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光伝送機器 光ファイバ(形Z3F)布設工事について


光伝送機器は、RS-233CやGP-IBの汎用光インタフェース(光モジュール)、耐ノイズに優れた光ファイバ、光と電気変換の光データリンクなどの総称です。ここでは、光ファイバ(形Z3F)の布設工事について解説をします。  注. 本情報には生産中止品を含みます。

用語の説明光ファイバ(形Z3F)布設工事について
参考資料補足説明

関連情報


概要

光ファイバを現場に布設する際に役立つ、幾つかの情報を提供するものです。
光ファイバ工事に関連する諸事項の多くが、一般的な電気配線工事と類似していますが、ここでは光ファイバの固有のポイントや、器具類・取扱い方法や工法について、簡易に紹介いたします。

(1)工事計画

光ファイバの導入・選定・工事手順・工事計画などの総体的な内容について、ジョブフローのスタイルで示しました。

(2)工事関連

布設路の種別や布設方法、ファイバ先端の引張端の形態、光ケーブルの固定法など、基本的な工事内容について、概略を図示を主として説明しています。

(3)関連データ

関連データとして、電線管・カップリングなど、関連する部品について、代表的なものについて紹介します。

工事全般

●光ファイバの導入

光ファイバの導入にあたっては、用途・使用環境・布設条件によって様々なケースが考えられます。特に工事を要する場合には、事例の検討が必要です。その手順の概略を次に示します。

●工事手順

光ファイバの布設工事の標準的なフローは次のとおりです。布設形態によって様々なフローがありますので適宜選択して計画を立案してください。

●工事計画

工事のベースになる作業で、機材の決定・コスト計算・スケジューリング・作業者の手配など、大半は電線工事と同じです。
ここでは光ファイバ工事に固有なポイントについて説明します。

工事の実際

●布設路

布設方法は布設路およびファイバ形態によって種々あります。

布設路内容
フリー配線
(屋内)
主に天井裏のフリーな配線
ラック
(屋内・屋外)
水平、垂直のラックに配線
Cチャンネル
(屋内)
樹脂性や、金属性のCチャンネル
電設管
(屋内・屋外)
機器間、建物内、壁面など各所の配線
線樋
メタルモールディング
(屋内)
ダクト、床下、床面、壁面など
架空
(パイロットワイヤ)
(屋外)
建屋間など屋外架空配線

●光ファイバの形態

工事に特に関連する、光ファイバの端部の形態は次のような形態があります。

光ファイバ形態

ファイバ形態長所短所
両端コネクタ付
ファイバ
(注)
・トータルコストが安価。
・現場施工が簡単。
・施工期間が短くて済む。
・光コネクタ接続部が高品質で安定する。
・条長を正確に予測する必要がある。
・細い電線管には通管できない。
・フレキシビリティがない。
 (経路変更、分割など)
ファイバのみ
・細い電線管も通管しやすい。
・フレキシビリティが高い。
 現場に合わせて自由な布設が可能。
・トータルコストが割高になる。
・ファイバ本数が多い場合には、施工期間が
 長い。
・光コネクタ接続部の品質にバラツキがでや
 すい。

注. ・プリングアイは、標準品にはついていません。
  ・プリングアイは、再生使用が可能です。
  PCFの場合は、大半が両端コネクタ付施工です。

●引張端

引張端には、プリングアイ・ケーブルグリップなど種々の物がありますが、一般的には、プリングアイを使用します。

光ファイバ形態

種類加工・施工法
プリングアイ
光コネクタをつけたまま、またはフェルール状態にして保護カバーに
入れる。テンションメンバーを固定金具に、固定ねじにて取付、光ファ
イバをスペーサを介してカバーにテーピング固定。カバーに金具を
テーピング固定する。
ケーブルグリップ
フェルールを保護チューブに入れ上からケーブルグリップをかぶせて
端部を編んで固定した後、ビニールテープでテーピングする。引張
リングにメッセンジャーをかけ引張る。
テーピング
フェルールを保護チューブに入れて、メッセンジャーに直接ビニール
テープで巻付け、取りつけし、メッセンジャーを引張る。



ワイヤをクロスしながら編み上げて、先端部に引張リングを形成、
メッセンジャーを引張リングにかけて引張る。
管路布設

布設に先だって、管路に通したメッセンジャーの後端で光ケーブルの引張端を作ります。メッセンジャーの長さは50m程度とし、プルボックス間隔2つ位をまとめて布設してゆくのが適当です。
布設途中に、いくつかのプルボックスがある場合、途中プルボックスでは光ケーブルをすべて引き出してから次のプルボックスへと布設してください。
このとき、次の点に注意してください。

  • プルボックスから引き出した光ケーブルは「8の字取り」を行い、光ケーブルのキンクや人に踏まれる危険を避けてください。

8の字取り

  • 布設中の光ケーブルには、不要なたるみが生じないように、一定の張力と速度で送ってください。
  • 引張端の部分は逆方向に引張ったり、押し戻したりすることは避けてください。
  • 布設時の張力は、各ファイバのスペック内(下表)にしてください。
区分形式許容張力
コネクタ/ファイバファイバ
TCF  
(N)
TF          
(N)
PCF形Z3F2-4D□19.6147
形Z3F2-42D□980
形Z3F2-3L□147
形Z3F2-32L□980
Cチャンネル布設

形Z3F□-42□などケーブルではCチャンネル布設が行われます。
この場合、あらかじめ金車を約10mおきにCチャンネルの布設路に沿ってつりさげておきます。金車にはロープを通しておき、その後端に光ケーブルの引張端を接続します。ロープの先端を引張って光ケーブルを金車の間を通して送っていきます。

Cチャンネル布設(1)

金車に沿って光ケーブルが全て送られた後、Cチャンネル内に光ケーブルを入れます。

Cチャンネル布設(2)

メッセンジャーの挿入または金車の取付
  • 布設作業に入るときにはまず、布設路が管路の場合、中にメッセンジャーを通し、Cチャンネルや架空の場合、金車の取りつけを行います。
    これは、従来のメタルケーブルと作業方法と手順は同じですが、メッセンジャーや金車の大きさが異なります。
  • メッセンジャーは、形Z3F□-4□コードでは光ケーブルが細いので鋼線をプラスチックで被覆した直径5mm程度の太めの可とう性のあるコードを用いてください。
    ケーブルでは、光ケーブルの補強が行われていますので金属性の細いワイヤをメッセンジャーとすることができます。

メッセンジャー(ミノル工業㈱)

品名線径(mm)長さ(m)破断荷重(kg)
イエローラインΦ 5.130・50125
品番線径(mm)長さ(m)破断荷重(kg)安全荷重(kg)
MW-6030Φ 5.730650440
MW-605050
MW-6100100
  • 光ケーブルの先端が保護されていて太くなっていますので、金車は先端部が楽に金車の中を通ることができるような大きな金車を用いてください。
光ケーブル/コードの固定

光ケーブル/コードの固定は、完全に光ケーブルの位置が決まってから行ってください。固定の手段としては次のものがあります。

  • インシュロックで縛る。(ガイドと光ケーブルが平行なとき)
  • DKNクランプスポンジ付を用いる。
  • FVラックを用いる。(ガイドと光ケーブルが垂直のとき)

インシュロックによる固定

DKNクランプ・スポンジ付きを用いた光ケーブルの布設例

FVラックを用いた布設例

光コネクタの先端保護

光コネクタの先端保護の代表例を次に示します。
光コネクタ先端部をビニール袋(幅40mm×長さ80mm)に入れ、ビニール袋を折りたたみます。ビニール袋の口をテープでまいて束ねます。さらにビニールテープでビニール袋半分以上をテーピングします。
(組立用光コネクタでは、ファイバとの組付けの後、プラグケースをつけない状態で同様の処置をすることがあります。)

光コネクタ先端保護

●ケーブルタイプ

光コネクタをそのまま、または分解した先端部を保護する仕方について示します。

プリングアイによる保護

コネタク部は分解してからプリングアイを装着することをお勧めします。

チューブとビニールテープによる保護

光ファイバの梱包

●光ファイバの梱包仕様

内容形Z3F2-3L□/-4D□形Z3F2-32L□/-42D□
束巻き
1~100m1~100m
ボビン巻き
101~1,000m
ドラム巻き
101~1,000m
光ファイバの光損失測定

光コネクタ付光ケーブルの布設前後には、必ず光出力の測定を行い光ケーブルの光出力が布設工事により変化のないことを確認してください。
光出力測定には、下記光パワーメータを推奨します。

グレイテクノス株式会社製 モデル205A、モデル208のいずれかにJIS F07用コネクタアダプタ180-HTLの組み合わせで測定が可能です。
詳細は、下記ホームページを参照ください。
 http://www.graytechnos.com

取り扱いについて

●ドラムの保管

光ケーブルは、屋外などの悪環境での保管は極力避けてください。やむをえず短期間、屋外で保管しなければならない場合は、直接日光や雨水があたらないようにシートに必ずかけてください。

●ドラムの開梱

  • ドラム巻きの外観は下図のように、本巻き部と巻き始め端末とがしきり板によってわけられています。光ケーブル延線にあたっては本巻き部の巻き終り端末(引張端)から実施してください。

光ケーブルドラム

  • 光ケーブルドラムの据え付けにはケーブルジャッキかアンダーローラを使用し、スムーズに光ケーブルドラムが回転できるようにしてください。
    また、光ケーブルの引張端が光ケーブルドラムの上側から出るように、回転方向にも注意してください。

光ケーブルドラムの繰出し

●管路や線樋の光ケーブル取り出し口

  • 原則として、下向きにしてください。横向きに出しますと、物が光ケーブルに当たって光ケーブルの断線が起こる可能性がありますので、光ケーブルの取り出し口は下向きとしてください。

取り出し口

●布設張力

  • ケーブルの布設張力は、下図のようにして、ケーブルのけん引部で測定することができます。
    (管路布設張力の推定方法は、「管路布設」をご参照ください)

布設張力測定

  • 張力計の読みがT1、引き網の角度がθ の場合、ケーブルの布設張力Tは次式で求められます。
  • 布設張力が光ファイバケーブルの最大許容張力を超える場合は、途中にプルボックスなどを設け、「8の字取り」によって一旦ケーブルをため、残りを布設する方法をとる必要があります。
    また、長期間にわたって張力をかけたままにしておくことは光ファイバの特性上好ましくないので、布設後は必ず張力を解放するようにしてください。

最終更新日:2024年03月01日