産業用PCによる制御と情報の融合 後編~市場変化への
打ち手~

前編 では、製造業の市場変化、業界ごとのコントローラの棲み分けとPCのFA分野への浸透についてお話ししました。
図にまとめるとこんな感じになります。

市場の3つの変化

市場の3つの変化

PLCとIPCの2020年時点の
市場規模と成長率予測

下の表はPLCとIPCの年間平均成長率(CAGR)をしています。調査会社のデータによると、2020年に向かってIPCが今後大きく成長していくことが予想されています。

  PLC(ハード) IPC
2020年の市場規模(米ドル) 10,967M 4,007M
CAGR(年平均成長率) 5.1% 6.7%
  HIS調べ ARC調べ

全体の流れの説明はこれくらいにして、ここからは、もう少し具体的に業界の変化を見ていきましょう。

業界変化の変化が生み出す
IPCの活用場面

業界変化 VS IPCの活用
市場の変化 生まれる要求 IPCの活用場面
自動車 レシプロエンジン モータ・電子制御 右矢印 高品質電子部品・トレーサビリティー 【現場管理と試験・検査工程】
  • 現場状況を見える化する
  • シミュレーションを実行する
  • PLCと連携し検査データを集積・分析する
鉄板金ボディ カーボン成形ボディ 右矢印 サーボプレス・レーザー加工
車格相当 全車格ラグジュアリ化 右矢印 製造データのプラットフォーム化
固定的趣向 自由な選択・アイディア 右矢印 シミュレーション・テストで短期開発
デジタル 製造優先サイズ 使い手優先サイズ 右矢印 高密度部品製造 【半導体前工程装置】
  • 装置メーカーのアプリ環境を継承(C/C++)
  • イベント・ドリブン型リアルタイム制御(RTOS)
  • EtherCATベースの"つなぎ"を提供
  • プロセス制御を止めない
    (ウエハ損失リスク回避)
  • 多軸モーションでウエハハンドリングロボット制御
基本機能重視 多機能・大容量 右矢印 微細化・薄膜化(高密度・機能集約)
ハード主導 ソフトが製品ヒットのキー 右矢印 標準技術・PC技術の活用
シンプル形状 曲線・斬新・複雑化 右矢印 CNC・ロボティクス技術の活用
三品 コスト重視 安全重視 右矢印 製造データ管理・感覚的操作 【包装機】
  • 包装機制御のトレンドは欧州のIPCがリード
  • IPC化移行の80%はIPC1台での制御要望
    コストダウン、スループットアップ、信頼性アップ
  • PC技術の積極的利用
    日本市場でも中・高レベル装置に機会あり
安かろう、それなり 高品質・多機能 右矢印 工程増加とライン化
ローカル規制 世界標準順守 右矢印 世界標準への迅速な対応

自動車、デジタル、三品(食料品、薬品、化粧品)といった業界では、制御への要求に変化が生まれています。

たとえば、自動車業界では従来はレシプロエンジンだったものが、モータになり、これまでガソリンで動いていたものが今は電気で動いています。ボディも軽量なカーボン素材になるなど、加工技術や製造技術が大きく変わってきます。 こういった変化に適応するために、IPCという、より自由度が高いものが必要になってきます。特に検査工程などはより複雑になっていますので、こういったところでIPCが多用されていくでしょう。

デジタル業界では、スマートフォンに代表されるように、大容量化、通信の高速化が進み、中で使われている半導体はより小型化、大容量化が求められ、最先端の技術が必要になっています。 これらに対応するには、データを活用し、プロセスを駆使していく中でデータハンドリングに優れたIPCが多用されていきます。

三品業界については、安くてそれなりのものから、より高品質で価格も高くないものが求められています。そうすると、管理された状態で複数の機械で品質・質感を作りこんでいくことが必要です。 先行しているヨーロッパの包装機では、これまでPLCと表示器を組み合わせて実現していたのが、IPC1台で実現しようという流れがあります。

ハード・ドリブン制御から
ソフト・ドリブン制御へ

従来は市場で要求される機能をハードウェアの形で提供していましたが、IPCでは機能をハードウェアではなくソフトウェアで提供しています。将来はお客様が自分で、実現したいことを自由に組み合わせて付加価値の高いコントローラを作り上げる時代が来ると予測されます。ハード・ソフトの観点からPLCと比較したのが次の図です。

PAC( Programmable Automation Controller ):ARCが定義した高性能PLCの名称です。

ハード・ドリブン制御からソフト・ドリブン制御へ
  PLC 高機能PLC IPC
市場要求の対応方法
  • 個別ハードを作成
  • ASICで機能実現
  • ファームウエアで機能搭載
  • 標準技術で対応(ネットワーク、言語)
  • 汎用CPUで構成(独自ASIC排除)
  • FB(ソフト)で機能追加
  • ハードもソフトも標準技術
    (PCアーキテクチャー)
  • 高級言語でアプリの透明化/継承性確保
  • 機能ソフトで専用コントローラ化
  • OSS、ミドルウエアで自由に拡張
顧客意識
  • スタンドアロンな機械制御
  • I/O制御にフォーカス
  • 同期制御
  • 周辺との接続性確保(フィールド/上位)
  • データ演算
  • PC技術・機器の活用
  • グラフィカル処理/画像処理/科学演算
  • IoT、リモートメンテナンス
コンセプト 小型・耐環境性 高速・高精度を汎用ハードで実現 機能ソフトの組み合わせでコントローラを実体化
(機能別にハードを作り込む必要なし)

制御と情報処理の融合が進み、制御の核はソフトウェアによって作り上げられようになるでしょう。ハードの形は異なっても、同じソフトが動き同じ機能が実現できる制御コントローラが次世代制御を支えるキーとなる。ソフトウエア・ドリブンによって、やりたいことを「いつでもどこからでも指先で実現できる」 状態が次世代の制御と考えます。IPCはこういった時代のプロローグです。

機能ソフトウェアで
専用コントローラを作る

未来志向のソフトで簡単に
必要なコントローラが作れる仕組み

実際にオムロンのIPCを見てみると、PLC制御を行うソフトウェアを搭載すると高機能なPLCとして動作し、CNC制御が行えるソフトウェアを搭載すると、CNCコントローラとして動作するような仕組みになっています。

未来志向 ソフトで簡単に必要なコントローラが作れる仕組み

多軸モーション機能を搭載すると

多軸モーション機能を搭載すると

オムロンのIPC、
「変化」への打ち手

ここまで説明してきました業界の変化を受けてオムロンが作り上げたものが産業用PCプラットフォームです。

オムロンの産業用
PCプラットフォーム

オムロンのIPCは情報処理と制御を融合させて、より使いやすく、新しい制御に適したコントローラです。将来的にはクラウドやAIといった技術がつながって行くプラットフォームに変わっていきます。この技術を発展させて市場要求に応えていこうというのがオムロンの制御戦略です。

オムロンの産業用PCプラットフォーム

制御進化と情報革新の融合を実現するために、オムロンは培った制御ノウハウをベースに、PCアーキテクチャーを活かした情報処理を融合し生産性の向上を具現化していきます。

オムロンのIPC、「変化」への打ち手

IPCを使った制御のグローバルでの市場規模を示します。市場が先行しているヨーロッパ、市場規模が大きいアジア、アメリカ。この3つの市場に対してオムロンは4つの種類のIPCをご用意しました。

  • PLCの制御が行えるIPCマシンコントローラ
  • リアルタイムOS(RTOS)を搭載して制御を行うIPC RTOSコントローラ
  • Windowsを搭載した産業用PC
  • CNC制御など特化した制御を行うIPCプログラマブル多軸モーションコントローラ
オムロンのIPC、「変化」への打ち手

製造現場の足元から
クラウドまでを
シームレスにカバー

ひとつの工場ライン、センサ・ドライブ・安全機器・画像センサといったもの、そしてこれらをつなぐEtherCATネットワーク、この上に機械を動かすPLC、共通言語を持ったPLC、こういったものが、これまでもオムロンの制御機器ラインナップには揃っていました。

さらに、この上にデータを上位ネットワークに上げるIPCを揃えることで、工場を一貫したデータをつなぐ、つまり、生産性をもっとも効率よく向上させることができるシステムを弊社の製品だけで構築することができるのです。

注記:この記事は、2016年12月9日、「Industrial Automation Technology Center(IATC)」で行った講演内容を書き起こし
抜粋・再構成したものです。内容は2016年12月当時の情報で、現状と異なる場合がありますのでご了承ください。