リミットスイッチは、マイクロスイッチを外力、水、油、塵埃などから保護する目的で金属ケースや樹脂ケースに組み込んだスイッチです。ここではリミットスイッチの共通の注意事項を説明します。
共通の注意事項 |
各商品別の注意事項は、 各商品ごとの「正しくお使いください」をご覧ください。
●配線方法について
各端子への誤配線は絶対にしないでください。
誤って使用されますと、スイッチとしての機能が発揮されず、外部回路へ影響を与えるだけでなく、スイッチ自体の破損、焼損の原因となります。
●取りつけについて
●配線方法について
●スイッチのご使用にあたって
注. 誘導負荷は直流回路で特に問題となるため、負荷の時定数(L/R)の値をよく知っておく必要があります。
●機械的な注意事項
動作力、ストローク、接触特性について
選択上の機械的条件について
●電気的な注意事項
選択上の電気的条件について
●接点保護回路について
接点の耐久性を高めたり、雑音の防止、およびアークによる炭化物や、硝酸の生成を少なくするために接点保護回路を用いてください。ただし、正しく使用しないと逆効果となります。
以下に接点保護回路の代表例を示します。なお、湿度の高い雰囲気においては、アークの発生しやすい負荷(たとえば誘導負荷を開閉する場合)のアークによって生成されたNOxと水分によって硝酸(HNO3)が生成し、内部の金属部分を腐食して動作に支障をきたす原因となります。高ひん度かつアークの出る回路条件で使用される場合は、下表に従って接点保護回路をご使用ください。
また、接点保護回路(サージキラー)を用いた場合、負荷の動作時間が多少遅くなる場合がありますのでご注意ください。
接点保護回路(サージキラー)の代表例○…適用 ×…不適用 △…条件付適用
回路例 | 適用 | 特徴、その他 | 素子の選び方の目安 | ||
AC | DC | ||||
CR方式 | * △ | ○ | *AC電圧で使用する場合 負荷のインピーダンスがC、Rの インピーダンスより小さいこと。 | C、Rの目安としては C:接点電流1Aに対し1~0.5(μF) R:接点電圧1Vに対し0.5~1(Ω) です。負荷の性質などにより必ずしも 一致しません。 Cは接点開離時の放電抑制効果を 受け持ち、Rは次回投入時の電流制 限の役割ということを考慮し、実験に てご確認ください。 Cの耐電圧は一般に200~300Vのも のを使用してください。AC回路の場 合はAC用コンデンサ(極性無し)をご 使用ください。 ただし直流高電圧で接点間のアーク のしゃ断能力が問題となる場合に、 負荷間より接点間にC、Rを接続した 方が効果的になる場合がありますの で実機にてご確認ください。 | |
○ | ○ | 負荷がリレー、ソレノイドなどの 場合は動作時間が遅れます。 電源電圧が24、48Vの場合は 負荷間に並列に、また100~ 200Vの場合は接点間に並列に 接続すると効果的です。 | |||
ダイオード 方式 | × | ○ | コイルに貯えられたエネルギー を並列ダイオードによって、 電流の形でコイルへ流し、誘導 負荷の抵抗分でジュール熱とし て消費させます。この方式は CR方式よりもさらに復帰時間が 遅れます。 | ダイオードは逆耐電圧が回路電圧の 10倍以上のもので順方向電流は負 荷電流以上のものをご使用ください。 | |
ダイオード + ツェナー ダイオード 方式 | × | ○ | ダイオード方式では復帰時間 が遅れすぎる場合に使用する と効果があります。 | ツェナーダイオードのツェナー電圧 は、環境により負荷が動作しない 場合があるため、電源電圧×1.2倍 程度のものを使用します。 | |
バリスタ方式 | ○ | ○ | バリスタの定電圧特性を利用し て、接点間に高い電圧が加わら ないようにする方式です。この 方法も復帰時間が多少遅れま す。 電源電圧が24~48V時は負荷 間に、100~200V時は接点間 のそれぞれに接続すると効果 的です。 | バリスタのカット電圧Vcは下記の条 件内になるように選びます。交流では √2倍することが必要です。 Vc>(電源電圧×1.5) ただし、Vcを高く設定しすぎると高電 圧へのカットが働かなくなるため効果 が弱くなります。 |
なお、次のような接点保護回路(サージキラー)の使い方は行わないでください。
しゃ断時のアーク消弧には非常に効果がありますが、接点の開路時Cに容量がたくわえられて いるため、接点の投入時にCの短絡電流が流れるので、接点が溶着しやすくなります。 | |
しゃ断時のアーク消弧には非常に効果がありますが、接点の投入時にCへの充電電流が流れる ので接点が溶着しやすくなります。 |
●微小負荷形での使用について
微小負荷回路の開閉時に一般負荷用のスイッチを用いると、接触不良の原因となります。下図を参照に使用領域の範囲でスイッチをお使いください。なお、微小負荷タイプを下図のエリア内で使用する場合でも、開閉時に突入電流などが発生する負荷の場合は、接点消耗が激しくなり耐久性の低下を生じる原因となりますので、必要により接点保護回路を挿入してください。最小適用負荷は、N水準参考値としています。これは信頼水準60%(λ60)での故障水準のレベルを表しています。(JIS C5003)
λ60=0.5×10-6/回は、信頼水準60%で回以下の故障が推定されるということを表しています。
●接続について
●使用環境について
●定期点検や定期交換について
●スイッチの保管について
●耐候、耐寒、耐熱仕様について
耐候、耐寒、耐熱性を向上させるため、シリコンゴムを使用していますが、シリコンゴムからシリコンガスが発生する場合があります。(常温でも発生しますが高温になると発生量は増えます)
このガスはアークエネルギーで反応し、酸化ケイ素(SiO2)を生成します。酸化ケイ素(SiO2)が接点に堆積した場合、接触障害が発生し、機器に支障をきたす恐れがあります。
ご使用にあたっては、必ず実使用条件(環境・動作回数を含む)にて評価いただき、性能上問題ないことをご確認のうえ、ご使用ください。
●屋外で使用する場合について
●操作について
●ドッグの設計
ドッグの速度および角度とアクチュエータとの関係について
ドッグを設計する場合、ドッグの速度および角度(φ)とアクチュエータの形状などとの関係を十分考慮する必要があります。
なお、一般的なドッグ角度30~45°の範囲でのドッグの操作速度(V)は、0.5m/s以下が適当です。
〈ローラ・レバー形アクチュエータ〉
(1)ドッグがアクチュエータを乗り越えない場合
ドッグ速度が0.5m/s以下の場合(普通)
Vmax(m/s) | Φ | y |
0.4 0.25 0.1 0.05(低速 | 30° 45° 60° 60~90° | 0.8(TT) 全ストロークの80%までとれます。 |
ドッグ速度が0.5m/s≦V≦2m/sの場合(高速)
Vmax(m/s) | θ | Φ | y * |
0.5 | 45° | 45° | 0.5~0.8(TT) |
0.6 | 50° | 40° | 0.5~0.8(TT) |
1.3 | 55°~60° | 30°~35° | 0.5~0.7(TT) |
2 | 65°~75° | 15°~25° | 0.5~0.7(TT) |
*yは全ストローク(TT)に対する比率であり、ドッグの押し込み量がTTの50~80%(50~70%)までが適していることを示します。
(2)ドッグがアクチュエータを乗り越える場合
ドッグ速度が0.5m/s以下の場合
Vmax(m/s) | Φ | y * |
0.4 0.25 0.1 | 30° 45° 60° | 0.8(TT) 全ストロークの80%までとれます。 |
ドッグ速度が0.5m/s以上の場合
比較的高速でドッグがアクチュエータを乗り越える場合は、ドッグの後端をなめらかな角度(15~30°)にするか、2次曲線で結べば、レバーのおどりが少なくなります。
Vmax(m/s) | θ | Φ | y * |
0.5 | 45° | 45° | 0.5~0.8(TT) |
0.6 | 50° | 40° | 0.5~0.8(TT) |
1.3 | 55°~60° | 30°~35° | 0.5~0.7(TT) |
2 | 65°~75° | 15°~25° | 0.5~0.7(TT) |
*yは全ストローク(TT)に対する比率であり、ドッグの押し込み量がTTの50~80%(50~70%)までが適していることを示します。
〈プランジャ形アクチュエータ〉
ドッグがアクチュエータを乗り越える場合でも、前進方向と後退方向の形状は同じでよいのですが、アクチュエータがドッグから急激にはなれるような形状は避ける必要があります。
ローラ・プランジャ形
Vmax(m/s) | Φ | y * |
0.25 0.5 | 30° 20° | 0.6~0.8(TT) 0.5~0.7(TT) |
ボール・プランジャ形
Vmax(m/s) | Φ | y * |
0.25 0.5 | 30° 20° | 0.6~0.8(TT) 0.5~0.7(TT) |
ベベル・プランジャ形
Vmax(m/s) | Φ | y * |
0.25 0.5 | 30° 20° | 0.6~0.8(TT) 0.5~0.7(TT) |
*yは全ストローク(TT)に対する比率であり、ドッグの押し込み量がTTの50~80%(50~70%)までが適していることを示します。
〈フォーク・レバーロック形アクチュエータ〉
*ドッグ形状については、アクチュエータ反転時、もう一方のローラレバーにあたらないように設計ください。
●ドッグ移動量によるストローク設定
●ドッグの面粗さについて
ドッグの面粗さは▽▽▽( 6.3S)程度で、焼き入れはHV450程度が適当です。
また、アクチュエータとドッグの摺動部にグリス(二硫化モリブデン系)を塗布すると摩耗の低減がはかれ、摺動も円滑になります。(リミットスイッチの防滴形、マルチプル・リミットスイッチなど)
●保守・修理について
保守・修理の際には設備使用者ご自身での保守・修理は行わず、設備(機械)メーカへご連絡(相談)ください。
●その他
〈正しい方法〉
〈誤った方法〉