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統合プラットフォーム

エンジニアリングチェーンの革新

~装置開発・設計から生産立ち上げまで大幅期間短縮~

オートメーション技術の進化

シミュレーションを代表とする仮想開発環境をはじめとするオートメーション技術により、製造現場でのモノづくりの革新が進んでいます。さらに、エンジニアリングチェーンマネージメント(ECM)といわれる開発・設計から生産立ち上げまでのプロセスについても革新的な取り組みが注目されています。

そこで、Sysmacオートメーションプラットフォームが提供する製造業のエンジニアリングチェーンへの革新ソリューションを動画とともに紹介します。

エンジニアリング・チェーン・マネージメントの革新

図1に示すとおり、研究開発から生産準備・立ち上げに至るプロセスの内、Sysmacが提供するソリューションは、機械・装置の設計、試作・評価(デバッグ)、量産立ち上げの大幅期間短縮を通して、エンジニアリングチェーンの革新に貢献します。

図1.エンジニアリングチェーンの4つのソリューション

図1.エンジニアリングチェーンの4つのソリューション

ここでは、エンジニアリングチェーンに関する4つのソリューションを紹介します。

  • 制御に余裕度を持たせた装置設計・デバッグ
  • 非熟練者を想定した装置設計
  • リモート環境での量産立ち上げ
  • ソフトウェアの資産化

制御に余裕度を持たせた装置設計・デバッグ

製造業のグローバル進出やグローバル分業体制の進展とともに、日本で新商品量産用の装置を設計し、海外生産地で立ち上げるケースは珍しい事例ではなくなってきています。こういった場合には、日本で設計・調整した装置を、分解し、移送・再組み立てを行うため、再調整が必要になります。このとき、設置環境が異なるため制御が想定どおりに機能しない問題に直面する場合があります。

この問題に対するソリューションが、SysmacとMathworks社との連携から生まれたソリューションです。オートメーションソフトウェアSysmac Studio と Mathworks社 Simulink®およびSimMechanicsTMとの連携により、3Dグラフィックを使った仮想開発環境で、サーボの遅れ、荷重、摩擦などの影響まで、制御の余裕度を確認することができます。

これにより、移送や取り付け場所などの影響に対し、余裕を持たせた制御を設計でき、海外生産を想定した装置設計をすることで、現地でのトラブルをなくし、新商品を納期どおりに立ち上げることができるのです。

動画1では、機械先端部の質量変化が軌跡追従精度に与える影響をシミュレーションし、質量の許容上限値を3Dグラフィックとグラフ化したデータにより確認しています。

動画1.オムロンSysmac StudioとMathworks社SimulinkRおよびSimMechanicsTMとの連携

動画1.オムロンSysmac StudioとMathworks社Simulink®およびSimMechanicsTMとの連携

また、高度な制御アルゴリズムを導入することで、更に制御を安定させることができます。動画2は、オムロンが開発した振動を止める制御アルゴリズムの効果を検証する動作モデルです。装置を移送する際に発生する振動トラブルや、設置場所の変化による立ち上げトラブルを「制振制御」アルゴリズムにより極小化することが可能です。

動画2.「制振制御」アルゴリズムを使った動作モデル

動画2.「制振制御」アルゴリズムを使った動作モデル

非熟練者を想定した装置設計

製造業を取り巻く環境の変化は、新商品生産立ち上げに必須となる熟練したエンジニアの確保にも影響を与えています。日本では、若年労働者の製造業離れや高齢化の問題、グローバルには優秀なエンジニア採用が困難なことや、日本と海外での開発環境や制御言語の違いによる人材育成の問題があげられます。

こういった問題に対して、オムロンと電気制御CADとの連携では、ひとつの解決策を提供します。

動画3は、株式会社図研の3D電気制御CAD、E3.series活用した解決策です。オムロンからE3.series向けにオムロン製制御機器のDXF・DWG・STEP外形CADデータに加え、電気的仕様、端子位置・形状、結線取り付け方式など電気設計に必要な統合管理・3Dレイアウト検討・自動配線が可能なライブラリを提供しています。

制御デバイスのライブラリを使うことで、設計者自らがCAD用のライブラリ登録する工数が削減されるだけでなく、回路図の結線情報を元に自動配線が可能となったり、部品配置の干渉チェックが容易にできたりと、非熟練者でも後戻りのない確実な装置設計が可能となります。

動画3.電気制御CAD(株式会社図研、E3.series)との連携

動画3.電気制御CAD(株式会社図研、E3.series)との連携

尚、オムロン制御機器の電気制御CAD向けライブラリに関しては制御盤アシストサイトをご覧ください。

リモート環境での量産立ち上げ

前述のとおり、海外での新商品生産立ち上げ、量産立ち上げには様々なトラブルに直面する可能性があります。海外生産でトラブルが発生した場合、日本から機械の動きを充分に把握するのは困難です。海外生産進出国によっては、日本からエンジニアを派遣しようとしても、ビザ申請などの手続きにより緊急対応が困難な場合も想定されます。

このような問題に対する解決策が、Sysmacと富士通株式会社のiCADの連携によるリモート環境での立ち上げソリューションです。

オムロンのSysmacでは、機械動作を再現させるために大容量のトレースメモリを備えています。このトレースメモリのデータを海外生産地から日本に送付し、iCAD上で機械動作を再現することにより、現地に出かけて行ったのと同じ条件で動作検証が行えます。そのため的確な原因調査が可能となり、海外生産現場に対して適切な解決策の提示ができるようになります。

動画4.オムロンSysmac Studioと富士通株式会社iCADとの連携

動画4.オムロンSysmac Studioと富士通株式会社iCADとの連携

ソフトウェアの資産化

機械・装置のサーボ化にともない、機械・装置設計に占めるソフトウェアの比率は益々高まっています。一方、優秀なエンジニアの採用・育成の問題とも相まって、熟練したエンジニアの不足は新商品立ち上げのボトルネックとなる可能性があります。

動画5は、PLCopen® に参画した有識者により発明された「軸」を使うことによりモーション制御の設定が容易になる事例です。「軸」を作るだけで様々なことが行えるようになります。

例えば、オムロンのSysmac StudioはPLCopenモーション制御ファンクションブロックに準拠しており、また「軸」の設定だけで試運転ができたり、トレースデータの活用のより、3Dで実際の動作を再現し、最適な調整を容易にします。

動画5.PLCopenの「軸」を使ったSysmac Studioでの制御プログラム設定・検証

動画5.PLCopenの「軸」を使ったSysmac Studioでの制御プログラム設定・検証

さらに、オムロンのSysmac StudioとMathWorks社のSimulink® PLC CoderTMとの連携では、MathWorks社が提唱する「モデルベースデザイン」により、制御プログラムを直接書くのではなく、モデルをSimulink®上の開発環境で作り込むことで、プログラムを自動生成することができます。

オムロンSysmac StudioとMathWorks社のSimulink® PLC CoderTMとの連携IEC 61508を見る。

このように製造業のエンジニアリングチェーンを革新するソリューションはSysmacオートメーションプラットフォームがそのベースとなっています。Sysmacオートメーションプラットフォームは、国際標準規格IEC 61131-3 や業界標準仕様PLCopen®に準拠し、オープンなプラットフォームであるため、グローバルなパートナーや先進技術との連携が容易なことが特長です。

さらに、Sysmacオートメーションプラットフォームの核となるオートメーションコントローラNJシリーズは、汎用プロセッサを使ったPCアーキテクチャを採用しているため、最新のICT技術との親和性が高く、その進化により、モノづくりを革新するソリューションを次々に生み出していくポテンシャルを持っています。

注:

Sysmacは、オムロン株式会社製FA機器製品の日本及びその他の国における商標または登録商標です。

Simulink®、Simulink® PLC CoderTM および SimMechanicsTM は米国およびその他の国における MathWorks 社の商標または登録商標です。

iCADは日本およびその他の国における富士通株式会社の商標です。

E3.series は ZUKEN E3 GmbH の商標または登録商標です。

PLCopen および関連するロゴマークは PLCopen が所有する登録商標です。

その他、記載されている会社名と製品名などにつきましては、各社の登録商標または商標です。