入してください。現象が 再現する場合は内部回路が破損していることが考 えられるため弊社までご返却ください。 | ||
パワーサプライに触る と感電した | 筐体のアース線接地が不完全になっている。 | グランド端子をアース接地してください。 | |
入力のブレーカが作動する 外付けヒューズが断線した | パワーサプライの突入電流によりブレーカが 動作している。 | 各パワーサプライ毎の突入電流を確認いただき、 外付けヒューズ、ブレーカの仕様をご確認ください。 (パワーサプライの突入電流は定常時の数倍~ 数10倍流れます。) | |
パワーサプライのヒューズ が断線した | 内部回路が切削クズ、取りつけねじなどにより 短絡している。 | 内部回路が破損していることが考えられるため弊 社までご返却ください。 | |
パワーサプライから 白色の煙が上がった | 入力電源を誤印加している。 (白色の煙は内部電解コンデンサが過電圧に より電解液が気化したものです。) | 入力電源の入力箇所、入力電圧を再度確認ください。 この場合は、内部回路が破損していますのでパワー サプライを交換してください。 | |
出力が出ない | リモートセンシング端子に負荷を接続してい る。 | リモートセンシング端子(+S、−S)からは、出力電 流は取りだせません。負荷線は出力端子(+V、 −V)に接続してください。 また、この場合は過電圧保護が動作しているため、 入力電源をOFFし、数分間放置した後に、再度投入 してください。 | |
リモートコントロール端子が開放されている。 | リモートコントロールを使用しない場合は端子 (+RC、−RC)を短絡してください。 | ||
使 用 時 | パワーサプライのヒューズ が断線した | 使用上の環境により、異物・液体侵入・結露・ 粉塵などが製品内部に入り内部回路が破損 している。 | 製品には放熱用の穴を多数設けていますので、異 物・液体などが侵入しない場所に設置してください。 この場合は、内部回路が破損していますのでパワー サプライを交換してください。 |
パワーサプライの発熱が 大きい | パワーサプライの設置スペースが狭く放熱が 十分できていない。 | パワーサプライは大きな電力を扱うため通常の使用 でも発熱はします。 取りつけスペース、電源負荷、周囲温度について 再度ご確認ください。特に負荷電流がパワーサプライ の定格を超えている場合は、定格内でご使用ください。 そのまま継続使用するとパワーサプライが破損する 恐れがあります。 | |
パワーサプライの負荷が定格を超えている。 | |||
周囲温度が高い。 | |||
パワーサプライから音が する | 負荷が定格を超えているため過電流保護回 路が動作し内部の発振周波数が可聴領域 に入っている。 | 保護回路が動作した場合は、パワーサプライより発 振音が聞こえることがあります。また、通常動作の中 でも電源回路は発振回路をもっているため多少の音 は発しています。 同じパワーサプライで比較しても発振音が大きい場 合は、内部部品が破損していることも考えられるため 当社までご返却ください。 | |
接続しているセンサが常に ONの状態になる デジタルパネルメータの表 示がふらつく アナログセンサのデータが ふらつく | パワーサプライのノイズ(出力とアース間の ノイズ)により、接続センサが誤動作している。 | パワーサプライ内部には発振回路があり通常動作 時にもノイズを発生しています。このためセンサに よっては誤動作することも考えられます。 センサが誤動作する場合は、出力(+Vまたは−V) とグランド端子( )間に0.1μF程度(耐圧DC500V 以上)のフィルムコンデンサを接続してください。 | |
パワーサプライの出力がで なくなった(落雷があった) | 落雷の誘導インパルスによりパワーサプライ に過電圧が印加されている。(過電圧保護が 動作し出力がでなくなっていることも考えられ ます。) | 過電圧保護が動作している場合は、入力電源を OFFし、再度投入してください。それでも復旧しない 場合は内部部品が過電圧により破損していること が考えられますので、パワーサプライを交換してく ださい。 | |
出力電圧が不安定になる | 負荷の変動により過電流保護が動作してい る。 | 負荷変動を考慮し定格出力電流を超えないように パワーサプライの容量を選定ください。 | |
入力電圧の低下により負荷電流が十分供給 できず過電流保護が動作している。 | 入力電圧は許容範囲内でご使用ください。 | ||
負荷に印加される電圧が 不安定になる | 負荷の突入電流によりパワーサプライの出力 電圧がドロップしている。 | 負荷に突入電流が流れる場合は、突入電流を考慮 した容量選定を検討してください。 | |
負荷に印加される電圧が 低い | 負荷線が細い、もしくは長いため電圧ドロップ している。 | 負荷線は、定格出力電流に合った線径をご使用く ださい。 | |
パワーサプライの出力がで なくなった | 出力側に外部(負荷など)からサージなどの 過電圧が印加され、過電圧保護が動作して いる。 | サージ発生元にバリスタやダイオードなどを追加 し、パワーサプライの出力に過電圧が加わらない ようにしてください。 | |
入力電圧を誤印加(200V設定での100V印加) している。(200V設定の場合、100V印加で使 用すると印加直後に破損はしないものの、継 続使用している場合破損することも考えられ ます。) | 入力電圧は、切替端子により設定した電圧でご使 用ください。この場合は、内部回路が破損している ことが考えられますので、パワーサプライを交換し てください。 | ||
パワーサプライの出力がで なくなった(振動・衝撃の 発生源が近くにある場合) | 振動環境により内部はんだにクラックが発生 し電気的に導通しなくなった。(特にコンタク タの近傍は振動・衝撃を受けます。) | 使用中の振動については取りつけ位置を検討し振 動を軽減するか、パワーサプライの取りつけ面に防 振ゴムを挿入することを検討してください。 | |
パワーサプライの出力がで なくなった(強い高周波ノ イズを発生するものが近く にある場合) | 入力ラインからのインパルスにより破損してい る。 | 入力ラインからのインパルスの場合は、パワーサ プライの入力ラインを発生源から分離してください。 分離できない場合はノイズ発生源もしくは、パワー サプライの入力端子にバリスタを接続してください。 また、バリスタがショート破損した時の保護用に ヒューズも挿入してください。 | |
長 期 間 使 用 時 | パワーサプライの出力がで なくなった (ファンが停止している) | ファンの寿命により強制空冷できず内部温度 が上昇し過熱保護が動作している。 | 強制空冷のファンは、定期的にメンテナンスを行 い、ファンに異常が見つかった場合はすみやかに 交換してください。 |
周囲環境(埃、粉塵)などによりファンのベア リング部の摩耗が促進されている。 | 強制空冷のファンは定期的にメンテナンスを行い、 埃・粉塵のない環境でご使用ください。 | ||
出力が不安定になる | 端子の締め付けが緩くなっている。 | 端子を規定トルクで締め直してください。 | |
出力が低下する | 内部部品が寿命になっている。 | パワーサプライ内部に実装されている電解コンデン サは周囲温度、負荷率に、構造的な寿命は周囲 環境(振動・衝撃)に依存されます。 同時期に購入されたパワーサプライと合わせて交 換をお願いします。 | |
リップルノイズが増加する |