フォト・マイクロセンサは、主に機器内蔵用として使われる小型のアンプ内蔵光電センサです。ここでは、フォト・マイクロセンサの共通の注意事項を説明します。
共通の注意事項 | 機器内蔵用フォト・マイクロセンサ 共通の注意事項 |
各商品個別の注意事項は、各商品ごとの「正しくお使いください」をご覧ください。
プレスの安全装置またはその他の人体保護用の安全装置としてはご使用できません。
本製品は安全性にかかわらない、ワークや作業者の検出用途に使用されることを意図しております。
安全確保のために以下の各項目の内容を必ず守ってください。
●配線時
項目 | 代表例 |
電源電圧について 使用電圧範囲を超えて使用しないでください。 使用電圧範囲以上の電圧を印加したり、または直流電源 タイプのセンサに交流電源(AC100V以上)を印加すると、 破裂したり、焼損する恐れがあります。 | DC3線式タイプのNPN出力センサの場合 |
負荷短絡について 負荷を短絡させないでください。破裂したり焼損する恐れが あります。 | DC3線式タイプのNPN出力センサの場合 |
誤配線について 電源の極性など、誤配線をしないでください。破裂したり焼損 する恐れがあります。 | DC3線式タイプのNPN出力センサの場合 (例)極性間違い |
DC3線式タイプのNPN出力センサの場合 (例)極性間違いおよび配線間違い | |
負荷なし接続について 負荷なしで電源を直接接続すると内部素子が破裂したり、 焼損する恐れがありますので、負荷を入れて配線して ください。 | DC3線式タイプのNPN出力センサの場合 |
AND接続について 右図のようにAND接続した場合、センサ2のGNDが確実に 接地されていない状態でVccに電圧が印加されます。 故障する場合がありますのでこのような結線は行わないで ください。 また、機種によってはセンサ1がONした時に発生するセンサ 2の突入電流により故障や、誤作動が発生する場合があり ます。 |
●取りつけ時
・形EE-SX、SYで始まる直流光方式のフォト・マイクロセンサは機器内蔵用のため、特別な外乱光対策は施していません。直流光方式のセンサを白熱灯下などの外乱光の影響があるところでご使用になるときは、外乱光の影響を避けるように設置してください。
・センサの取りつけの際は、ソリのない取りつけ部に確実につけてください。
・フォト・マイクロセンサをねじ締めつけで固定する場合は、M3ねじをご使用ください(ねじの緩み防止のためバネ座金を合せてお使いください)。そのときの締めつけ強度は0.59N・m以下にしてください。
注. 締めつけ強度は、機種により異なりますので、各商品個別の注意事項をご覧ください。
・センサの検出部に物が衝突しないようにしてください。検出面などに傷がつくと特性劣化にいたります。
・振動・衝撃などで取りつけのゆるみ、ガタなどが生じていないか確認の上、使用してください。
●配線時
サージ対策について
・電源ラインにサージがある場合、使用環境に応じてツェナーダイオードZD(30~35V)やコンデンサ(0.1~1μF)などを接続し、サージが消えることを確認した上でお使いください。
・リレーなどの小型誘導負荷を駆動する際は下図のように配線してください。(このとき、逆電圧吸収用のダイオードを必ず接続してください。)
・高圧線、動力線とフォト・マイクロセンサの配線が同一配管、あるいはダクトで行われると誘導を受け、誤動作あるいは破損の原因となる場合もありますので、別配線または単独配管にしてください。
・コネクタ(専用もしくは市販)を装着するときは、ロックが確実にかかったことを確認してください。
電圧出力について
・オープンコレクタ出力のセンサを電圧入力仕様に接続する場合は、電源・出力間に抵抗器を介することによって接続可能になります。
下記の例を参考に抵抗値を選定ください。なお抵抗値は4.7kΩが一般的に用いられます。また抵抗器のワット数は電源電圧24Vで1/2W、12Vで1/4Wが適当です。
〈例〉
形EE-SX670シリーズ
抵抗値R=4.7kΩの場合
“H”レベル時
“L”レベル時
入力電圧VL≦0.4V
(負荷電流40mA時の残留電圧)
注. 負荷電流に対する残留電圧はセンサの定格をご確認ください。
配線時取り扱いについて
端子には下図のようなストレス(外力)を加えないようにしてください。破損の原因になります。
●設計時
ご使用時は、完全しゃ光状態になるように設計ください。検出物体は、金属体を推奨しています。(赤外光タイプでは、樹脂製の検出物体を透過して検出が安定しない場合があります。)
ご使用されない端子(L端子、出力線など)には端末処理を実施し、配線はしないでください。
変調光方式フォト・マイクロセンサについての注意
変調光方式のフォト・マイクロセンサ(形EE-SPで始まる機種)をご使用になる際は、電源やコード長の影響に十分留意のうえ設計ください。
直流光方式(形EE-SX、SYで始まる機種)に比べ、影響を受けやすくなっています。
・影響を受けやすい変調光方式の機種
形EE-SPX301/401、形EE-SPY30□/40□、形EE-SPZ301□/401□、形EE-SPY31□/41□、形EE-SPX303N/403N、形EE-SPW311/411、形EE-SPX74□/84□、形EE-SPX□□□-W
・影響を受けにくい変調光方式の機種
形EE-SPX613、形EE-SPY801/802
変調光方式が電源やコード長の影響を受けやすい理由
「フォト・マイクロセンサ 技術解説」の「原理」で示したように、変調光方式では投光LEDをパルス点灯しています。このパルスタイミングにあわせてフォト・マイクロセンサには瞬時大電流が流れ、それにより消費電流が脈動します。
光電センサなどにおいては、十分な容量のコンデンサを内蔵させることで、消費電流の脈動の影響が出ないようにしていますが、小型のフォトマイクロセンサにおいては十分な容量のコンデンサを内蔵させることが困難です。従って、コード長が長くなった場合や、電源の種類によっては、消費電流の脈動に追従できなくなり、動作が不安定になります。
対応策
〈コンデンサの追加による対応〉
センサにできる限り近いところに10μF以上のコンデンサ(フィルムコンデンサなど)を入れた配線を行ってください。(コンデンサの耐圧は、センサの電源電圧の2倍以上としてください。
タンタルコンデンサは、このような使い方においては、短絡故障時に大電流が流れ発火にいたる恐れがありますのでご使用にならないでください。)
〈コード延長時の対策〉
・変調光方式のセンサのコードはトータル2m以内となるように設計ください。
・2m以上の配線の場合には、下図に準じ2m以内の場所に10μF以上のコンデンサ(アルミ電解コンデンサなど)を入れた配線を行ってください。
この場合もトータル5m程度を限度に設計ください。5mを超える場合には、PLCなどで一度センサ出力を取り込み、PLCの持つ通信機能などで伝達するようにしてください。
・変調光方式及び直流光方式どちらの場合も、本体のケーブルと接続ケーブルを合わせたトータルの長さを10m未満としてください。
・実力的には、5m以上でも延長できますが、ケーブルの仕様や同時に配線されるケーブル、他の機器から出るノイズの影響などが考えられます。
また、線材の持つ抵抗成分による電圧降下の影響もありますので、ケーブル末端とセンサ部の電圧差やノイズレベルなどについて十分ご評価願います。
〈スイッチング電源使用時の対応策〉
・変調光方式のセンサをスイッチング電源に接続する場合には必要に応じ以下のいずれかの対策を行うようにしてください。
①センサからできる限り近いところに10μF以上のコンデンサ(アルミ電解コンデンサなど)を入れた配線を行ってください。(コンデンサの耐圧は、センサの電源電圧の2倍以上をご使用ください。タンタルコンデンサは、このような使い方においては、短絡故障時に大電流が流れ発火にいたる恐れがありますのでご使用にならないでください。)
②センサ周辺の架台に誘導ノイズが侵入しにくいように架台のインピーダンスを下げる目的で、センサの直近で電源の0Vラインと接続する。または、コンデンサ(0.47μF程度)を介して接続してください。
③スイッチング電源のノイズフィルタ端子(中点端子~ACG)を電源の匡体(FG)ならびに電源の0Vと接続してください。
接続したラインを大地接地または、架台に接続していただくと、より安定した動作が得られます。
(各種電源メーカにて推奨)
〈誘導雑音がのっている場合の対応策〉
④センサの本体と取りつけ架台の間に、厚さ10mm程度の絶縁板(プラスチック製)を挿入してください。
〈誘導雑音の影響について〉
・センサ取りつけ架台(金属)に誘導雑音がのっている場合、センサが入光状態と同様になる場合があります。このようなときは、フォト・マイクロセンサの0V端子と取りつけ架台(金属)を同電位となるよう接続します。または、コンデンサ(0.47μF)を介して0V端子と取りつけ架台(金属)を接続してください。
反射形フォト・マイクロセンサについての注意
〈検出距離について〉
反射形フォト・マイクロセンサは、白紙(反射率90%)を標準にしています。この条件以外で使用される場合には、検出距離が変化します。
〈代表例〉
形EE-SPY30/40シリーズの場合
〈背景物体がある場合〉
・背景物体での反射光によりセンサが入光状態となることがありますので十分ご検討の上、ご使用ください。
背景物体は十分距離をとり、黒色のスポンジなど、反射率の微小なものとしてください。
PLCとの接続
NPN オープンコレクタタイプ | |
NPN 電圧出力タイプ | |
PNP オープンコレクタタイプ |
リレーとの接続
同一電源で駆動 | 別電源で駆動 | |
NPN オープンコレクタタイプ |
カウンタとの接続
無電圧入力 | トランジスタ入力(電圧入力) | |
NPN オープンコレクタ タイプ | *外部抵抗値の計算については文中を参照ください。 | |
NPN 電圧出力タイプ |
●その他
・電源印加中におけるコネクタの脱着は避けてください。破損の原因になります。
・次のような取りつけ場所は、誤動作や故障の原因となりますので使用しないでください。
①塵埃やオイルミストの多い場所
②腐食性ガスの多い場所
③水、油、薬品が直接および間接的に飛散する場所
④屋外または、太陽光などの強い光があたる場所
・使用時の周囲温度は定格で定められた範囲内でお使いください。
・有機溶剤、酸、アルカリ、芳香族炭化水素、塩化脂肪族炭化水素がセンサにかかると、溶解することがあります。
また、これにより、特性劣化を招くことがありますので、これらの薬品がセンサにかからないようにしてください。