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ファイバセンサ 概要


ファイバセンサは、ファイバアンプからの光をファイバユニットで伝送することで、狭い場所などでの検出を可能とした光電センサです。ここではファイバセンサの概要を解説します。

関連情報


ファイバセンサとは

ファイバアンプからの光をファイバユニットで伝送することで、狭い場所などでの検出を可能とした光電センサです。

特長

①狭い場所での検出が可能

検出部が小型であるのと、ファイバユニットのケーブルの柔軟性により、狭い場所などでの検出が可能です。

②耐環境性に優れる

検出部が電気回路のないファイバユニットであるため、温度、湿度、振動、衝撃、水、電気ノイズなどの悪環境下でも高い信頼性が得られます。

③設置が容易

検出物体までファイバユニットで誘導できるので、ファイバアンプの取付場所を自由に選ぶことができます。

④検出物体に対する制約が少ない

検出物体によるしゃ光や反射を検出原理としているので、近接センサのように検出物体が金属に限定されるのとは異なり、ガラス・プラスチック・木材・液体など、ほとんどの物体を検出できます。

⑤応答時間が短い

光そのものが高速であり、またセンサの回路がすべて電子部品で構成されているので機械的な動作時間を含まず、応答時間は非常に短くなっています。

⑥非接触で検出が可能

検出物体に機械的に触れることなく検出できるので、検出物体もセンサも傷つくことがありません。従って、センサを長期にわたって使用できます。

⑦色の判別が可能

検出物体による光の反射率や吸収率は、投光された光の波長と検出物体の色の組合わせに応じて異なります。この性質を利用して、検出物体の色を検出することが可能です。

⑧調整が容易

可視光を投光するタイプでは投光ビームが目にみえるので、検出物体に対する位置合わせなどが容易です。

原理

①光の性質

直進

光は、空気中や水中を進む場合、常にまっすぐ進みます。

屈折

光が屈折率の異なる境界面に入射した時、その境界面を通過後進行方向が変わる現象をいいます。

反射(正反射、回帰反射、拡散反射)

鏡やガラスのような平面上では、光は入射角と同じ角度で反射し、これを正反射と呼びます。
3つの平面を互いに直交するように組み合わせた形状をコーナーキューブと呼びます。
コーナーキューブに向けて投光すると、正反射を繰り返し、最終的な反射光は投光と対向する方向に進みます。このような反射を回帰反射と呼びます。
多くの回帰反射板は数mm角のコーナーキューブを規則正しく配列した構成となっています。
また、白紙など光沢性のない表面上では光があらゆる方向に反射し、このような反射を拡散反射と呼びます。反射形は、この原理を検出方式としたものです。

偏光

光は、その進行方向と垂直な方向に振動する波として表現できます。ファイバセンサの光源としては、おもにLEDが使用されます。LEDから投光される光は、進行方向と垂直なさまざまな方向に振動しており、この状態の光を無偏光と呼びます。無偏光の光の振動方向を一方向に制限する光学フィルタを偏光フィルタと呼びます。つまり、LEDから投光され偏光フィルタを通過した光は一方向だけに振動しており、この状態の光を偏光(正確には直線偏光)と呼びます。ある方向(たとえば縦方向)で振動する偏光は、それと垂直方向(横方向)に振動を制限する偏光フィルタを通過することができません。
回帰反射形のM.S.R機能(➜「参考資料」参照)は、この原理を応用したものです。

②光源

光の点灯のしかた
〈パルス変調光〉

ファイバセンサはパルス変調光を採用しており、一定周期で投光を繰り返すのが基本です。

光源色と種類

③構造と原理

構造

ファイバユニットには電気的な部分が全くないので、耐ノイズなど耐環境性に優れています。

ファイバアンプ(例:形E3NX-FA21/FA51)

検出原理

ファイバユニットは中心部のコアと周辺部の屈折率の小さいクラッドから構成されています。
コアに光が入射するとクラッドとの境界面で全反射を繰り返しながら光は進みます。ファイバユニット内を通って端面から出た光は約60°(機種により異なります。)の角度で拡がり、検出物体に照射されます。

分類

①検出方式による分類

(1)透過形

検出方式

投光側からの光が受光側に入るように投光側と受光側のファイバを対向設置します。
検出物体が投光側と受光側の間に来て光をさえぎると、受光器に入る光の量が減少します。
この減少をとらえ検出を行います。

特長

  • 動作の安定度が高く、検出距離が長い(数cm~数十m)
  • 検出物体の通過経路が変化しても検出位置は変わらない
  • 検出物体のツヤ・色・傾きなどの影響が少ない

(2)反射形

検出方式

投受光一体形で、通常受光側に光は戻りません。投光側から出た光が検出物体にあたると、検出物体から反射した光が受光側に入り、受光量が増加します。
その増加をとらえ検出を行います。

特長

  • 検出距離は数cm~数m
  • 取りつけ調整が容易
  • 検出物体の表面状態(色、凹凸)で光の反射光量、検出安定性が変わり、距離も変化する

(3)回帰反射形

検出方式

投受光一体形で、通常投光側から出された光は、対向設置した反射板に反射して受光側に戻ってきます。検出物体が光をさえぎると、受光側に入る光の量が減少します。
その減少をとらえ検出を行います。

特長

  • 検出距離は数cm~数m
  • 配線・光軸調整が容易(工数が省ける)
  • 検出物体の色、傾き等の影響が少ない
  • 検出物体を光が2回通過するため、透明体の検出に向く
  • 検出物体の表面が鏡面体の場合、表面反射光の受光により、検出物体が無い状態と同じになり、検出できないことがある。この影響はMSR機能で防ぐことができる
  • 近距離で不感帯をもつ

(4)限定反射形

検出方式

(2)と同じく検出物体からの反射光を受光し検出を行います。正反射光だけ入光するように設置したもので、センサから一定の距離(投光ビームと受光エリアの重なった範囲)にある検出物体だけ検出するようにしています。下記の図では(A)の位置では検出物体は検出できますが、(B)の位置では検出できません。

特長

  • 微妙な段差が検出できる
  • センサからの距離を限定しその範囲内に検出物体がある時のみ検出
  • 検出物体の色の影響を受けにくい
  • 検出物体のツヤ、傾きの影響を受けやすい

②ファイバケーブルの種類

  • 折れにくい
    折れにくく楽に配線できる 曲げ半径の小さいファイバです。曲げても光量減衰が少なく、 使いやすいケーブルです。
  • 標準
    耐屈曲や折れにくいファイバに比べ、曲げ半径が大きなファイバです。曲げ半径が大きいため、可動しない場所にお使いください。
  • 耐屈曲
    可動部で使用できる繰り返し屈曲に強いファイバです。
  • 標準反射形
    標準の反射形ファイバです。構造は以下のように投光用ファイバの横に受光用ファイバが配置されています。
  • 同軸反射形
    近距離(2mm以下)での小型物体検出に標準反射形ファイバより適しています。また、光沢物体が傾いても、標準反射形ファイバより安定して検出できます。構造は以下のように投光用ファイバの周辺に受光用ファイバが配置されています。

③ファイバユニットの分類

(1)標準取りつけ

ねじ型

標準的なねじ取りつけです。
ねじ穴加工をし、ナットで固定して使用します。

円柱型

幅のとれないスペースへの設置に最適です。セットビスで固定して使用します。

(2)省スペース

フラット型

薄型でスペースのないところに取りつけできます。
直に取りつけ可能で、専用取りつけ金具が不要です。

スリーブ型(物体に近い場所で検出)

取りつけた位置から離れた位置で検出可能なため、検出物体に近づけて検出可能です。スペースのない場所での微小物体検出に最適です。

(3)ビーム強化

小スポット反射(微小物体検出)

スポットが小さく、小さな物体を確実に検出できます。

ハイパワー(長距離設置/耐ホコリ)

大型装置での検出、大型物体の検出、ホコリが舞うような環境での検出が可能です。

狭視界(隙間越しの検出)

細いビームのため、光が広がらず、周辺物による回り込みの誤動作がありません。

背景をとらずに検出

背景(一定距離以上の位置にある物体)を検出せずに検出範囲にある物体だけを検出します。

(4)透明体検出

回帰反射形

透明物体を光が2度通過するので遮光量が大きくなり、安定検出できます。

限定反射形(ガラス検出用)

限定反射の光学系により、正反射するガラスを安定検出します。

(5)耐環境

耐薬品/耐油

さまざまな油や薬品に耐えられる材質を使用しています。

耐屈曲/耐断線

可動部での繰り返し屈曲や、ひっかけや衝撃による断線の耐性があります。

耐熱

400℃までの高温環境で使用することができます。

(6)専用アプリ

エリアビーム(エリア検出)

蛇行検出や通過位置のばらつく落下検出などエリアでの検出ができます。

液面レベル検出

パイプ取りつけや接液で、液体だけを検出します。

耐真空

10-5Paの高真空で使用できます。

FPD/半導体/太陽電池業界

ガラス基板・ウエハの検出に特化した専用商品で安定検出します。

④ファイバアンプの分類

ファイバアンプおよび通信ユニットなどの分類については、「ファイバセンサ 機能/仕様一覧セレクション」を参照ください。
http://www.fa.omron.co.jp/product/selection/499/func_spec.html


最終更新日:2024年11月01日