セーフティリレーは、安全回路を構成するために、強制ガイド接点構造を有したリレーです。ここではセーフティリレーの共通の注意事項を説明します。
セーフティリレー共通の注意事項 |
各商品別の注意事項は、 各商品ごとの「正しくお使いください」をご覧ください。
●セーフティリレーについて
セーフティリレーは、強制ガイド接点とよばれる構造をもっています。しかし、その他の点については、一般のリレーと基本的に同じです。言い換えるとセーフティリレーは、故障を起こさないリレーではなく、接点溶着などの故障の時に強制ガイド接点とよばれる構造により、故障している状態を他の回路によって検出できるリレーです。従って、回路の組み方によっては、セーフティリレーが溶着などを起こした場合、動力がしゃ断されず危険な状態になることがあります。(図1の場合)
動力の制御回路で接点溶着などが発生しても、動力を確実にしゃ断して、その故障が取り除かれるまでは再起動できないようにするために、セーフティリレーなどを組み合わせて、その回路に冗長性と故障診断機能をもたせてください。(図2の場合)
詳しくは、「セーフティコンポ テクニカルガイド(カタログ番号:SGFM-035)」をご参照ください。
また、これらの機能を実現するためにあらかじめセーフティリレーなどを組み合わせたセーフティ・リレーユニット 形G9SA/形G9SBがあります。セーフティ・リレーユニットに適切な入力や出力機器を接続することで、回路に冗長性と故障診断機能をもたせることができます。
●耐久性について
セーフティリレーの耐久性は、開閉条件により大きく異なります。使用にあたっては必ず実使用条件にて実機確認を行い、性能上問題のない開閉回数内にてご使用ください。
リレーの開閉定格は抵抗負荷を基準にして、定格電圧と定格電流で表わしています。
したがって、これ以下の負荷でご使用いただくとともに、誘導負荷や容量負荷などの場合は余裕を持たせることが重要となります。
開閉回数を超えてご使用になった場合、図2のようにセーフティリレーを組み合わせて構成した安全回路の再起動がかからない現象を生じることがあります。この場合は、すみやかに該当するセーフティリレーを交換してください。そのまま使用継続されますと、安全性が低下する可能性があります。
●CEマーキングについて(LOW VOLTAGE DIRECTIVE 2014/35/EU GUIDELINESより)
形G7SA/形G7S-□-Eは、リレーと強制ガイド付き接点リレーのEN規格についてVDEの認証をうけ低電圧指令の要求を満足しています。しかし低電圧指令本文では、部品をどのように取り扱うかを示す条項がなく、試験所、メーカーより解釈が異なることが発生しました。このためEUにおいて欧州委員会(European Commission)が低電圧指令の運用ガイドラインを作成し、その中で部品に対する指令適用の考え方を示しています。
形G7SA/形G7S-□-Eは、この運用ガイドラインの考え方に従い、CEマーキングをつけておりませんが、形G7SA/形G7S-□-Eを組み込んだ機器、装置の低電圧指令、機械指令への適合に影響はありません。
規格適合を証明する書面としては、安全規格認証書をご使用ください。
●ガイドラインの内容
LOW VOLTAGE DIRECTIVE 2014/35/EU GUIDELINESに、部品に関する記載があり、PWB用の端子をもつリレー単体では低電圧指令の対象外となっています。
警告表示の意味
安全上の要点 | 製品を安全に使用するために実施または回避すべきことを示します。 |
使用上の注意 | 製品が動作不能、誤動作、または性能・機能への悪影響を予防するために 実施または回避すべきことを示します |
目次
No. | 大分類 | No. | 分類 | No. | 項目 |
1 | リレーのご使用にあたって | ||||
2 | リレーの 選択に 関して | 1 | 取りつけ構造・ 保護構造 | 1 2 3 | 「保護構造について」 「ソケットとの組み合わせについて」 「塵埃の発生する雰囲気で使用する場合」 |
2 | 駆動回路 | 1 2 | 「長期連続通電する場合」 「保守・メンテナンスに動作確認が必要な場合」 | ||
3 | 負荷 | 1 2 | 「接点定格について」 「微小負荷レベルでの使用について」 | ||
3 | 回路設計に 関して | 1 | 負荷回路 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 | 「負荷開閉について」 ①抵抗負荷と誘導負荷 ②接点回路の電圧(接点電圧) ③接点回路の電流(接点電流) 「開閉耐久性について」 「故障率について」 「サージキラーについて」 「外部回路からのサージ対策について」 「多極リレー(2極以上のリレー)の負荷接続について」 「モータの正逆切り替えの場合」 「多極リレー(2極以上のリレー)での電源両切りについて」 「a・b接点間のアークによる短絡について」 「1a1b接点リレーの1c使用について」 「異なる容量の負荷接続について」 |
2 | 入力回路 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 | 「最大許容電圧について」 「コイル印加電圧について」 「コイル温度上昇による動作電圧の変化について」 「入力電圧の印加電圧波形について」 「コイルオフ時のサージ防止について」 「リレーコイルへの漏れ電流について」 「稀ひん度開閉での使用について」 「シーケンス回路を構成する場合」 「直流操作形リレー使用の場合 (1)入力電源のリップルについて」 「直流操作形リレー使用の場合 (2)コイル極性について」 「直流操作形リレー使用の場合 (3)コイル印加電圧不足について」 | ||
3 | 実装設計 | 1 2 3 | 「リード線径について」 「ソケットを用いた場合」 「マイコンなどが近接する場合」 | ||
4 | 使用環境および保管環境に関して | 1 2 3 4 5 6 7 8 | 「使用・保管・輸送環境について」 「使用雰囲気について」 「悪性ガス雰囲気中での使用について」 「水や薬品、溶剤、油の付着について」 「振動・衝撃について」 「外部磁界について」 「外部荷重について」 「磁性粒の付着について」 | ||
5 | リレーの 実装作業に 関して | 1 | ソケット用リレー | 1 2 3 | 「表面接続ソケットについて」 「リレーの抜き差し方向について」 「端子のはんだ付けについて」 |
2 | プリント 基板用リレー | 1 | 超音波洗浄について」 | ||
3 | 共通項目 | 1 2 3 4 | 「ケース取りはずし、端子カットについて」 「端子を変形させた場合」 「リレーの交換・配線作業について」 「コーティング、パッキングについて」 | ||
6 | リレーの取り扱いに関して | 1 2 | 「振動・衝撃について」 「落下、その他について」 | ||
7 | プリント基板用リレーに関して | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 | 「プリント基板の選定 (1)基板の材質」 「プリント基板の選定 (2)基板の厚さ」 「プリント基板の選定 (3)端子穴径およびランド径」 「取りつけ間隔について」 ①周囲温度 ②相互磁気干渉について 「ノイズ対策のためのパターン設計について」 ①コイルからのノイズ ②接点からのノイズ ③高周波用パターン 「ランド形状について」 「パターンの導体幅および厚さについて」 「パターンの導体間隔について」 「プリント基板の固定方法について」 「プリント基板用リレーの自動実装について」 | ||
8 | 故障解析 |
1. リレーのご使用にあたって
2. リレーの選択に関して
2-1. 取りつけ構造・保護構造
2-1-1. 「保護構造について」
保護構造による分類
2-1-2. 「ソケットとの組み合わせについて」
当社リレーと当社指定のソケットの組み合わせでご使用ください。
他社ソケットとの組み合わせでは、通電容量の違いや、ソケットのかん合性の違いによりかん合部の異常発熱などの問題が発生する原因となります。
2-1-3. 「塵埃の発生する雰囲気で使用する場合」
塵埃の発生する雰囲気でリレーやソケットを使用する場合、塵埃がリレー内部に侵入し、接点間に挟まって閉路しない原因となります。ソケットの接触片に侵入した場合は、接触不良を引き起こすことがあります。また、線屑などの導電物体がリレー内部に侵入した場合、接触不良・回路短絡の原因となります。
このような場合、塵埃対策を実施してください。
2-2. 駆動回路
2-2-1. 「長期連続通電する場合」
コイルへの長期連続通電は、コイル自身の発熱によるコイルの絶縁劣化が促進されます。また、3-2-7項の『稀ひん度開閉での使用について』を併せてご覧ください。
2-2-2. 「保守・メンテナンスに動作確認が必要な場合」
動作表示灯つきのソケットを使われますと、リレーの動作時、表示灯の点灯により動作状態を表示できますので、保守・メンテナンスが容易になります。
分類 | 説明 | 対象機種例 | |
表示灯内蔵 | LED | ![]() | 形G7SA 形G7S-□-E |
注. 動作表示灯は、コイルへの通電を表示しており、接点動作に基づく表示ではありません。
2-3. 負荷
2-3-1. 「接点定格について」
接点定格は、一般に抵抗負荷と誘導負荷を基準に表示しております。
2-3-2. 「微小負荷レベルでの使用について」
個別製品性能欄の故障率をご確認ください。
3. 回路設計に関して
3-1. 負荷回路
3-1-1. 「負荷開閉について」
リレーの実使用にあたっては、負荷の種類、環境条件や開閉条件などにより、開閉容量・開閉耐久性、適用負荷領域が大きく異なりますので必ず実機にてご確認の上ご使用ください。
①抵抗負荷と誘導負荷
誘導負荷の開閉能力は、誘導負荷に蓄えられる電磁エネルギーの影響で抵抗負荷の開閉能力に比べ、低下します。
②接点回路の電圧(接点電圧)
直流負荷の場合、接点電圧が高くなると開閉能力が低下します。
接点間には、規定以上に電圧もしくは電流が印加されると、
③接点回路の電流(接点電流)
接点の開路時および閉路時の電流は接点に重大な影響を与えます。例えば、負荷がモータやランプのときは閉路時の突入電流が大きいほど、接点の消耗量、転移量が増大し、接点の溶着、転移による接点ロッキングといった支障の原因となります。(下図に代表的な負荷と突入電流の関係を示します。)
また、直流電源の負荷で規定以上の高電流で使用した場合、接点アークの継続・短絡による開閉不能の原因となります。
直流負荷の種類と突入電流
交流負荷の種類と突入電流
負荷の種類 | 突入電流/定常電流 | 波形 | |
ソレノイド | ![]() | 約10倍 | ![]() |
白熱電球 | ![]() | 約10~15倍 | |
モータ | ![]() | 約5~10倍 | |
リレー | ![]() | 約2~3倍 | |
コンデンサ | ![]() | 約20~50倍 | |
抵抗負荷 | ![]() | 1 |
3-1-2. 「開閉耐久性について」
開閉耐久性は、コイルの駆動回路、負荷の種類、開閉ひん度、開閉位相、周囲雰囲気などにより異なりますので必ず実機にてご確認の上、ご使用ください。カタログ記載の開閉耐久性は、下記条件のものです。
コイル駆動回路 | コイルへの定格電圧印加(直投法〈瞬時オン、瞬時オフ〉による) |
負荷の種類 | 定格負荷 |
開閉ひん度 | 個別定格による |
開閉位相(AC負荷の場合) | ランダム投入、しゃ断 |
周囲雰囲気 | JIS C5442の標準試験状態による |
3-1-3. 「故障率について」
カタログに記載された故障率は、規定の条件で試験したときの結果から求めたもので、保証値ではありません。この値は開閉ひん度、周囲雰囲気、期待する信頼性水準によって変化しますので、実使用条件にて実機確認を必ず実施ください。
3-1-4. 「サージキラーについて」
サージキラーを用いると接点の耐久性を高めたり、ノイズの防止およびアークによる炭化物や硝酸の生成を少なくできるなどの効果があります。下表にサージキラーの代表例を示しますので回路設計上の目安としてください。
サージキラーの代表例
分類 | 回路例 | 適用 | 特長、その他 | 素子の選定の目安 | |
AC | DC | ||||
CR方式 | ![]() | * △ | ○ | *AC電圧で使用する場合 負荷のインピーダンスが C、Rのインピーダンスより 十分小さいこと。接点が 開路のとき、C、Rを 通して、誘導負荷に電流 が流れます。 | C、Rの目安としては C:接点電流1Aに対し0.5~1(μF) R:接点電圧1Vに対し0.5~1(Ω) です。ただし負荷の性質や特性のバラツキ などにより異なります。 Cは接点開離時の放電抑制効果を受けも ち、Rは次回投入時の電流制限の役割とい うことを考慮し、実験にてご確認ください。 Cの耐電圧は一般に200~300Vのものを 使用してください。AC回路の場合はAC用 コンデンサ(極性なし)をご使用ください。 ただし直流高電圧で接点間のアークのしゃ 断能力が問題となる場合に、負荷間より接 点間にC、Rを接続した方が効果的な場合 がありますので実機にてご確認ください。 |
![]() | ○ | ○ | 負荷がリレー、ソレノイド などの場合は復帰時間が 遅れます。 | ||
ダイオード 方式 | ![]() | × | ○ | 誘導負荷に蓄えられた 電磁エネルギーを並列 ダイオードによって、 電流の形で誘導負荷へ 流し、誘導負荷の抵抗分 でジュール熱として消費 させます。この方式は CR方式よりもさらに 復帰時間が遅れます。 | ダイオードは逆耐電圧が回路電圧の10倍 以上のもので順方向電流は負荷電流以上 のものをご使用ください。電子回路では回 路電圧がそれほど高くない場合、電源電圧 の2~3倍程度の逆耐電圧のものでも使用 可能です。 |
ダイオード + ツェナー ダイオード 方式 | ![]() | × | ○ | ダイオード方式では 復帰時間が遅れすぎる 場合に使用する と効果があります。 | ツェナーダイオードのツェナー電圧は、 電源電圧程度のものを使用します。 |
バリスタ 方式 | ![]() | ○ | ○ | バリスタの定電圧特性を利用 して、接点間に高い電圧が加 わらないようにする方式です。 この方法も復帰時間が多少 遅れます。 電源電圧が24~48V時は 負荷間に、100V~200V時 は接点間のそれぞれに接続 すると効果的です。 | バリスタのカット電圧Vcは下記の条件内に なるように選びます。交流では√2倍するこ とが必要です。 Vc>(電源電圧×1.5) ただし、Vcを高く設定しすぎると高電圧 へのカットが働かなくなるため効果が 弱くなります。 |
なお、次のようなサージキラーの使い方は避けてください。
![]() | しゃ断時のアーク消弧には非常に効果があ りますが、接点の開路時Cにエネルギーが 蓄えられているため、接点の投入時に短絡 電流が流れるので、接点が溶着しやすい。 | ![]() | しゃ断時のアーク消弧には非常に効果が ありますが、接点の投入時にCへの異常 な充電電流が流れるので接点が溶着し やすい。 |
通常、直流誘導負荷は、抵抗負荷に比べ開閉が困難とされていますが、適切なサージキラーを用いると抵抗負荷と同程度まで性能が向上します。
3-1-5. 「外部回路からのサージ対策について」
雷サージなどのリレーの耐電圧値を超えるサージが印加される可能性のあるところには、サージアブソーバなどの保護回路を付加ください。リレーの耐電圧値を超える電圧が印加されるとコイル-接点間または同極接点間にせん絡および絶縁劣化を生じる原因となります。
3-1-6. 「多極リレー(2極以上のリレー)の負荷接続について」
多極リレーの負荷接続は電位差回路にならないように、下図aの方法で接続してください。電位差回路での使用は、接点間にアークによる短絡が生じ、リレーや周辺機器が破壊される原因となります。
3-1-7. 「モータの正逆切り替えの場合」
モータの正逆切り替えの場合、電位差回路となりますので複数のリレーを用い、タイムラグ(オフ時間)を必ず設けてください。
3-1-8. 「多極リレー(2極以上のリレー)での電源両切りについて」
多極リレーで電源の両切り回路を構成される場合、機種の選定は、リレーの構造、異極間の沿面・空間距離、アークバリアの有無などを考慮の上、実施ください。また、選定後実機にてご確認の上、ご使用ください。誤選定の場合、定格内の負荷であっても、特にしゃ断時のアークによって異極間が短絡し、リレー周辺機器の焼損、破壊の原因になります。
3-1-9. 「a・b接点間のアークによる短絡について」
a、b接点をもつリレーで、a、b接点の間隔が小さいリレーや、大電流を開閉するときなどはアークによる接点間短絡が起こる原因となります。
a、b、c接点を短絡したときに過電流が流れたり焼損する回路構成はしないでください。
3-1-10. 「1a1b接点リレーの1c使用について」
a、b、c接点が短絡接続すると、それによって、過電流が流れたり、焼損するという回路構成はしないでください。
また、1a1bリレーにおいてモータの正逆を実施される場合も短絡電流が流れる場合があります。
3-1-11. 「異なる容量の負荷接続について」
1個のリレーで大きな負荷と微小負荷を同時に開閉することはしないでください。
大きな負荷を開閉したとき発生する接点飛散物により微小負荷開閉用接点の清浄性が失われる原因となり、微小負荷開閉接点で接触不良を生じる場合があります。
3-2. 入力回路
3-2-1. 「最大許容電圧について」
コイルの最大許容電圧は、コイル温度上昇とコイル絶縁皮膜材料の耐熱温度(耐熱温度を超えるとコイルの焼損やレアショートの原因となります。)から求められる他に、絶縁物の熱的変化や劣化、さらに他の制御機器を損なわないこと、人体に害を与えないこと、火災の原因にならないことなど重要な制約を受けていますので、カタログ記載の規定値を超えないようにしてください。
3-2-2. 「コイル印加電圧について」
コイルには定格電圧を印加してご使用ください。動作電圧以上の電圧印加でリレーは動作しますが、規定の性能を得るためには、コイルに定格電圧を印加してご使用ください。
3-2-3. 「コイル温度上昇による動作電圧の変化について」
ホットスタート状態および周囲温度が+23 ℃を超える状態ではカタログ記載の動作電圧の規定値を満足できない場合がありますので、実使用状態での確認を実施してください。
コイルの温度上昇により、コイル抵抗が増加し、動作電圧が高くなります。銅線の抵抗温度係数は、1℃当たり約0.4%で、この割合でコイル抵抗が増加します。
カタログ記載の動作電圧・復帰電圧の規定値はコイル温度が+23℃のときの値です。
3-2-4. 「入力電圧の印加電圧波形について」
コイルに印加される電圧がゆるやかに上昇または降下するような使い方はせず、電源波形は矩形波(方形波)を原則とします。
また、限界リレー的(電圧または電流がある限界値に達した瞬間にオン(オフ)する使用)な使い方もしないでください。
このような回路では、接点の同時動作性が確保できない(多極リレーにおいて、接点動作に時間的ばらつきが生じること)、動作電圧が動作ごとに異なるなどのシーケンスの誤動作の原因となります。また、動作、復帰時間が長くなり、接点の耐久性低下や溶着の原因となります。必ず直投法(瞬時オン、瞬時オフ)でご使用ください。
3-2-5. 「コイルオフ時のサージ防止について」
コイルオフ時にコイルより発生する逆起電力は、半導体素子の破壊や装置の誤動作の原因となります。
対策として、コイル両端にサージ吸収回路を付加してください。
なお、サージ吸収回路を付加した場合、リレーの復帰時間が長くなりますので、実使用回路にてご確認の上、使用ください。
なお、ダイオードの繰り返し尖頭逆電圧および直流逆電圧は、外部からのサージも考慮して余裕のあるもの、また平均整流電流はコイル電流以上のダイオードをご使用ください。
また、コイルに並列に誘導負荷が接続されるなど、電源中にサージが含まれている条件下での使用はしないでください。
付加した(一部のソケットに内蔵した)コイルサージ吸収用ダイオードが破損する原因となります。
3-2-6. 「リレーコイルへの漏れ電流について」
リレーコイルへ漏れ電流を流さないでください。改善例①、②のような回路にしてください。
漏れ電流を生じる回路の例
改善例①
改善例② : 入力と同位相の出力値が必要な場合
3-2-7. 「稀ひん度開閉での使用について」
微小負荷において開閉ひん度が少ない使い方の場合には、定期的に接点の通電検査を実施してください。長期間接点の開閉が行われない場合、接点表面での皮膜の生成などにより、接触不安定の原因となります。
なお、接点の通電検査のひん度は、使用環境、負荷の種類などによって異なります。
3-2-8. 「シーケンス回路を構成する場合」
シーケンス回路を構成する場合、回り込みによる誤動作などの異常動作とならないようにしてください。
下図は、回り込み回路の例です。接点A、B、Cが閉じて、リレーX1、X2、X3が動作した後、接点B、Cが開くとA→X1→X2→X3の直列回路が形成され、リレーのうなり、復帰不良の原因となります。
下図は上図を修正した正しい回路例です。なお、直流回路においては、ダイオードによる回り込み防止が可能です。
3-2-9. 「直流操作形リレー使用の場合 (1)入力電源のリップルについて」
直流操作形のリレーの操作電源は、リップル率5%以下の電源をご使用ください。コイルへの直流印加電圧のリップル(脈流)の増大は、うなりの原因となります。
3-2-10. 「直流操作形リレー使用の場合 (2)コイル極性について」
カタログの各リレーの端子No.と印加電源の極性をご確認の上、正しく接続してください。
コイルへのサージキラー用ダイオードを付加したソケットや動作表示灯付きソケットの場合、コイル印加電源の極性を逆接続するとリレーの動作不良、ダイオードの破壊、動作表示灯の不点灯の原因になります。また、ダイオード付きソケットの場合は、回路短絡の発生により回路内の機器の破損の原因となります。
なお、永久磁石を磁気回路に使用した有極リレーの場合、コイルへの印加電源を逆接続した場合、リレーは動作しません。
3-2-11. 「直流操作形リレー使用の場合 (3)コイル印加電圧不足について」
コイルへ印加する電圧が不足しますと、リレーが動かないか、あるいは動作不安定となり、接点の耐久性低下や溶着などの接点障害の原因となります。
特に大型モータなど、電源投入時に大きな突入電流が発生する負荷を動作させた瞬間に、リレーコイルへの印加電圧が低下する場合があります。
また、電圧不足状態にてリレーが動作している場合は、仕様書およびカタログなどで規定しているスペック未満の振動・衝撃値でもリレーが誤動作する原因となります。従って、リレーのコイルへは、定格電圧を印加してください。
3-3. 実装設計
3-3-1. 「リード線径について」
接続に関しては、負荷電流の大きさで線径が決定します。目安として下表に示す断面積以上のリード線をご使用ください。
リード線が細い場合、リード線の異常加熱により焼損の原因となります。
許容電流(A) | 断面積(mm2) |
6 | 0.75 |
10 | 1.25 |
15 | 2 |
20 | 3.5 |
3-3-2. 「ソケットを用いた場合」
リレーとソケットの定格を確認いただき、低い側の定格内にてご使用ください。リレーとソケットの定格値が異なっている場合があり、高い側の定格で使用されますと、接続部の異常発熱、焼損の原因となります。
3-3-3. 「マイコンなどが近接する場合」
マイコンなど外来ノイズに弱い機器が近接する場合、ノイズ対策を考慮したパターン設計や回路設計を実施してください。
マイコンなどを使用してリレーを駆動し、リレー接点で大電流を開閉する場合、アークにより発生するノイズがマイコンの誤動作の原因となります。
4. 使用環境および保管環境に関して
4-1. 「使用・保管・輸送環境について」
使用・保管・輸送時は直射日光を避け、常温・常湿・常圧に保ってください。
4-2. 「使用雰囲気について」
4-3. 「悪性ガス(シリコーン、硫化ガス、有機ガス)雰囲気中での使用について」
周囲にシリコーンガスや硫化ガス(SO2、H2S)、有機ガスの存在する雰囲気での使用はしないでください。
硫化ガスや有機ガス雰囲気中でリレーを長期間放置あるいは使用される場合、接点表面が腐食し接触不安定や接触障害を発生したり、端子のはんだ付け性が低下する場合があります。
また、シリコーンガス雰囲気中リレーを長期間放置あるいは使用される場合、接点表面にシリコーン皮膜が生成して接触不良の原因となります。
なお、以下の表の処理を行うと悪性ガスの影響が低減されます。
項目 | 処理 |
外箱・ハウジング部 | パッキンなどを用いたシール構造にする。 |
基板・銅箔部 | コーティング処理をする。 |
コネクタ部 | 金メッキ、あるいはロジウムメッキ処理をする。 |
4-4. 「水や薬品、溶剤、油の付着について」
水や薬品、溶剤、油がかかる雰囲気中での使用・保管はしないでください。リレーに水や薬品がかかった場合、さび・腐食・樹脂の劣化及びトラッキングによる焼損の原因となります。また、シンナーやガソリンなどの溶剤付着は、マーキング消えや部品劣化の原因となります。
透明ケース(ポリカーボネイト製)に油が付着すると、ケースの白濁あるいはケースにクラック(ひび割れ)が発生する原因となります。
4-5. 「振動・衝撃について」
定格値以上の振動・衝撃が、リレーに加わることのないようにしてください。
異常な振動・衝撃が加わると誤動作の原因となるだけでなく、リレー内部の部品の変形、破損などにより動作不良の原因となります。なお、リレーに異常な振動を加えないためにも、振動を発生する機器類(モータなど)の影響を受けない場所、方法にて取りつけ(実装)ください。
4-6. 「外部磁界について」
800A/m以上の外部磁界の存在する場所では使用はしないでください。
強い外部磁界の存在する場所で使用されますと誤動作の原因となります。
また、開閉時に接点間に発生するアーク放電が磁界により押し曲げられ、せん絡し、絶縁不良を生じる原因となります。
4-7. 「外部荷重について」
リレーに外部からの荷重が加わる状態での使用あるいは保管はしないでください。リレーの初期性能を保てない原因となります。
4-8. 「磁性粒の付着について」
リレーを磁性粒の多い雰囲気中で使用しないでください。
磁性粒がケースに付着することにより性能を維持できない原因となります。
5. リレーの実装作業に関して
5-1. ソケット用リレー
5-1-1. 「表面接続ソケットについて」
5-1-2. 「リレーの抜き差し方向について」
リレーとソケットとの抜き差しは、ソケット表面に対して垂直方向に行ってください。
リレーを斜めに抜き差ししますと、リレー本体の端子の曲がりや、ソケットとの接触不良などの障害の原因となります。
5-1-3. 「端子のはんだ付けについて」
一般リレーにおいてはんだ付けは、下記の注意に従い、手はんだ付けにて行ってください。
①こて先の平滑仕上げをした後、はんだ付けを行ってください。
※鉛フリーはんだの場合には、その仕様に合った条件で行ってください。
②フラックスはリレーの構成材の適合性から非腐食性のロジン系をご使用ください。
フラックスの溶剤は化学作用の少ないアルコール系をご使用ください。
③なお、上図のように、はんだに切断面をいれてフラックスの飛散を防止したものがあります。
なお、端子のはんだ付け時には、はんだ・フラックス・溶剤などがリレー端子以外の部分に付着しないようにしてください。
はんだ・フラックス・溶剤がリレー内部に侵入して絶縁劣化や接触不良の原因となります。
5-2. プリント基板用リレー
5-2-1. 「超音波洗浄について」
超音波洗浄対応形でないリレーの超音波洗浄は実施しないでください。超音波洗浄された場合、超音波によるリレー内部構成品の共振による接点スティッキング、コイル断線の原因になります。
5-3. 共通項目
5-3-1. 「ケース取りはずし、端子カットについて」
ケースの取りはずしや端子カットは絶対にしないでください。
ケースの取りはずしや、端子カットは、初期性能を損なう原因になります。
5-3-2. 「端子を変形させた場合」
誤って変形させた端子を無理に修正して使用しないでください。
このような場合、リレーに無理な力が加わり、初期性能が維持できなくなります。
5-3-3. 「リレーの交換・配線作業について」
リレーを交換・配線作業をする際には、必ずコイルおよび負荷側の電源をOFFにして、安全をご確認の上作業を実施してください。
5-3-4. 「コーティング、パッキングについて」
形G7SA、形G7S-□-Eは、プラスチック・シール形リレーではありませんので、コーティング剤、パッキング樹脂は使用しないでください。
6. リレーの取り扱いに関して
6-1. 「振動・衝撃について」
リレーは、精密部品ですので実装前後にかかわらず、規格値を超える振動・衝撃を加えないでください。保証可能な振動・衝撃値はリレー個別に定めていますので、カタログの各リレーの項をご確認ください。
リレーに異常な振動・衝撃を加えられたりした場合、初期の性能を維持できなくなります。
6-2. 「落下、その他について」
落下させたり内部を分解した製品は使用しないでください。特性を満足できないばかりでなく、破損・焼損の原因となります。
7. プリント基板用リレーに関して
7-1. 「プリント基板の選定 (1)基板の材質」
基板の材質には、大きく分けてエポキシ系とフェノール系があります。それぞれ下記のような特長があります。用途や経済性を考慮の上選定ください。リレー搭載基板としては、はんだクラック対策の面からもエポキシ系をおすすめします。
材質 | エポキシ系 | フェノール系 | |
ガラス布基材エポキシ(GE) | 紙基材エポキシ(PE) | 紙基材フェノール(PP) | |
電気的 特性 | ・絶縁抵抗が高い。 ・吸湿による絶縁抵抗の低下が少ない。 | GEとPPの中間 | 初期は高い絶縁抵抗をもっているが、 湿気により低下しやすい。 |
機械的 特性 | ・温・湿度による寸法変化が小さい。 ・スルーホール基板、多層基板に適す。 | GEとPPの中間 | ・温・湿度による寸法変化が大きい。 ・スルーホール基板に適さない。 |
経済性 | 高価 | やや高価 | 安価 |
用途 | 高信頼性を必要とする場合など | GEとPPの中間的な用途 | 環境が比較的良く配線密度の少ない場合など |
7-2. 「プリント基板の選定 (2)基板の厚さ」
基板の大きさ、基板に実装する部品の質量、基板の取りつけ方法、使用温度などにより基板のそりが発生すると、リレー内部の機構が歪みを生じ、規定の性能を劣化させる原因となります。従って、材質も考慮した上で板厚を決定してください。
基板の厚みは、t=0.8、1.2、1.6、2.0mmが一般的ですが、リレーの端子長さを考慮した場合、1.6mmが最適です。
7-3. 「プリント基板の選定 (3)端子穴径およびランド径」
穴径およびランド径は、使用のリレーのプリント基板加工寸法図をもとに下表を目安に選定してください。ただし、スルーホールメッキ処理のランド径は、下表の値よりも小さくすることが可能です。
穴径Φ (mm) | 最小ランド径Φ (mm) | |
公称値 | 公差 | |
0.6 | ±0.1 | 1.5 |
0.8 | 1.8 | |
1.0 | 2.0 | |
1.2 | 2.5 | |
1.3 | 2.5 | |
1.5 | 3.0 | |
1.6 | 3.0 | |
2.0 | 3.0 |
7-4. 「取りつけ間隔について」
①周囲温度
リレーの取りつけ間隔は、個別カタログをご確認の上、個別に取りつけ間隔を規定されているものについては、必ず規定値以上の間隔をあけて実装ください。
リレーを2個以上取りつけると、相互作用により異常に発熱する場合があります。また、カードラック取りつけなどにより基板を多数枚重ねて取りつける場合も同様に温度の異常上昇の原因となります。リレーの取りつけにおいては、熱がこもらないように間隔をあけて、リレーの周囲温度が規定の使用温度範囲内になるようにしてください。
②相互磁気干渉について
リレーを2個以上取りつけると、個々のリレーから発する磁界が干渉することにより、リレーの特性が変化する場合があります。
必ず、実機にてご確認の上、ご使用ください。
7-5. 「ノイズ対策のためのパターン設計について」
①コイルからのノイズ
コイルをオフ時、コイル両端に逆起電力が発生して、スパイク状のノイズが発生しますので、サージ吸収用ダイオードを接続ください。また、ノイズ伝播を少なくするための回路例を以下に示します。
②接点からのノイズ
接点部でモータ、トランジスタなどサージを生ずる負荷を開閉している場合は、電子回路にノイズを伝達する可能性がありますので、パターン設計時に以下の3点を考慮ください。
③高周波用パターン
取り扱う周波数が高くなると、パターン相互の干渉も大きくなります。従って、ノイズ対策を考慮した高周波用パターン形状、ランド形状を設計ください。
7-6. 「ランド形状について」
1. はんだフィレットが均一になるためにランド部は、銅箔パターンの中心線上になるようにしてください。
良い例 | ![]() |
悪い例 | ![]() |
2. 自動はんだ後、手はんだ付けによる部品およびリレーを後づけする場合、ランドの一部に切り欠け部を設けることで、
端子穴を確保できます。
7-7. 「パターンの導体幅および厚さについて」
銅箔の厚みは、基準として35μm、70μmがあり、導体幅は通電電流と許容温度上昇により決定されます。簡易的な目安として下記グラフをご活用ください。
導体幅と許容電流(IEC Pub326-3による)
7-8. 「パターンの導体間隔について」
導体間隔は、絶縁特性およびそれにかかわる環境ストレスの度合いなどにより決定されます。一般的には、各グラフを参考にしてください。ただし、安全規格(電気用品安全法、UL、CSA、IECなど)に従って製作される場合には、それらの規格が優先されます。また、導体間隔を大きくとる方法として、多層基板を使用する方法もあります。
使用電圧と導体間隔(IEC Pub326-3)
7-9. 「プリント基板の固定方法について」
プリント基板は、外部振動・衝撃が基板と共振することにより増幅したり、振動持続時間が長くなる場合があります。
下表を考慮した固定方法を実施ください。
取りつけ状態 | 対策 |
ラック取りつけ | ガタのないガイドにする。 |
ねじ取りつけ | ・ねじでしっかりと取りつける。 リレー取りつけなどの重量物は、ねじ締めつけ部の周辺に配置する。 ・音響製品などのショックノイズを嫌うものは、締めつけ部にゴムワッシャなどの緩衝材を入れる。 |
7-10. 「プリント基板用リレーの自動実装について」
①スルーホール形
プリント基板への実装については、各々の工程で次の配慮をお願いします。
なお、リレー個別に実装上の注意が必要な場合がありますので、各リレーごとの「正しくお使いください」“使用上の注意”の欄もご覧ください。
工程1 | リレー装着 | |||
![]() | ①端子を曲げて自立端子型にしないでください。リレーの初期性能が維持できない原因となります。 ②プリント基板の加工は、プリント基板加工図通り正しく行ってください。 | |||
工程2 | フラックス塗布 | |||
![]() | ①形G7S-□-Eは、フラックス浸入対策が施してありません。従って下図のように フラックスをスポンジに含ませ、その上からプリント基板を深く押しつける方法にした場合、 フラックスがリレー内に入りますので、絶対にやめてください。 また、深く押しつけますと耐フラックス形の形G7SAでもフラックスがリレー内に 入ることがありますのでご注意ください。 ![]() ②フラックスは、リレー構成材の適合性から非腐食性のロジン系をご使用ください。 フラックスの溶剤は化学作用の少ないアルコール系をご使用ください。 フラックスがリレー内部に浸入しないように薄く均一に塗布してください。 フラックスがプリント基板より上にあふれないよう位置調整してください。 また、ディップ式塗布につきましてもフラックス液面位置を確実にしてください。 ③フラックスがリレー端子以外に付着しないようにしてください。リレー床面等に付着しますと 絶縁劣化の原因となります。 | |||
ディップ式塗布の可否 | ||||
形G7S-□-E | 形G7SA | |||
否 | 可 (スプレーフレクサ 使用時確認要) | |||
工程3 | 予備加熱 | |||
![]() | ①はんだ付け性を良くするために必ず予備加熱を行ってください。 ②予備加熱は下記条件で行ってください。 | |||
温度 | 100℃以下 | |||
時間 | 1分以内 | |||
③装置の故障などで長時間高温中に放置されたリレーはご使用にならないでください。 初期の特性が変化する原因となります。 | ||||
予備加熱の可否 | ||||
形G7S-□-E | 形G7SA | |||
否 | 可 | |||
工程4 | はんだ付け | |||
![]() | 自動はんだ付け | 手はんだ付け | ||
①品質の均一性からフローソルダ式を おすすめします。 ・はんだ:JIS Z 3282、H63A ・はんだ温度:約250℃(DWSの場合は 約260℃) ・はんだ時間:約5秒以内(DWSの場合は、 1回目約2秒、2回目約3秒) ・はんだがプリント基板上にあふれない ように液面位置調整をしてください。 | ①こて先の平滑仕上げをした後、下記条件にて はんだ付けを行ってください。 ・はんだ:JIS Z 3282、H60A、またはH63Aの やに入り(ロジン系) ・はんだごて:30~60W ・こて先温度:280~300℃ ・はんだ時間:約3秒以内 ②なお、図のように、はんだに切断面を入れて フラックスの飛散を防止したものがあります。 ![]() | |||
自動はんだ付けの可否 | 手はんだ付けの可否 | |||
形G7S-□-E | 形G7SA | 形G7S-□-E | 形G7SA | |
否 | 可 | 可 | 可 | |
※鉛フリーはんだの場合には、その仕様に合った条件ではんだ付けを行ってください。 | ||||
工程5 | 冷却 | |||
![]() | 自動はんだ付け後は、はんだ付けの熱によりリレーや他の部分を劣化させないよう、 ただちに送風して冷却してください。 | |||
冷却 | ||||
形G7SA | ||||
要 | ||||
工程6 | 洗浄 | |||
![]() | 洗浄される場合、洗浄方法の選定には、下表をご参照ください。 | |||
洗浄方法 | ||||
形G7S-□-E | 形G7SA | |||
ボイリング洗浄または浸漬洗浄は不可です。 プリント基板の裏面だけブラッシング洗浄してください。 | ||||
工程7 | コーティング | |||
![]() | ①形G7SA、形G7S-□-Eは、コーティング剤がリレー内部に浸入し接触障害を起こす原因と なりますのでコーティングしないでください。または、リレーを後付けとしてください。 ②コーティング剤の種類によっては、リレーのケースを破損させたり、シール剤を化学的に溶解 させ、密封破壊の原因となりますので十分確認の上、選択してください。 ③リレー全体の樹脂固めは、行わないでください。リレーの特性が変化する原因となります。 コーティング剤の温度は、使用周囲温度の最大値を超えないでください。 |
8. 故障解析
下記にリレーの動作がおかしいときの故障解析表を掲載します。下表に従って、一度回路などのチェックを実施ください。
なお、回路チェックで異常が無い場合で、故障がリレーに起因すると考えられる際には、当社営業担当にお問い合わせください。(リレーの分解は実施しないでください。故障原因が特定できなくなります。)
リレーは、コイル部・接点部・鉄芯部・その他の機構部から構成されていますが、これらのうち最もトラブルが多いのが接点部で、次いでコイル部です。
しかし、これらのトラブルは使用方法や使用条件による外的な要因で発生する場合がほとんどで、使用前の十分な検討と正しい選択によりその多くを防止することが可能です。
下表に、リレーに関する主な故障モードを取りあげ、原因の推定と対策を示します。
故障 | 原因 | 対策 |
(1)動作不良 | ①コイル定格電圧の選定誤り ②配線不良 ③入力信号の不到来 ④電源電圧の降下 ⑤回路電圧の降下(特に隣接大型機器の動作時、 または長距離配線時注意) ⑥使用周囲温度の上昇に伴う動作電圧(感動電圧) の上昇(特に直流形) ⑦コイル断線 | ①定格電圧の見直し ②コイル端子間の電圧確認 ③コイル端子間の電圧確認 ④電源電圧の確認 ⑤回路電圧の確認 ⑥リレーの単独動作テスト ⑦・焼損による場合は(3)項参照 ・電気腐食作用による場合は コイル電圧の印加極性確認 |
(2)復帰不良 | ①入力信号しゃ断不良 ②迂回路によるコイルへの電圧印加 ③半導体回路などの組み合わせ回路による残留電圧 ④コイルとコンデンサ並列接続による復帰の遅延 ⑤接点の溶着 | ①コイル端子間の電圧確認 ②コイル端子間の電圧確認 ③コイル端子間の電圧確認 ④コイル端子間の電圧確認 ⑤溶着については(4)項参照 |
(3)コイル焼損 | ①コイル印加電圧の不適格 ②コイル定格電圧の選定誤り ③コイルの層間短絡 | ①コイル端子間の電圧確認 ②定格電圧の見直し ③使用雰囲気の再確認 |
(4)接点溶着 | ①接続負荷機器の過大(接点容量の不足) ②開閉ひん度の過大 ③負荷回路の短絡 ④うなりによる接点の異常開閉 ⑤規定耐久回数の到来 | ①負荷容量の確認 ②開閉回数の確認 ③負荷回路の確認 ④(7)項うなり参照 ⑤接点定格の確認 |
(5)接触不良 | ①接点表面の酸化 ②接点の摩耗、劣化 ③取り扱い不良による端子ズレや接点ズレ | ①・使用雰囲気の再確認 ・リレー選択の見直し ②規定耐久回数の到来 ③取り扱い注意 ・耐振動、衝撃 ・はんだ作業 |
(6)接点の異常消耗 | ①リレー選定の不適格 ②負荷機器への配慮不足(特に、モータ負荷、 ソレノイド負荷、ランプ負荷) ③接点保護回路なし ④隣接接点間の耐圧不足 | ①選定の見直し ②選定の見直し ③火花消弧回路などの追加 ④リレー選定の見直し |
(7)うなり | ①コイル印加電圧の不足 ②電源リップルの過大(直流形) ③コイル定格電圧の選定誤り ④入力電圧の緩慢な上昇 ⑤鉄芯部の摩耗 ⑥可動鉄片と鉄芯間に異物混入 | ①コイル端子間の電圧確認 ②リップル率の確認 ③定格電圧の見直し ④回路の追加変更 ⑤規定耐久回数の到来 ⑥異物の除去 |
「制御機器の正しい使い方」(NECA発行)制御用リレー編より抜粋