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光電センサ 参考資料


光電センサは、光の様々な性質を利用して物体の有無や表面状態の変化などを検出するセンサです。ここでは、光電センサの参考資料を解説します。

概要用語解説
参考資料 

関連情報


特性データの読み方

透過形/回帰反射形

平行移動特性受光出力余裕度−距離特性
形E3Z-T□1(T□6)の特性例
形E3Z-T□1(T□6)の特性例
・透過形の場合:投光器の位置を固定したときの、受光器の検出限界位置を示します。
・回帰反射形の場合:センサの位置を固定したときの、回帰反射板の検出限界位置を示します。
・いずれの場合もボリウムはMAXです。上下両側の線に囲まれる領域が検出可能領域です。
・複数の透過形を設置する場合、相互干渉をさせないために図示の1.5倍の領域が必要です。
・受光出力余裕度は、感度を最大設定とした場合の数値で示します。
・上記は定格検出距離が15mの機種の例です。
 定格検出距離において受光出力余裕度は約6倍であることが読取れます。

拡散反射形

動作領域特性検出距離−検出物体の大きさ特性
形E3Z-D□1(D□6)の特性例
形E3Z-D□1(D□6)の特性例
・標準検出物体をY 方向(光軸に垂直な方向)に移動させたときの、検出開始位置を示します。
 図中で、下側に湾曲したグラフは、検出物体を下側から移動させたときのものです。
・検出物体の大きさや表面の色によって、検出距離がどのように変わるかを示します。
注. これらは標準検出物体に対する値で、検出物体が変われば動作領域、検出距離も変わります。
使い方と各種データ

①最小検出物体とレンズ径、感度の関係

  • 透過形の光電センサを使用する場合、最小検出物体の大きさは、レンズ径で決まります。
  • 透過形の場合、投・受光器の間際よりも、投・受光器の中間の方が小さい物体を検出可能です。
  • 一般的な目安としては感度ボリウムを変えることによってレンズ径の30~80 %の物体を検出することができます。
  • 詳細については各商品の「定格/性能」の表を確認してください。

反射形の光電センサに記載されている最小検出物体の大きさは、背景物体がない状態で最大感度にて検出した値です。

感度ボリウムmax.のとき感度を調節すれば

レンズ径の80%の物体を検出できます。

レンズ径の30%の物体まで検出可能です。

② 段差検出

検出可能段差と設定距離による選択(代表例)

形状
特長・アンプ内蔵形
・超小型
アンプ分離形アンプ内蔵形アンプ内蔵形
形式形E3T-SL1□形E3C-LS3R形E3Z-LS形E3S-CL1

③ M.S.R.機能(Mirror Surface Rejection:鏡面体光沢除去)

〔原理〕

回帰反射形の光電センサ内蔵の偏光フィルタと回帰反射板の特性を利用し、回帰反射板からの反射光だけを受光する機能、機構です。

  • 投光側の偏光フィルタを通過した光は横方向の偏光になっています。
  • 回帰反射板のコーナーキューブに反射した光は偏光方向が横方向から縦方向に変わります。
  • その反射光は受光側の偏光フィルタを通過して受光素子に達します。

〔目的〕

表面が鏡面状の検出物体を安定して検出するための一方法です。
このような検出物体からの反射光は偏光方向が横方向のままなので受光側の偏光フィルタを通過できません。

〔例〕

検出物体の表面が粗く、光沢のない検出物体の場合(②)にはM.S.R.機能がなくても検出可能です。
これに対して検出物体の表面が滑らかで光沢を帯びている場合(③)、M.S.R.機能がないと安定検出ができません。

①検出物体がない場合②光沢のない検出物体の場合③検出物体の表面が滑らかで光沢がある場合
  (例:電池、缶詰など)
投光部からの光が反射板に当り、
受光部にもどります。
投光部からの光は検出物体で遮られ、
反射板に到達せず、受光部にはもどり
ません。
投光部からの光が検出物体で反射して、その
反射光が受光部にもどります。

〔注意〕

光沢度の非常に高い検出物体やフィルムなどを貼りつけた光沢物体を検出する場合、動作が安定しないことがあります。
このような場合は検出物体の表面に対してセンサを斜めに取りつけてください。

M.S.R.機能付回帰反射形

M.S.R.機能付回帰反射形
構成による分類形式
アンプ内蔵形形E3Z-R61/R66/R81/R86
形E3ZM-R61/R66/R81/R86/B61/B66/B81/B86
形E3ZM-CR61(-M1TJ)/CR81(-M1TJ)
形E3S-CR11(-M1J)/CR61(-M1J)
アンプ分離形形E3C-LR11N/LR12N、形E3NC-LH03
電源内蔵形形E3JM-R4□4(T)、形E3JK-R□12

注. M.S.R.機能商品をご使用の場合は、必ず当社の反射板をご使用ください。

M.S.R.機能がない回帰反射形

M.S.R.機能がない回帰反射形で、光沢のある物体を検出する場合はセンサを検出物体に対して斜めに取りつけ、正反射を受けないようにしてください。
M.S.R.機能付回帰反射形
構成による分類形式
アンプ内蔵形形E3Z-B61/B62/B66/B67/B81/B82/B86/B87
電源内蔵形形E3JK-R□11/R□13

④複屈折を持つ透明体検出技術 P-opaquing(Polarization-opaquing)機能

透明体の検出において、検出物体の形状による屈折や、表面の反射による光量減衰による検出方式では、十分な余裕度を確保することは困難です。
この機能では、複屈折を利用することで余裕度を大幅に向上させました。
検出物体を通過する際に乱れた偏光成分をオムロン独自の特殊偏光フィルタによりカット、受光量を大きく減衰させることにより、高い安定検出、簡単な感度調整を実現しました。「P-opaquing」は、「偏光(Polarization)を応用し、複屈折を持つ透明体を不透明にする(Opaquing)」という意味の造語です。

P-opaquing機能付回帰反射形
構成による分類形式
アンプ内蔵形形E3ZM-B、形E3S-DB

⑤ 表面色と光源の反射率

表面色の反射率特性

カラーマークの判別可能な色(代表例)

数値は、余裕度(=受光量の比率、代表例)を表しています。大きな値ほど安定検出が可能です。
白色光源タイプは、すべての組合せに対応できます。

センサ光源色商品分類形式
赤色光源
ファイバセンサ形E3NX-FA、形E3NX-MA
形E3X-HD
形E3X-ZV、形E3X-MZV
形E3X-SD
形E3X-NA
光電センサ形E3C-VS3R、形E3C-VM35R、形E3C-VS7R
緑色光源
光電センサ形E3C-VS1G
白色光源
ファイバセンサ形E3NX-CA
R/G/B 3光源
光電センサ形E3S-DC

⑥ 自己診断機能

自己診断機能とは、設置後の環境変化、特に周囲温度の変化に対する余裕度を自己診断し、表示灯や出力により知らせる機能です。故障や経年変化によるセンサ面への汚れ、光軸ズレなどを早期発見できるひとつの手法として有効です。

〔原理〕

センサの安定状態から不安定状態への変化を知らせる機能で、表示機能と出力機能に大別できます。

表示機能

  • 安定表示灯(緑色LED)
    設置後の環境変化(温度、電圧、ほこりなど)に対する余裕度を自己診断し表示灯で示します。(余裕度が十分であれば点灯です。)
  • 動作表示灯(橙色LED)
    出力の状態を示します。

出力機能

表示灯で示される余裕度を出力して知らせます。

〔目的〕

光電センサの光軸ズレ、レンズ面(センサ面)の汚れ、床面や背景の影響、外部ノイズの状態などセンサの異常や故障を予知し、搭載設備の安定稼働のための保全に有効です。

*検出物体の移動速度が低速の場合にも自己診断出力が出る場合がありますので、使用に際してはONディレイタイマ回路などを組み入れてご使用ください。

* 機種によっては入光表示灯のタイプもあります。(赤色または橙色)

〔例〕入光時ONの場合

表示灯の
状態
橙色表示灯の示す入・しゃ光状態緑色表示灯の示す温度変化に対する余裕度自己診断出力診断状況の例
入光
(橙色表示灯:点灯)
安定して使用できます。
(余裕度10~20%以上)
(緑色表示灯:点灯)
動作レベル
×1.1~1.2
安定余裕度が不十分です。
(緑色表示灯:消灯)
このような状態が一定時間以上続いたとき出力によりそれを知らせます。入光時に不安定になるときの例
①振動などで微妙に光軸がずれた場合

②ホコリなどの付着でレンズが汚れた場合
動作レベル
しゃ光
(橙色表示灯:消灯)
しゃ光時に不安定になるときの例
①検出物体から漏れ光がある場合(透過形、回帰反射形)

②床面、背景物体から反射光をうけている場合(拡散反射形)

③外部ノイズの影響を受けた場合
動作レベル
×0.8~0.9
安定して使用できます。
(余裕度10~20%以上)
(緑色表示灯:点灯)

〈適用機種〉

構成による分類形式自己診断機能
表示機能出力機能
アンプ分離形形E3C-LDA□Nデジタル表示
形E3NC-Lデジタル表示●(2出力タイプのみ)
形E3C●(形E3C-JC4P)
アンプ内蔵形形E3Z
形E3ZM(-C)
形E3T
形E3S-C
形E3S-CL

最終更新日:2024年03月01日