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変位センサ/測長センサ 概要


変位センサは、対象物までの距離を測定するセンサで、対象物の微小段差や高さ、幅、厚みなどの寸法計測も可能です。測長センサは、対象物が帯状のレーザ光をしゃ光する際の光量変化をとらえ、物体の幅や位置の測定、外径判別を行うセンサです。ここでは、変位センサ、測長センサの概要を解説します。

関連情報


変位センサとは

変位センサとは、対象物の物理変化量をさまざまな素子で検知し,その変化量を距離に演算することでセンサから対象物までの距離(変位)を計測する機器です。使用する素子により、光学式変位センサ、リニア近接センサ、超音波変位センサなどがあります。

測長センサとは

測長センサとは、対象物が帯状のレーザ光をしゃ光する際の光量変化を電気信号に変換し、寸法計測を行う機器です。

特長

①対象物の物理量を計測できます。

変位センサは物理量の変化(変位)を計測、検出します。
物体の変位量を知ることで、その物体の高さ、幅、厚みなどの寸法を計測することができます。
測長センサは物体の位置や寸法を測定します。

②ON/OFF信号の出力だけでなく、物理量の出力が可能です。

物理量のアナログ出力(電流出力、電圧出力)が可能です(一部形式を除く)。
EtherCATなどデジタル(シリアル)通信に対応したタイプもあります。

原理・分類

変位センサ

①光学式変位センサ

三角測距方式

三角測距を検出原理としたセンサで、受光素子にPSDを使用したものと、撮像素子(CCD、 CMOS)を使用したものがあります。

●PSD方式

光源から発せられた光がレンズによって集光され、物体に照射されます。
物体からの反射光を受光レンズによって一次元の位置受光素子(PSD)*上に集光します。物体の位置(センサからの距離)が変化すればPSD上の結像位置が異なり、PSDの二つの出力バランスが変化します。
この二つの出力をA、BとするとA/(A+B)を演算し、適当なスパン係数‘k’とオフセット‘C’を施すことにより

を求めることができます。

*PSD: Position Sensitive Device

●撮像素子方式(CCD方式、 CMOS方式)

受光素子にCMOS、CCDを使用することで、PSD方式に比べ、対象物の色むらや表面状態の影響を受けずに高精度な変位計測ができます。
対象物上のスポットビームを受光素子上に投影したときのCMOS、CCDの各画素の光量を検出し距離換算します。

CMOSとCCDの違い
CCDとは、Charge Coupled Device(電荷転送素子)の略で、CMOSはComplementary Metal Oxide Semi-conductor(相補性金属酸化半導体)の略です。

●正反射方式と拡散反射方式

正反射

鏡面体や光沢のある対象物できれいに反射します。

拡散反射

一般的な表面を持つ対象物の表面で四方八方に反射します。

正反射方式

物体からの正反射光を直接受光する方式で、金属など表面に光沢のある対象物を安定して測定することができます。

拡散反射方式

投光ビームを測定面に対して垂直に投光し、対象物からの拡散反射光を受光する方式で、測定範囲を広くとることができます。

正反射タイプのセンサヘッドは、対象物からの正反射光を直接受光する方式です。金属などに表面に光沢のある対象物を安定して測定することができますが、拡散反射タイプに比べ、測定範囲は狭くなります。
拡散反射タイプのセンサヘッドを正反射光を受光できるように傾けて使用する方法もあります。対象物とセンサヘッドの設置距離を離して設置できます。

●ラインビームとスポットビーム

ラインビーム方式

ラインビーム内の変位量を平均化して計測するので、計測条件にもよりますが、表面の凸凹やムラの影響を受けにくく、安定して計測できるといえます。

スポットビーム方式

表面の凸凹やムラの影響を受けやすくなります。

同軸共焦点方式

同軸共焦点とは、照射光と反射光が同じ軸になるよう配置され、対象物に焦点が合った瞬間のみ受光することで高さを算出する方式です。
対象物の材質や傾きによる受光波形の乱れがなく、常に安定した受光波形が得られるため高精度測定が可能になります。

●白色同軸共焦点方式

LED から出た白色光はセンサヘッド内の特殊レンズ群OCFLモジュールにより色(波長)ごとに異なった位置で焦点を結びます。その結果、対象物の高さに応じて焦点の一致した色の光が返ってくるため、反射光の色情報からセンサヘッドと対象物の距離を測定することができます。
白色光を色ごとに分解する特殊レンズ群はセンサヘッド側に、また白色LED光源および反射光の色情報を距離に変換する分光器と処理部はコントローラ側に搭載されています。
センサヘッド部には従来同軸共焦点で標準とされていたレンズ駆動機構や電子部品を一切必要とせず、三角測距方式はもちろんながら従来の同軸共焦点方式と比べても大幅なセンサヘッドの小型化と耐ノイズ性を実現しています。

OCFLモジュールとは、白色光を色別(波長別)に集光位置を変化させるオムロン独自のレンズです。しかも測定範囲内のどの位置でもスポット径は同じで三角測距のようにスポット径が変化することはありません。また高精度レンズ製造技術により非常に小型で駆動部も必要のないレンズ構成を実現しました。

注. OCFL:Omron Chromatic Focus Lens(色収差焦点レンズ)

光切断方式

ワイドに広げたレーザを計測対象物に照射し、断面形状を計測します。
スポットではなく、帯状のレーザ光を計測対象物に照射し、その反射光を受光素子で受光します。三角測距の原理で計測対象物の形状プロファイルを生成します。X軸・Z軸の2次元データを同時に計測できるので、センサ、あるいは計測対象物を動かす必要がありません。

②リニア近接センサ

コイルに交流電流を流すと磁束が発生する、これが金属である対象物を通過すると、対象物にこの変化を妨げる磁束を発生する渦電流が生じます。
この結果コイルのインダクタンスが変化することとなります。
このインダクタンスの変化量は、コイルと対象物間の距離の関数となり結果として対象物の距離変位が計測できます。

対象物(金属)とセンサヘッドの距離が近くなると渦電流が大きくなり、発振回路の発振振幅は小さくなります。
反対に、対象物(金属)とセンサヘッドの距離が遠くなると渦電流が小さくなり、発振回路の発振振幅は大きくなります。
対象物(金属)の位置が変化すると発振回路の発振振幅も変化するので、その発振振幅を検出することによって計測することができます。

③超音波変位センサ

送波器により対象物に向け超音波を発信し、その反射波を受波器で受信します。超音波の発信から受信までに要した時間と音速との関係を演算することで距離を算出する方式です。

④接触式変位センサ

測定対象物に直接センサが接触することで、変位量を計測します。
非接触式に比べて、高精度な計測が期待できます。

差動トランス方式

センサヘッドが対象物に接触すると、可動コアが押し込まれ、コア中心がコイル中心から移動して位置ギャップが生じます。連結した2つのコイルの両端を交流電圧で励起すると、コイル中心とコア中心との位置ギャップに対応して、両コイルのインピーダンスが変化します。この位置ギャップ(変位量)はコイルの差動電圧として直線的に出力されるため、この差動電圧を検出することによって、対象物の変位量を求めることができます。

代表機種:形ZX-T

磁気検出方式

センサヘッドが対象物に接触すると、センサ内部のS極とN極が細かく交互に配列された磁気スケールが移動します。
この時の磁束の変化を、MRセンサ(磁気抵抗センサ)で検出することによって、変位量を求めることができます。

代表機種:形E9NC-T

測長センサ

光学式測長センサ

測長センサは、物体の幅や位置を測定するセンサで、光量判別方式、撮像素子方式、レーザスキャン方式の3つのタイプがあります。
いずれも、投光器と受光器により構成されます。


最終更新日:2024年03月01日