絶縁不良とは絶縁体の
劣化によって絶縁抵抗が
低くなること

絶縁不良によって起きること

漏電や感電の危険性

絶縁不良がある場合、電気回路に流れる電流が漏れ出して人体や可燃物に触れた場合、感電事故や火災の原因になる可能性があります。

機器の故障や破損

絶縁不良によって、電気回路内の電気信号が正しく伝達されなくなり、機器が正常に動作しなくなる可能性があります。また、電気的なストレスが発生し、機器の部品や配線が破損する場合もあります。

電波干渉の発生

絶縁不良があると、電気回路内で高周波の信号が発生することがあります。
この高周波信号が他の機器の電波に干渉し、機器の動作に影響を与える可能性があります。

電力損失の増加

絶縁不良があると電気回路内で電流が漏れ出し、電力損失が増加します。この結果、電力効率が低下し、電気料金が増加する可能性があります。

絶縁劣化の直し方

絶縁材料の交換

絶縁材料が劣化してしまった場合、新しい絶縁材料に交換する必要があります。ただし、絶縁材料の交換には電気機器を分解する場合もあるため、専門的な知識や技術が必要です。

絶縁コーティングの塗布

絶縁材料を塗布して劣化を防止することができます。絶縁コーティングは、一般的にはポリウレタンやエポキシ樹脂などが使用されます。ただし、塗布には電気機器の分解が必要になる場合があります。

絶縁材料の加熱・乾燥

絶縁材料が湿気などによって劣化してしまった場合、加熱や乾燥によって修復が可能な場合があります。加熱は、一般的にはヒーターなどを用いて行われます。

オーバーホール

絶縁劣化が激しい場合は、電気機器の分解や部品交換、絶縁材料の塗布などを行うオーバーホールが必要になる場合があります。オーバーホールは、専門的な知識や技術が必要になるため、専門家に依頼することが望ましいです。

絶縁不良と漏電の違い

絶縁不良とは、電気回路中の絶縁材料の不良によって本来ならば絶縁されていなければならない機器に電気的な接触が生じることを指します。つまり、絶縁が不十分になり、電気信号が正しく伝達されなくなることがあります。絶縁不良が生じると、漏電が発生する可能性があるほか、電気回路の故障や機器の破損、電波干渉の発生などの問題が発生することがあります。
一方漏電とは、電気回路の絶縁が不十分になって、電気が回路から漏れ出す現象を指します。これによって、電気機器が正しく接地されない状態になり、人体に触れると感電する危険性があるほか、火災の原因になることがあります。
絶縁不良と漏電は、共通点として電気回路において安全性や信頼性に影響を与えることがあるという点では同じですが、異なる異常となります。

絶縁不良の原因は
絶縁体の劣化

電気回路に使用される絶縁材料は、長期間の使用や温度変化、湿気、紫外線などの外部要因によって劣化することがあります。絶縁材料の劣化によって、電気回路中で正常に絶縁が行われなくなり、絶縁不良が発生することがあります。

日光や蛍光灯の紫外線による
経年劣化

紫外線は多くの材料を劣化させるため、電気回路で使用される絶縁材料にも影響を与えることがあります。紫外線によって絶縁材料が劣化すると、電気信号の遮断や漏電の原因になることがあります。特に、屋外に設置された電気設備や、窓が多い建物内などは日光の影響を受ける事は容易にイメージできますが、屋内においても蛍光灯や一部のLED証明の紫外線に長時間さらされる場所では、経年劣化が進みやすく、絶縁不良が発生しやすくなります。

温度、湿度による劣化

絶縁材料は一定の温度・湿度範囲で適切に機能しますが、高温や高湿度の環境下では絶縁材料が劣化し、絶縁不良が発生することがあります。また、急激な温度変化や結露など、温度・湿度の変化が激しい環境下でも、絶縁材料が劣化することがあります。特に、屋外に設置された電気設備や、高温・高湿度の環境下にある電気設備などでは、絶縁不良が発生しやすくなります。

機械的要因による劣化

ケーブルや配線などの電気設備が振動・衝撃によって破損したり、曲がったりすると、絶縁材料が劣化し、絶縁不良が発生することがあります。また、ケーブルや配線が引っ張られたり、押しつぶされたりすると、絶縁材料が破損し、絶縁不良が発生することがあります。これらの機械的な影響は、特に設備の移動や修繕時に多く見られます。また、可動部分に設置されているケーブルや配線にも注意が必要です。

電気的要因

電気設備に過電圧がかかると、絶縁材料が耐えきれずに劣化し、絶縁不良が発生することがあります。また、雷の直撃やサージなどの異常な電圧が発生した場合も、絶縁材料が破壊され、絶縁不良が発生することがあります。さらに、電気設備に流れる電流が大きすぎる場合にも、絶縁材料が劣化し、絶縁不良が発生することがあります。

埃、油による劣化

汚染物質が絶縁材料の表面に付着すると、電気的な絶縁耐力が低下し、絶縁不良が発生しやすくなります。

物理的被害

電気設備が衝撃や振動などの物理的なストレスを受けた場合、絶縁材料が破損したり、絶縁体が剥離したりすることがあり、絶縁不良が発生することがあります。

絶縁不良となる数値
(抵抗値)

法的な合格基準

省令第58条は、日本における電気設備の安全基準に関する法律規定の一つで、一般的な電気設備の絶縁抵抗値について定めています。この省令によると、屋内の一般的な電気設備においては、絶縁抵抗値が0.1メガオーム以上であることが求められます。

省令第58条の絶縁抵抗値は
最低限の値

より高い安全性が求められる場合には、絶縁抵抗値がより高い値になることがあります。例えば、病院や高層ビル、工場などで使用される電気設備においては、絶縁抵抗値が1メガオーム以上であることが望ましいとされています。ただし、省令第58条はあくまでも最低限の基準であり、実際にはより高い品質基準が求められることもあります。

絶縁不良の調べ方・
計測方法

絶縁劣化の3つの検出方式

I0 (Io) 方式

Io方式は、最も単純で簡単な検出方式です。漏電リレーや計測器のクランプメーターもこの方式であることが多いです。
しかし直接の漏電とはならない、対地静電容量に起因する電流Iocを含む電流を検出します。そのため火災や感電の危険性はない電流となります。
現在はインバータなど対地静電容量を多く含む機器が増えている事から、常に過大な電流を検知している状態になる事も多くあります。
電流Iocを含む、漏れ電流をIoと表記します。

Ior方式

Io方式で説明した通り、漏れ電流Ioには対地静電容量に起因する電流Iocを含んでいることから漏電や感電の原因とはなりません。
漏電や感電の原因となるのは、抵抗分の電流Iorとなります。
つまり電流Iorを検出することで、Io方式より正確に漏電を検知できることから絶縁抵抗値計測にはIor方式を採用することが重要となります。

Igr方式

Igr方式は、これまでのIo方式やIor方式とは少し違う検出方式です。
Io方式もIor方式も、接地相の絶縁不良を検知できない、対地静電容量による影響で正確に検知できないなどの問題があります。
しかしIgr方式では重畳用変成器より数十㎐の低周波電圧を回路に重畳します。検出用ZCT(零相変流器)にて重畳した分による漏れ電流のみを検出し、絶縁監視装置内で商用周波数相当に変換して漏れ電流を算出することにより正確に絶縁不良を検知することができます。

絶縁抵抗測定(メガーテスタ)

メガーテスタとは、絶縁抵抗測定に使用される機器の一つで、高電圧をかけて絶縁抵抗値を測定することができます。メガーテスタを使用して絶縁抵抗を測定する場合は、以下の手順を踏むことが一般的です。

電源を切る

まず、測定対象の機器や回路の電源を切ります。また、機器に蓄積された静電気を放電させるために、スイッチやヒューズなどを操作して完全に電源を切ります。

テスタの接続

メガーテスタの測定端子を、測定対象の機器や回路に接続します。通常、測定端子は2本あり、1本を機器や回路の接地側に接続し、もう1本を高電圧側に接続します。

測定電圧の設定

メガーテスタには、定格の測定電圧が設定されています。測定前には、測定対象の機器や回路の定格電圧よりも高い電圧をかけないように、適切な測定電圧を設定します。

測定の開始

測定電圧をかけて、絶縁抵抗値を測定します。この際、測定時間が長くなるほど測定精度が高くなるため、測定時間を設定する場合もあります。測定時間は、測定対象の機器や回路の特性によって異なるため、メーカーのマニュアルを参照するなどして適切に設定します。

測定結果の確認

測定が終了すれば、測定結果を確認します。一般的に、絶縁抵抗値が高ければ高いほど、絶縁状態が良好であるとされています。測定結果に問題がある場合は、再度測定を行うか、修理や点検などの対策を行う必要があります。

絶縁抵抗監視装置

弊社がリリースしている商品の中に、絶縁抵抗監視機器形K7GEという商品があります。本機はメガーテスタと同じ検出原理(メガー方式)により絶縁抵抗を自動で計測することが可能です。これまで人の手で点検していた作業を自動計測でき、リモートで監視可能となることで、作業員の点検工数削減と点検の頻度に左右される突発停止のリスクを削減することに貢献が可能です。

絶縁抵抗監視装置

絶縁劣化による事故や
突発停止を防ぐために

設備停止や感電事故を防ぐうえで、設備の絶縁抵抗の劣化傾向を把握することは重要ですが、熟練保全員の不足や、手動計測に時間を割くことが難しいお客様が多いのが現状です。これまで絶縁抵抗を測定するには、現場へ出向いて生産を止めて電源を落としてから測定対象に合わせた電圧で測定する必要があり、測定時にはミスが発生する可能性もあります。我々は手間がかかる絶縁抵抗計測を自動化することができるソリューションを用意しています。

絶縁劣化による事故や突発停止を防ぐために

弊社製品の絶縁抵抗監視機器形K7GEであれば、絶縁抵抗を毎回同じ条件で再現性高く計測可能です。測定対象の稼働状況を監視することで、安心・安全な測定を実現します。さらに、計測自動化により計測頻度を上げることで、これまで難しかった絶縁劣化の傾向把握が可能です。絶縁抵抗監視の新しいスタイルをご提案します。

絶縁劣化による事故や突発停止を防ぐために

K7GE-MGの詳細