温度調節器とは、センサ信号と目標値を比較し、その偏差に応じて演算を行いヒータなどを制御する装置です。センサ信号に温度以外の湿度・圧力・流量などを扱うことができる装置は調節計と呼び、電子式のものを特にデジタル調節計と呼びます。ここでは、温度調節器(デジタル調節計)のトラブルシューティングを説明します。
概要 | 用語解説 |
参考資料 | トラブルシューティング |
温度センサ 概要 | 温度センサ 用語解説 |
温度センサ 参考資料 |
エラーコード表
第1表示 | 異常内容 | 処置 |
入力異常 * | 入力の誤配線、断線、短絡および入力種別を 確認してください。 | |
メモリ異常 | まず、電源を入れ直してください。 表示内容が変わらない場合は修理が必要です。 正常になった場合はノイズの影響が考えられるので、 ノイズが発生していないか確認してください。 | |
ADコンバータ 異常 * | 内部回路に異常があります。 まず電源を入れ直してください。表示内容が変わらな い場合は修理が必要です。正常になった場合はノイズ の影響が考えられるので、ノイズが発生していないか 確認してください。 | |
表示範囲 オーバー * | エラーではありませんが、制御可能範囲であっても 表示範囲を超えたときに表示されます。 ・−1999(−199.9)より小さいとき ・9999(999.9)より大きいとき | |
ヒータ断異常 * | まず電源を入れ直してください。 表示内容がかわらない場合は修理が必要です。 正常になった場合はノイズの影響が考えられるので、 ノイズが発生していないか確認してください。 |
*表示が「現在値」または「現在値/目標値」、「現在値/操作量」の場合、エラー表示します。他の状態ではエラー表示しません。
[動作確認方法]
●熱電対での使用時
入力端子を短絡すると室温が表示されます。
●測温抵抗体での使用時
入力端子に抵抗を接続し、温度表示を確認します。
Pt(白金測温抵抗体)の場合100Ωで0℃、140Ωで約100℃が表示されます。
分類 | 項目 | 特徴的波形 |
A | 温度が上昇しない。 | |
B | 温度が目標値を超えて上昇する。 | |
C | オーバーシュート、アンダーシュートする。 | |
ハンチングする。 | ||
D | 温度誤差が大きい。 |
[A]温度が上昇しない。
1.温調器の初期設定レベルを確認します。
●正動作の設定になっている → 逆動作にする。(加熱制御)
2.温度センサが正しく取りつけられていますか。
3.ヒータ、周辺機器への接続、動作を確認してください。
●ヒータの断線、劣化が発生している。
●出力量100% → ●ヒータの加熱容量は充分ですか。
●冷却系が働いていませんか。
●周辺機器の加熱防止用機器が作動している。
→ <対策>加熱防止温度設定を温調器の目標値より高く設定する。
4.SPランプ機能が働いているので制御開始時にヒータがなかなか温まらない。
[B]温度が目標値を超えて上昇する。
1.温調器の出力表示とヒータの動作が同じかを確認します。
●制御出力の配線が違う。
●制御出力リレーの動きと温調器の出力(LED表示)が違う。
2.温調器の出力とヒータ、周辺機器との接続条件を確認します。
●出力形態が違う。
●SSRの動作不良
→ <対策>漏れ電流での動作が考えられる場合は、ブリーダ抵抗をつけてください。
3.オーバーシュートの可能性があります。
PID定数を確認してください。
[C]オーバーシュート、アンダーシュートまたはハンチングする。
1.制御方法は適切ですか。
●ON/OFF制御を選択している。
→ PまたはPID制御で一般的に押えられます。
●温度上昇、下降の速さに比べ制御周期が長い。
2.PID定数の値は適切ですか。
●デフォルト値で運転している
(工場出荷時の値)
●PID定数の確認をしてください。
[D]温度誤差が大きい。
1.温度センサの入力種別が合っていますか?(温度センサの種別の設定)
2.温度センサのリード線と動力線を同一配管して引き回しているので
動力線からのノイズの影響を受けている。
(一般的には表示値がふらつく)
<対策>別配線にする。または、引き回しを少なくする。
3.温調器と熱電対の間を銅線で接続している。
<対策>熱電対のリード線を直接接続するか、または熱電対に合った補償導線で接続する。
4.温度センサの測温場所が適切か確認をしてください。
5.入力補正値が設定されていませんか?
入力補正パラメータの値をご確認ください。
制御出力しない
S.ERR(入力異常)表示が出る
警報出力しない
警報出力したままとなる