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スイッチ 共通の注意事項


ここではスイッチの共通の注意事項を説明します。セーフティコンポーネントに関しては、各商品別の共通の注意事項もご参照ください。

関連情報

各商品別の注意事項は、 各商品ごとの「正しくお使いください」をご覧ください。

安全上の要点
  • 非常停止回路や人身事故につながる安全回路のスイッチとして使用する場合、直接開路動作認定タイプを選定し、直接開路動作機構を有するNC接点側を使用し、ポジティブモードで動作するよう設定してください。
    また、安全のために、スイッチが容易に取りはずしできないようなねじあるいはそれと同等の手段によって取りつけてください。または、防護カバーや警告表示をつけてください。
  • 配線作業時は通電しないでください。感電の恐れがあります。
  • 負荷電流は必ず、定格値以下でご使用ください。
  • 取りつけ調整後は必ず動作確認を実施してください。
  • 通電中は端子に触れないでください。感電の恐れがあります。
  • アース端子付きスイッチは必ず、アース線を接続してください。
  • スイッチの耐久性は、環境条件、開閉条件により大きく異なります。使用にあたっては必ず実使用条件にて実機確認を行い、性能上問題のない開閉回数内にてご使用ください。
    性能の劣化した状態で引き続き使用されますと、最終的には、絶縁不良、接点の溶着、接触不良やスイッチ自体の破損・焼損の原因となります。
  • 配線終了後に適切な絶縁距離を確保してください。
  • 負荷の種類によって、定常電流と突入電流に大差がある場合があります。許容突入電流値内でご使用ください。閉路時の突入電流が大きいほど、接点の消耗量、移転量が増大し、接点の溶着、移転による接点開離不能、絶縁不良など規定の性能を損なうばかりでなく、スイッチ自体の破損・損傷の原因となります。
  • 保守・修理の際には設備使用者ご自身での保守・修理は行わず、設備(機械)メーカへご連絡(相談)ください。
  • 正常動作を損なう恐れがありますので、いかなる場合でも製品の分解・改造は行わないでください。
  • スイッチ機能が十分に発揮されないことがあります。製品を落下させないでください。

●配線方法について

各端子への誤配線は絶対しないでください。
誤って使用されますと、スイッチとしての機能が発揮されず、外部回路へ影響を与えるだけでなく、スイッチ自体の破損、焼損の原因となります。

●取りつけについて

  • アクチュエータの加工をしないでください。使用上加工されると動作特性など性能の変化が発生します。
  • 取りつけ穴の拡大など、スイッチ本体に対する加工は絶対に行わないでください。絶縁不良やハウジングの破損および人身事故につながる原因になります。
  • アクチュエータなどの摺動部へ、オイルやグリスなどの潤滑剤を使用しないでください。摺動性の低下や内部への浸入にともなう不具合の原因になります。
  • 取りつけねじは、指定の大きさを用い、平座金、ばね座金などを使用して堅固に取りつけてください。その際の締めつけトルクは規定の値に従ってください。
  • コンジット口には異物、切削くずなどが侵入しないように配管してください。
  • 接着剤、ロック剤などをご使用される場合には、可動部へ付着しないようにしてください。また内部に浸入すると動作不良、接触障害など発生する原因となりますのでご注意ください。種類によっては有害ガスを発生し悪影響を与える原因となりますので、十分ご確認のうえ選択してください。
  • ヘッド方向変更が可能な機種においてヘッド方向を変更する場合には、シール性確保のため異物付着をさせないでください。また、ヘッド取りつけねじは各機種毎の適正締めつけトルクで均等に締めつけてください。
  • 異物の侵入や油水の浸入を防ぐため、正しいコンジット処理をしてください。特に使用環境やケーブル径に合ったコネクタの選定と正しい取りつけ、適正締めつけトルクで処理してください。
  • 押し込み状態において、アクチュエータに振動・衝撃を印加されますと局部摩耗を生じ、アクチュエータの動作不良に至りますので、このような使用は行わないでください。
使用上の注意

●スイッチのご使用にあたって

  • スイッチを実際に使用するにあたって、机上では考えられない不測の事故が発生することがあります。
    そのため、実施可能な範囲でのテストが必要です。
  • 実機確認を行う際には、負荷条件だけでなく使用環境も実使用状態と同条件で確認してください。
  • カタログに記載の各定格性能値は、特に明記のない場合はすべて次の条件での値です。
     誘導負荷 :力率0.4以上(交流)、時定数7ms以下(直流)
     ランプ負荷:定常電流の10倍の突入電流を有するもの
     電動機負荷:定常電流の6倍の突入電流を有するもの
     (1)周囲温度:+5~35℃
     (2)周囲湿度:40~70%RH

注. 誘導負荷は直流回路で特に問題となるため、負荷の時定数(L/R)の値をよく知っておく必要があります。

選択上の機械的条件について

  • 操作方式によりアクチュエータを選ぶ必要があります。
    (お問い合わせください。)
  • 操作速度、操作ひん度を確認してください。
  1. 操作速度が極端に遅い場合、接点の切り替わりが不安定になり、接触の不具合や溶着などの原因になります。
  2. 極端に速い操作になると衝撃的な動作により破壊したり、ひん度が高くなると接点切り替わりが追従しなくなりますので規定のひん度以上で使用しないでください。
  • アクチュエータに無理な力が加わらないようにしてください。破損や摺動不良の原因となります。
  • ストロークの設定は各機種の適正ゾーン範囲内で使用してください。適正ゾーン範囲を越えて使用するとスイッチの破壊を生じます。

●電気的な注意事項

選択上の電気的条件について

  • 交流と直流では開閉能力が大きく異なりますので、定格内で使用してください。直流の場合は制御容量が極度に低下します。
    これは交流のようにゼロ点(電流ゼロクロス点)がなく、したがって一度アークを発生しますと消えにくいため、アーク時間が長くなることが主因です。さらに電流方向が一定のため、接点の移転現象がおこり、凹凸のひっかかりで接点が開離しない原因になります。
  • 誘導を含む場合には逆起電圧が発生し、電圧が高いほどエネルギーが大きく、接点の消耗、移転が増大しますので、定格の条件内で使用してください。
  • 微小電圧、電流の場合には微小負荷用をご使用ください。一般用の銀系接点では接触信頼性が低下します。

●接続について

  • 接点形式Zaでは、1個のスイッチの接点に異極、異種の電源を接続しないでください。
  • 異常発生時でも、回路が短絡する回路は使用しないでください
    (導電部の溶断の原因となります)。
  • スイッチの電子回路(低電圧・低電流)への利用。
  1. 接点のバウンシング、チャタリングの発生が問題となる場合は、次のような対策を行ってください。
    (a)積分回路を挿入する。
    (b)バウンシング、チャタリングによるパルス発生を負荷のノイズ・マージン以下とする。
  2. 特に接触信頼性への要求度が高いこの分野では、従来から使われてきた銀系接点は不適です。金メッキ(金貼り)接点仕様をご使用願います。
  3. 非常停止用のスイッチは安全上、直接開路動作機構付NC接点を使用してください。
  • 回路の短絡によるスイッチ破損を防ぐため、定格電流の1.5~2倍のしゃ断電流値の瞬断型ヒューズをスイッチと直列に入れてください。EN認定定格でご使用の場合は、IEC60269適合の10Aヒューズ形gIあるいは形gGをご使用ください。

●接点保護回路について

接点の耐久性を高めたり、雑音の防止、およびアークによる炭化物や、硝酸の生成を少なくするために接点保護回路を用いてください。ただし、正しく使用しないと逆効果となります。
以下に接点保護回路の代表例を示します。なお、湿度の高い雰囲気においては、アークの発生しやすい負荷(たとえば誘導負荷を開閉する場合)のアークによって生成されたNOxと水分によって硝酸(HNO3)が生成し、内部の金属部分を腐食して動作に支障をきたす原因となります。高ひん度かつアークの出る回路条件で使用される場合は、下表に従って接点保護回路をご使用ください。

接点保護回路の代表例

回路例適用特長、その他素子の選び方
ACDC
CR方式

*AC電圧で使用する場合
負荷のインピーダンスがC、Rのイン
ピーダンスより小さいこと。
C、Rの目安としては
C:接点電流1Aに対し1~0.5(μF)
R:接点電圧1Vに対し0.5~1(Ω)
です。負荷の性質などにより必ずし
も一致しません。
Cは接点開離時の放電抑制効果を
受けもち、Rは次回投入時の電流制
限の役割ということを考慮し、実験
にてご確認ください。
Cの耐電圧は一般に電圧が低いの
を使用してください。AC回路の場合
はAC用コンデンサ(極性なし)をご
使用ください。
負荷がリレー、ソレノイドなどの場
合は動作時間が遅れます。
電源電圧が24、48Vの場合は負荷
間に並列に、また100~200Vの場
合は接点間に並列に接続すると効
果的です。
ダイオード方式
×コイルに貯えられたエネルギーを並
列ダイオードによって、電流の形で
コイルへ流し、誘導負荷の抵抗分
でジュール熱として消費させます。
この方式はCR方式よりもさらに復
帰時間が遅れます。
ダイオードは逆耐電圧が回路電圧
の10倍以上のもので順方向電流は
負荷電流以上のものをご使用くださ
い。
ダイオード
  +
ツェナー
ダイオード方式
×ダイオード方式では復帰時間が遅
れすぎる場合に使用すると効果が
あります。
ツェナーダイオードのツェナー電圧
は、電圧が低いものを使用します。
バリスタ方式
バリスタの定電圧特性を利用して、
接点間に高い電圧が加わらないよ
うにする方式です。この方法も復
帰時間が多少遅れます。
電源電圧が24~48V時は負荷間
に、100~200V時は接点間のそれ
ぞれに接続すると効果的です。
――

なお、次のような接点保護回路の使い方は行わないでください。

しゃ断時のアーク消弧には非常に効
果がありますが、接点の開路時Cに容
量がたくわえられているため、接点の
投入時にCの短絡電流が流れるので、
接点が溶着しやすくなります。
しゃ断時のアーク消弧には非常に効
果がありますが、接点の投入時にCへ
の充電電流が流れるので接点が溶着
しやすくなります。

通常、直流誘導負荷は、抵抗負荷に比べ開閉が困難とされていますが、適切な接点保護回路を用いると抵抗負荷と同程度まで性能が向上します。

●微小負荷形での使用について

微小負荷回路の開閉時に一般負荷用のスイッチを用いると、接触不良の原因となります。右図を参照に使用領域の範囲でスイッチをお使いください。なお、微小負荷タイプを右図のエリア内で使用する場合でも、開閉時に突入電流などが発生する負荷の場合は、接点消耗が激しくなり耐久性の低下を生じる原因となりますので、必要により接点保護回路を挿入してください。最小適用負荷は、N水準参考値としています。これは信頼水準60%(λ60)での故障水準のレベルを表しています。(JIS C5003)
λ60=0.5×10-6/回は、信頼水準60%で1/2,000,000回以下の故障が推定されるということを表しています。

●使用環境について

  • スイッチは屋内仕様です。屋外で使用した場合、スイッチ故障の原因となります。
  • 油中では使用しないでください。
    水中での使用や常時水がかかる環境では使用しないでください。内部に水が浸入する恐れがあります。
  • 油水や薬品・洗剤のかかる環境においては事前に影響(適正)をご確認の上、ご使用ください。油水、薬品の種類によってはシール性劣化により、接触不良、絶縁不良、漏電、焼損の恐れがあります。
  • 下記の環境では使用しないでください。
    ・腐食性ガスの発生する場所
    ・温度変化の激しい場所
    ・湿度が高く、結露が生じる恐れのある場所
    ・振動の激しい場所
    ・加工屑・塵埃のかかる場所
    ・高温・高湿となる場所
  • スイッチが耐水・密封仕様でないものは、油や水が飛散・噴出したり、塵埃が付着するような場所では、保護カバーにより直接の飛沫を避けて使用してください。
  • スイッチは直接、加工屑や塵埃がかからないような位置に取りつけてください。切削屑や泥状物質の堆積からもアクチュエータ、スイッチ本体を保護する必要があります。
  • 熱湯(+60℃以上)のかかるところや水蒸気中でのご使用はしないでください。
  • スイッチを規定外の温度、外気条件下で使用しないでください。
    機種により許容周囲温度が異なります。(本文の仕様をご確認ください。)急激な熱変化がある場合、熱衝撃はスイッチにゆがみを生じさせ、故障の原因になります。
  • 作業者の不注意により誤動作や災害の誘因となるような場所にスイッチを取りつける場合は、カバーを取りつけるようにしてください。
  • スイッチに振動・衝撃が連続的に加わる状態では摩耗粉の発生にともなう接点接触障害や動作不良、耐久性低下などの不具合の原因となります。また過大な振動・衝撃があると接点の誤動作や破損が発生しますので、振動・衝撃が加わらない位置や共振しない方向での取りつけをしてください。
  • 銀系の接点では、比較的低ひん度で長期にわたり使用される場合や微小負荷の場合には、接点表面に生成される硫化被膜が破壊されず接点の接触不良の原因となりますので、金メッキした接点や微小負荷用のスイッチをご使用ください。
  • 硫化ガス(H2S、SO2)、アンモニアガス(NH3)、硝酸ガス(HNO3)、塩素ガス(Cl2)などの悪性ガスや高温多湿の雰囲気は接点接触不良や腐食による破損などの機能障害を生じる原因となりますので、使用はしないでください。
  • スイッチは有接点であるため、雰囲気中にシリコンガスが存在しますと、アークエネルギーにより接点に酸化ケイ素(SiO2)が堆積し、接触障害が発生することがあります。スイッチの周囲にシリコンオイル、シリコン充填剤、シリコン電線などのシリコン製品がある場合には、接点保護回路によるアークの抑制やシリコンガス発生源の除去を行ってください。

●定期点検や定期交換について

  • 常時押込み状態で、開閉ひん度の少ない場合(1回以下/日 目安)には、部品の劣化により復帰不良になる場合があります。事前に確認いただき、定期点検を実施ください。
  • スイッチの耐久性は性能欄に記載の機械的耐久性と電気的耐久性の他にも使用環境による各部の劣化(特にゴム類、樹脂類の劣化や金属部の腐食など)による耐久性があります。従って、定期点検や定期交換により未然に事故を防いでください。
  • 長期間設定のON/OFFをしない場合は、接点の酸化等により、接触信頼性が劣る場合があります。導通不良から、事故の原因になる場合があります。
  • スイッチは堅固に取りつけ、しかも点検が容易で、取り替えのできる清浄な場所に取りつけてください。点検や保守の困難な場所や暗所には、動作表示ランプつきが便利です。

●スイッチの保管について

  • スイッチを保管する場合は、悪性ガス(H2S、SO2、NH3、HNO3、Cl2など)や塵埃、高温多湿を避けてください。
  • 保管期間が3ヶ月以上経ったものは、再検処理の上ご使用ください。

●おもな故障発生状況とその推定原因ならびに対策

故障故障に対する主原因対策
機械的
な故障
アクチュエータが
1)動作しない
2)復帰しない
3)変形する
4)摩耗する
5)破損する
ドッグ、カムの形状不適・ドッグ、カムの検討、仕上面円滑に
・アクチュエータの適否を再検討
(急激なアクチュエータのはねかえりがない
ようにする)
ドッグ、カムの仕上面粗
アクチュエータの選択不適
アクチュエータの加圧方向不適
操作速度が許容値を超えている・減速装置を取りつける、取りつけ位置変更
ストロークのとりすぎ・ストローク再設定
低温によるゴム材、グリス硬化・耐寒仕様品の採用
泥状異物、切削屑、塵埃のたい積・防滴形、保護構造の良いものに変更する
・保護カバーの設置、溶剤の変更、材料変更
駆動部ゴム材の溶解、収縮、膨潤
動作位置が
大きくずれる
(誤動作する)
内部可動ばねのヘタリ、折損・定期的な予防保全を行う
・スイッチの性能が1ランク上のものを使う
・増締めを行う、補強板の仕様
内部機構の摩耗・劣化
本体取りつけねじのゆるみ、不安定
端子部品にガタ
がある(モールド
品にひずみが生
じた)
はんだ作業の長時間加熱・はんだ作業をすばやく
・通電電流と定格に合わせたリード線の仕様
大径リード線の接続による過大な引っ張り力
高温、熱衝撃によるもの・高温用スイッチの採用、取りつけ場所の変更
化学的・
物理的
な故障
チャタリングが
ある
振動、衝撃が規定値を超えている・防振装置の取りつけ
・衝撃源となるようなソレノイドなどの緩衝
・操作速度を上げる(加速装置)
他の機構部品に衝撃発生源がある
操作スピードが遅すぎる
油、水の浸入シール部の締結があまい・防滴形、水密形の採用
・コネクタとケーブルの適切な選定
コネクタの選択ミスかケーブルとの不一致
スイッチの選択が適切でない
端子部分をモールドしていない
塵埃オイルの浸入→ 炭化による焼損
ゴム材の劣化溶剤、切削油による膨潤溶解・耐油性ゴム材やフッ素樹脂ベローズなどの使用
・耐候性ゴム材や保護カバーの取りつけ
・金属ベローズ保護カバーつきのものに変更
直射日光、オゾンによる亀裂
高熱の切削屑塵埃の飛散によるやぶれ
腐食
(錆)
(置割れ)
腐食性液剤(切削油も含む)による酸化・切削油の変更、取りつけ部分の変更
・耐置割れ材への変更
腐食性雰囲気、海岸、船舶中の使用
冷却水・切削油のイオン化による電食
温度サイクルが高く(高湿)銅合金の置割れ
電気的
な故障
投入できない
しゃ断できない
溶着する
直流回路で誘導分が多い・消去回路の付加
開閉によるブラウンパウダーの生成・特殊合金接点の使用、気密形スイッチの使用
接点移転による短絡、溶着・開閉ひん度を低下させる
(容量の大きいスイッチを使用)
異種電源で使われた溶着・回路設計変更
接点部への異物、オイル浸入・保護ボックスの設置

●その他

  • スイッチのシール部材は標準仕様として耐油性に優れたニトリルゴム(NBR)を使用しています。ご使用環境の油や薬品の種類によってはこのゴムの膨潤、収縮など劣化する場合がありますので事前にご確認ください。
  • 接触信頼性を高めるため、ご使用負荷により正しいスイッチの選定が必要となります。詳しくは、個別説明における“微小負荷形の注意事項”をご覧ください。
  • リード線の配線は下図のように行ってください。

最終更新日:2024年04月01日