高調波について解説

高調波とは

高調波とは基本周波数の波形に対して、その整数倍の周波数成分のことをいいます。たとえば2倍の周波数成分を第2高調波、3倍の周波数成分を第3高調波、n倍の周波数成分を第n高調波と呼びます。高調波は進相コンデンサの焼損やスイッチング電源の電圧降下などを引き起こすことで問題となっています。

高調波を活用した
機械システムの解析

近年、高調波を機械システムの解析に用いられるケースが増えています。ここでは、高調波が機械システムの劣化に効果する原理、高調波を活用することのメリット、活用事例などを紹介します。

高調波の原理

モータなどの設備に発生した振動や衝撃によってモータの軸に伝わります。モータ内部のロータ(回転部分、負荷側と接続)とステータ(固定部分、モータ本体)の間の長さ(ギャップ)が大小変化することによって電流に影響を及ぼします。それが高調波成分となって現れます。この原理を活用して、機械システムの劣化を高調波でモニタリングすることで、機械システムの突発的な故障を未然に防止することが可能になります。

高調波の原理

高調波を活用するメリット

機械システムの解析に高調波を活用するメリットは主に2つあります。

設備への後付け可能

振動センサなどモータ本体への加工設置工事が必要な解析手法と異なり、電流の場合はモータの動力線にカレントトランス(変流器)を取り付けるだけで設置が完了します。

外乱影響が少ない

振動センサの場合、解析対象としている機械システム以外の振動も受けてしまうため、様々な設備が稼働している生産工場では正しい解析が困難です。一方で高調波は、解析対象設備のモータ側と負荷側のギャップを捉えます。外部の振動はモータと負荷側の両方に対して影響を及ぼすため、そのギャップ自体に変化を与えることは少ないです。そのため、外乱の影響が少ないと言われています。

高調波の検出

一般的な電流計では高調波の検出は不可能です。高調波の検出や観察のためには主に以下3つの方法があります。

スペクトルアナライザー

スペクトルアナライザーは、信号の周波数スペクトルを解析して、周波数成分の強度をグラフ化する機器です。高調波は、基本周波数の倍数であるため、スペクトルアナライザーを使用して、高調波周波数成分が基本周波数の倍数であることを確認できます。

高調波測定機

高調波測定器は、高調波の周波数成分を測定するための専用の機器です。これらの測定器は、周波数範囲や測定精度などの異なる機能を持っており、測定目的に応じて適切なものを選択する必要があります。

オシロスコープ

オシロスコープは、電気信号を時間軸と電圧軸でグラフ化する機器であり、高調波を視覚的に検出することができます。高調波の波形は、基本周波数の波形に比べてより歪んでおり、オシロスコープを使用して、歪みの程度を確認することができます。

高調波の活用事例

高調波を用いることで、以下のような異常や劣化を捉えた事例があります。

  • ベアリング劣化
  • カップリングの異常
  • 軸のアンバランス
  • ベルトの緩み
  • 負荷側の損傷

高調波を活用した
オムロンの状態監視機器

オムロンには高調波を活用した機械システムを解析できる機器として、アドバンスド・モータ状態監視機器K7DD-PQがあります。これはモータの次数ごとの高調波の含有率を数値化し、その傾向監視をすることで、モータの劣化傾向を見える化することができます。また、電流の歪みの大きさを数値化して三相誘導モータの状態を見える化するモータ状態監視機器K6CM-CI2(電流総合診断タイプ)があります。

高調波を活用したオムロンの状態監視機器 高調波を活用したオムロンの状態監視機器 高調波を活用したオムロンの状態監視機器

K7DD-PQの詳細