押ボタンスイッチとは、操作部をその軸方向に手の押しまたは引き動作によって接点の開閉を行うように作られた操作スイッチをいいます。ここでは押ボタンスイッチの使用上の共通の注意事項を説明します。
共通の注意事項 |
各商品個別の注意事項につきましては、 各商品の「正しくお使いください」をご覧ください。
スイッチへ通電したまま配線作業を行わないでください。また、通電中は端子の充電部には触れないでください。感電の原因となります。
白熱ランプの端子間には最大使用電圧以上の電圧を印加しないでください。
ランプ、LEDが破損し、操作部が飛び出し危険です。
白熱ランプの交換は、電源をOFFした後、10分間をおき交換してください。電源OFF直後は、発熱しており火傷の恐れがあります。
電気的な事項
●使用負荷について
突入電流
負荷の種類と突入電流
各機種の定格は次の条件によるものです。
誘導負荷: 力率0.4以上(交流)、時定数7ms以下(直流)
ランプ負荷: 定常電流の10倍の突入電流を有するもの
電動機負荷: 定常電流の6倍の突入電流を有するもの
注. 誘導負荷は直流回路で特に問題となるため、負荷の時定数(L/R)の値をよく知っておく必要があります。
●負荷の接続について
1個のスイッチの接点に異極、異種の電源を接続しないでください。
異極の接続
電源が短絡する恐れがある
両方の接点に負荷をしての使用は、絶縁性能の早期劣化、寿命の低下などの要因となります。
異種電源の接続
直流と交流の混触の恐れがある
接点間に電位差がかかるような回路の接続をしないでください。混触溶着の原因になります。
●接点保護回路について
接点の寿命を延ばしたり、雑音の防止、およびアークによる炭化物や、硝酸の生成を少なくするために接点保護回路を用いますが、正しく使用しないと逆効果となります。また、接点保護回路を用いた場合、負荷の動作時間が多少遅くなる場合がありますのでご注意ください。
以下に接点保護回路の代表例を示します。なお、湿度の高い雰囲気において、アークの発生しやすい負荷、たとえば誘導負荷を開閉する場合、アークによって生成されたNOxと水分によって硝酸(HNO3)が生成し、内部の金属部分を腐食して動作に支障をきたす場合があります。高湿度雰囲気で高ひん度かつアークの出る回路条件で使用される場合は、下表にしたがって必ず接点保護回路をご使用ください。
接点保護回路の代表例
分類 | 回路例 | 適用 | 特長、その他 | 素子の選び方 | |
AC | DC | ||||
CR方式 | △ * | ○ | *AC電圧で使用する場合 負荷のインピーダンスがCRのインピー ダンスより十分小さいこと。 | C、Rの目安としては C:接点電流1Aに対し1~0.5(μF) R:接点電圧1Vに対し0.5~1(Ω) です。負荷の性質などにより必ずし も一致しません。 Cは接点開離時の放電抑制効果を 受けもち、Rは次回投入時の電流制 限の役割ということを考慮し、実験に てご確認ください。 Cの耐電圧は一般に200~300Vのも のを使用してください。AC回路の場 合はAC用コンデンサ(極性なし)を ご使用ください。 | |
○ | ○ | 負荷がリレー、ソレノイドなどの場合は 動作時間が遅れます。 電源電圧が24、48Vの場合は負荷間 に、100~200Vの場合は接点間のそ れぞれに接続すると効果的です。 | |||
ダイオード方式 | × | ○ | コイルに貯えられたエネルギーを並列 ダイオードによって、電流の形でコイル へ流し、誘導負荷の抵抗分でジュール 熱として消費させます。この方式はCR 方式よりもさらに復帰時間が遅れます。 | ダイオードは逆耐電圧か回路電圧 の10倍以上のもので順方向電流は 負荷電流以上のものをご使用くださ い。 | |
ダイオード + ツェナー ダイオード方式 | × | ○ | ダイオード方式では復帰時間が遅れす ぎる場合に使用すると効果があります。 | ツェナーダイオードのツェナー電圧 は、環境により負荷が動作しない 場合があるため、電源電圧×1.2倍 程度のものを使用します。 | |
バリスタ方式 | ○ | ○ | バリスタの定電圧特性を利用して、接 点間にあまり高い電圧が加わらないよ うにする方式です。 この方法も復帰時間が多少遅れます。 電源電圧が24~48V時は負荷間に、 100V~200V時は接点間のそれぞれに 接続すると効果的です。 | ── |
なお、次のような接点保護回路の使い方はしないでください。
通常、直流誘導負荷は、抵抗負荷に比べ開閉が困難とされていますが、適切な接点保護回路を用いると抵抗負荷と同程度まで性能が向上します。
●開閉について
機械的な注意事項
●操作荷重、操作方法について
●取りつけについて
取りつけ上の注意事項
●配線方法
●はんだづけ
はんだづけの代表例
方式 | はんだづけ装置 | 用途 | |
手はんだ | はんだごて | 小量、多品種 リード線端子 | |
自動はんだ | ディップはんだ | 噴流式はんだ槽 ディップ式はんだ槽 | 多量生産ディスク リート端子 |
リフローはんだ | 赤外線リフロー(IR)はんだ槽 蒸気リフロー(VPS)はんだ槽 | 多量小形化SMD端子 |
●スイッチの保管について