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パワーサプライ 参考資料


パワーサプライは、交流電力または直流電力より必要とされる安定化された直流電力を供給するための機器です。ここではパワーサプライの参考資料を示します。

関連情報


過電流保護特性と起動しない負荷について

定電流負荷、または突入電流の発生する容量性負荷を接続した場合、出力が立ち上がりにくい(または立ち上がらない)場合があります。また、 DC/DCコンバータを内蔵した負荷では、負荷の定格出力電流以上のパワーサプライにおいても、定格出力電圧に到達しない場合があります。
電源投入時、図a中(1)のように定格電流の数倍~数十倍の電流が流れます。
これは、一般的に負荷の突入電流と呼ばれており、負荷側の電子機器のコンデンサへのチャージによるものです。
容量性負荷の場合は、この突入電流の大きさが大きくなったり、流れている時間が長くなったりする傾向があり、出力の立ち上がりに時間がかかる場合があります。
負荷がDC/DCコンバータの場合には、低い電圧から起動を開始すると、図a中の(2)「起動時の負荷I-V特性」のように、定格の数倍~数十倍の起動電流が流れてから定格電流へ戻ります。起動開始電圧はDC-DC-コンバータの仕様により様々ですが、低いものでは、約3~4Vから起動するものがあります。
このような特性の負荷が複数台接続されたときに、図a中(3)のようにスイッチング電源の過電流保護特性の垂下線を越えるような起動電流を流そうとするため、図中のA点において電圧と電流が安定してしまい、定格出力電圧に達しないことがあります。
これを防ぐためには、起動電流を十分流せるような容量の大きいパワーサプライを選定するか、図bのように、過電流保護点が起動電流以上となる逆L垂下特性の製品や、フの字垂下特性でもDC/DCコンバータの起動I-V特性が過電流保護の垂下特性と交差しないようなパワーサプライを選定ください。

図a

図b

内蔵ヒューズについて

内蔵ヒューズが溶断した場合、パワーサプライの内部回路が破損している場合がほとんどです。
ヒューズ以外の部品も交換修理する必要がありますので、そのままの状態でご返却ください。
なお、内蔵ヒューズが溶断することで、パワーサプライ一次側(外部)に短絡電流が流れ続けることはありません。ただし、ご使用されている入力電線に対する保護機能ではありません。

突入電流を考慮した外付けヒューズ、ブレーカ選定の目安

突入電流のパルス幅は5msを目安にしてください。(下図参照)
特にAC100~240Vフリー入力タイプは、同一出力容量の単定格入力、切替入力タイプより突入電流エネルギーが大きくなりますので、ブレーカとの協調にご留意ください。
以下の項目をポイントに選定してください。

〔ヒューズ溶断特性/サーキットブレーカ遮断特性曲線〕

注. 突入電流が流れる時間幅は5ms以下です。
  よって溶断特性は5ms以下で突入電流が十分に流せる必要があります。

パワーサプライの発熱

パワーサプライの発熱量(W)は、以下の式で求められます。

カタログ(データシート)等に記載している効率は、負荷率100%の場合の値です。負荷率ごとの実力値は、テクニカルデータでご確認いただけます。

パワーサプライの寿命と期待寿命カーブ

パワーサプライの寿命は内部に使用している電解コンデンサの寿命によって決まります。
コンデンサは10℃2倍則という「アレニウスの法則」により、周囲温度が10℃高くなると寿命は1/2となり、逆に10℃低くなると2倍になります。このため、パワーサプライ内部の温度を下げることに応じて、寿命を伸ばすことができます。

アレニウスの法則による電解コンデンサの推定寿命(イメージ)

周囲温度と負荷率に応じた期待寿命をテクニカルデータ「期待寿命カーブ」に記載していますのでご利用ください。

配線について

電圧降下を考慮した配線

入力・出力の配線は、電圧降下を極力小さくするために、可能な限り太く・短く配線してください。

①負荷電流Ioを許容できる線径を選定する。
②パワーサプライの出力電圧Voが、規定の出力可変範囲を超えないこと。
③負荷短絡時の許容電流(パワーサプライの定格出力電流の1.6倍以上を目安)を考慮する。

線材の選択について

パワーサプライに使用する線材の選択は重要です。線材を選択するにあたり、下記をご参照ください。

AWG No.断面積
(mm2
構成
(本/mm)
1A あたりの電圧降下
(mV/m)
推奨最大電流(A)
UL1007
(300V 80℃)
UL1015
(600V 105℃)
300.0517/0.1023580.12――
280.0817/0.1272220.150.2
260.1297/0.161400.350.5
240.20511/0.1688.90.71.0
220.32617/0.1657.51.42.0
200.51726/0.1637.62.84.0
180.82343/0.1622.84.26.0
161.30954/0.1814.95.68.0
142.08141/0.269.5――12.0
123.30965/0.266.0――22.0
105.262104/0.263.8――35.0

推奨最大電流: 上表に示されている値は1~4本束の場合です。5本以上になる時は、この値の80%程度に電流値を抑えてください。また下図は1mあたりの電圧降下を電流と線径の関係で表わしたものです。この場合、使用電流が推奨最大電流を超えないようご注意ください。

1mあたりの電圧降下(UL1015 耐熱機器配線用ビニル線材)

ノイズを考慮した配線

・電源の入力線と出力線は確実に分離し、配線はツイストする。
 入力線と出力線を一緒に結束したり、近づけて配線すると出力にノイズが誘導されます。

・入力線は太く短くする。
 入力線は幅射ノイズの原因となりますので、太く短く配線してください。

・入力、出力線はループを作らないようにする。
 配線でループをつくると、他の電子機器への幅射ノイズ源となったり、高周波ノイズを誘導するアンテナになることがあります。

・接地線は太く短くする。
 接地のための配線が長いと電源内蔵のノイズフィルタの減衰効果を少なくするため、太く短く配線してください。

・ノイズフィルタを接続する。
 AC入力ラインに大型のマグネットリレーなどのサージ発生源があり、電源出力に接続している電子回路が誤動作する場合は、電源の入力側にノイズフィルタを接続してください。
 また、ノイズフィルタは太く短い配線でアース接地をお願いします。

・リモートセンシング、リモートコントロールの信号線はシールド線を使用する。
 ノイズが乗っている場合が多い入力線、動力線と一緒に束線したり近づけることで誘導ノイズを受け誤動作しないよう、リモートセンシング、リモート
 コントロール線は分離し、シールド線をご使用ください。

耐電圧試験に関して

入力-筺体(FG)間に高電圧が印加されますと、内部ノイズフィルタのL.Cを通じ、エネルギーが蓄積されます。これより耐電圧試験の高電圧をスイッチ、タイマ等で投入、遮断しますとインパルス電圧が発生し、内部部品を破損させる場合があります。このインパルス電圧の発生を防ぐため、印加電圧は試験機のボリュームにて徐々に変化させるか、ゼロクロスにて投入・遮断してください。

保守・メンテナンス

期待寿命と推奨交換時期

当社のパワーサプライでは、下記の条件で使用された場合の製品寿命を「期待寿命」と定義し、これが8年もしくは10年以上になるように設計しています。

注. ファンを除く

  • 定格入力電圧
  • 負荷率50%
  • 使用周囲温度40℃以下
  • 標準取りつけ状態

推奨交換時期や期待寿命は参考情報であり、パワーサプライの寿命を保証するものではありませんので、設計や使用の際の目安として利用ください。

ファンの寿命と交換

パワーサプライの中には、ファンを取り付けて強制空冷させているものがあります。
このようなパワーサプライでは、本体の寿命だけでなく、ファンにも寿命がありますので、定期的な交換をしてください。交換時期の目安はファンにより異なりますので、カタログ(データシート)等でご確認ください。

異物やホコリ

パワーサプライは内部発熱を外部に逃がすために、通風孔(スリット)を開けています。
そのため、外部からの異物や埃が内部に侵入し、出力低下や出力停止の原因になることがあります。
定期的なメンテナンス時にパワーサプライ周囲の異物や埃を取り除いていただくことを推奨いたします。


最終更新日:2024年09月02日