パワーサプライは、交流電力または直流電力より必要とされる安定化された直流電力を供給するための機器です。ここではパワーサプライの共通事項注意を説明します。
共通の注意事項 |
パワーサプライの能力を最大限に発揮させるために機能および注意事項を説明します。
各商品個別の注意事項は、各商品ごとの「正しくお使いください」をご覧ください。
軽度の感電、発火、機器の故障が稀に起こる恐れがあります。分解、改造、修理したり、内部に触らないでください。
感電により軽度の傷害が稀に起こる恐れがあります。
通電中は端子に触らないでください。
軽度の火傷が稀に起こる恐れがあります。通電中や電源を切った直後はパワーサプライ本体に触らないでください。
発火が稀に起こる恐れがあります。端子ねじは規定トルクで締めてください。
軽度の感電、発火、機器の故障が稀に起こる恐れがあります。製品の中に金属、導線または、取り付け加工中の切粉などが入らないようにしてください。
●入力電圧
電源電圧入力において、AC入力タイプは商用電源をご使用ください。インバータによっては出力仕様として、出力周波数を50/60Hzと表示されているものもありますが、パワーサプライの内部温度上昇により発煙・焼損の恐れがありますので、インバータの出力を電源として使用しないでください。
●接地について
感電の恐れがあるので、必ずアース線を接続してください。
●使用環境について
●取りつけについて
取りつけねじをパワーサプライの内部に向けて締めつける場合、深さ(突き出し)には限度がありますので、ねじの長さは突き出し部分が指定寸法以内におさまるようにしてください。
個々の形式の指定寸法につきましては個別形式ページの外形寸法図をご覧ください。
●配線について
●配線材について
負荷の異常による配線材の発熱・発火を防ぐために、使用するパワーサプライの定格出力電流に合った線径をお選びください。
特に複数の負荷へ1台のパワーサプライから出力電流を分散させる場合には、注意が必要です。
細い線を分岐線として使用する場合は負荷側短絡時でも負荷線のインピーダンスなどによってパワーサプライの過電流保護回路が動作しない場合がありますので配線ヒューズを挿入するなどの配慮が必要です。
線材の選定については、「パワーサプライ 技術解説」をご参照ください。
●金属破片(切り粉)侵入のご注意
パワーサプライを取りつけた上部で、ドリルなどによる加工作業をされると、プリント基板上にこの破片が落ちて内部回路が短絡し、破壊する原因になります。パワーサプライの上部で加工作業される場合は、パワーサプライがカバー付き、なしに関わらずシートなど覆いをして、破片が中に入らないようにしてください。
また通電の前には、加工時に覆ったシートなどを必ず取り外して放熱に支障がないかをご確認ください。
●負荷について
短絡および過電流状態での使用が継続すると、内部素子の劣化や破損をまねく恐れがありますのでご注意ください。
●バッテリ接続について
負荷にバッテリを接続される場合は、過電流制限回路および過電圧保護回路を取りつけてください。
●ファン付きパワーサプライについて
●分解について
ファンを交換する時以外は分解しないでください。本来の性能が保証できなくなります。
●出力とアースの接続について
パワーサプライの出力は、フローティング出力(一次側と二次側が分離されている)のため、出力ライン(+Vまたは-V)を外部で直接アースに接続可能です。
ただし、アースを通じて一次側と二次側の絶縁がなくなります。
また、負荷側の内部回路などを通じてパワーサプライの出力が短絡されるループが発生しないかをご確認ください。
(例)内部で0Vラインがアースと共通になっているような負荷を使用時、パワーサプライの+V側を直接アースに接続した場合。
設置
●取りつけ方
放熱の関係上、標準取りつけ状態でご使用ください。標準取りつけ方向以外で取りつけた場合、放熱性が悪くなりパワーサプライ内部の温度が上昇するため、故障の原因となる場合があります。
取りつけ方の詳細は、各パワーサプライのカタログ(データシート)をご確認ください。
●取りつけスペース
パワーサプライは変換効率が100%ではないため、動作中は発熱します。取りつけの際には、カタログ(データシート)や取扱説明書をご確認いただき、放熱性を十分考慮してください。
機能
●リモートセンシング機能
リモートセンシング機能は、パワーサプライの出力端子から負荷までの配線の抵抗分による電圧降下を補正する機能です(補正範囲は定格出力電圧の±10%です)。
リモートセンシングご使用の場合はリモートセンシング端子(通常出荷時には短絡されています)の短絡片を取りはずし、下図のように接続してください。
リモートセンシングねじがゆるむと出力電圧が出なくなります。
ねじのゆるみがないようご留意ください。
負荷接続線を太くし、パワーサプライのV.ADJにより降下分を補正した方が安定動作の面で得策です。
注1. 負荷線での電圧降下が大きい場合、パワーサプライの出力電圧が電圧降下分だけ上昇し、過電圧保護が動作することがありますので、極力太い線を使用
ください。
2. VOUT×IOUTがパワーサプライの定格容量を超えないようにしてください。
●リモートコントロール機能
入力電圧を印加したままで外部信号により、出力電圧をON、OFF させる機能です。高周波での使用(短時間でもON/OFF には対応していません。)
なお、リモートコントロールの接続が不十分(ねじのゆるみ等)ですと、出力電圧が出なくなります。接続は確実に実施ください。
ご使用方法は、パワーサプライごとに異なりますので、カタログ(データシート等)でご確認ください。
温度ディレーティング
●ディレーティングカーブの見方
周囲温度、取りつけ方法、入力電圧により出力可能な範囲を示したものです。
これらデータは機種ごとで違いますので、パワーサプライのカタログ(データシート)をご参照ください。
以下にディレーティングカーブ例を示します。
注. 周囲温度の測定は、パワーサプライの発熱の影響を受けないポイントで測定ください。(例:パワーサプライ直下50mmのポイント)
複数台接続
●パワーサプライを複数台使用して、直列または並列接続させる場合
接続可能かどうか、または接続台数の上限については、各パワーサプライによって異なります。接続時は外部にダイオードが必要になる場合がありますので、ご使用の際はパワーサプライのカタログ(データシート)をご確認ください。
形S8FS-G シリーズの例
● 直列運転について
2台の製品で直列運転が可能です。
注1. 負荷が短絡した場合、製品内部に逆電圧がかかります。万一の場合、製品が劣化・破損する恐れがありますので、図のようにダイオードを接続してください。なお、ダイオードの選定の目安は下記の通りです。
注2. 異なる仕様での直列運転は可能ですが、負荷に流れる電流は定格出力電流の小さい方の定格出力電流以下にしてください。
<±(プラス・マイナス)出力のつくり方>
・フローティング出力(1次側回路と2次側回路が分離されている)のため、2台の製品にて±出力を作ることができます。±出力は全機種作ることができます。±出力として使用する時は、下図のように同機種の製品を接続してください。異なる出力容量、出力電圧の組み合わせは可能です。
ただし、負荷に流せる電流は定格出力電流の小さい方の定格出力電流以下としてください。
・機種によっては、負荷がサーボモータ、オペアンプなど直列運転になる可能性がある場合に、電源投入時に起動不良が発生し、内部回路が破損する恐れがありますので、下図のようにバイパス用ダイオード(D1、D2)を接続してください。
・ダイオードの種類、耐圧、電流の目安は次の通りです。
● 並列運転について
並列運転は出力電流が1台分では足りない負荷に対して、製品を並列に接続して出力電流を増やすための運転方法です。
並列運転機能付 以外
並列運転はできません。
形S8FS-G60024□-W□
並列運転機能付
最大5台までの製品で並列運転が可能です。
並列運転は、以下の条件にてご使用ください。
・内部部品の劣化、破損がまれに起こります。並列運転する場合は、スイッチを「PARALLEL」側にしてください。
・並列運転をする製品は、同機種の製品にしてください。
・並列運転をする製品の出力電圧差が50mV 以下になるように、出力電圧調整トリマ(V.ADJ)にて調整ください。
・それぞれの製品と負荷間の電圧降下が同一になるよう、負荷接続電線の長さ、太さを同じにしてください。
・急激な負荷変動(負荷の起動・遮断時を含む)により出力電圧が低下する場合があります。急激な負荷変動による出力電圧変動が問題になる場合は、図のように外付けダイオードを接続してください。
ダイオードの種類、耐圧、電流の目安は次の通りです。