セーフティセンサは、機械の危険領域に人体が侵入したことを検知するためのセンサです。ここではセーフティセンサの共通の注意事項を説明します。
共通の注意事項 |
各商品別の注意事項は、 各商品ごとの「正しくお使いください」をご覧ください。
●設置条件
検出エリアと侵入経路
検出エリアを通過してのみ機械の危険部に到達できるように機械周辺に防護構造物を設置してください。機械の危険部で作業を行うとき、常に人体の一部が検出領域内に残るように設置してください。
機械の危険部とセーフティライトカーテンの検出エリアの間に人体が入り込んでしまう場合は、インターロックがかかるシステムとし、機械の再始動を防止してください。人体が検出されず、重傷を負う恐れがあります
インターロックリセットスイッチは、危険エリア全体が見え、かつ危険エリア内から操作できない位置に設置してください。
セーフティライトカーテンは、危険エリアからの飛来物に対して人体を防護することはできません。別途覆いまたは囲いを設けてください。
安全距離
安全距離とは、人体や物体が機械の危険部に到達する前に危険部を停止させるため、セーフティセンサと危険部が最低限離されなければならない距離のことです。安全距離は各国の規格や機械の個別規格によって異なります。また侵入方向がセーフティセンサの検出領域に対して垂直ではない場合は計算式が異なります。必ず関連規格を参照してください。
セーフティセンサと危険部の間に安全距離(S)を確保してください。機械の危険部に到達する前に機械が止まらず、重傷を負う恐れがあります。
注. 機械の応答時間とは、機械が停止信号を受信してから機械の危険部が停止するまでの時間です。機械の応答時間は実機で測定してください。また、機械の応答時間に変化がないかどうか、定期的に確認してください。
〈セーフティライトカーテンの安全距離について〉
●国際規格ISO13855-2002(欧州規格EN999-1999)で規定される安全距離の計算法(参考)
人体がセーフティライトカーテンの検出領域に対して垂直に侵入する場合
S=K×T+C・・・(1)式
・S:安全距離
・K:検出エリアへの侵入速度
・T:機械とセーフティライトカーテンの合計応答時間
・C:セーフティライトカーテンの最小検出物体直径から計算される追加距離
〈最小検出物体直径が40mm以下のシステム〉
K=2,000mm/s、C=8×(d-14mm)として、(1)式を使用して計算します。
S=2,000mm/s×(Tm+Ts)+8×(d-14mm)
・S=安全距離(mm)
・Tm=機械の応答時間(s)
・Ts=セーフティライトカーテンのON→OFFへの応答時間(s)*
・d=セーフティライトカーテンの最小検出物体直径(mm)*
*各商品により異なりますので、各商品ごとの「正しくお使いください」をご覧ください。
[計算例]
Tm=0.05s、Ts=0.01s、d=14mm のとき:
S=2,000mm/s×(0.05s+0.01s)+8×(14mm-14mm)=120mm・・・(2)式
この計算結果が100mm未満の場合は、S=100mmとします。
この計算結果が500mmを超える場合は、
K=1,600mm/sとした次の式で再計算します。
S=1,600mm/s×(Tm+Ts)+8×(d-14mm)・・・(3)式
上記(3)式の計算結果が500mm未満の場合は、S=500mmとします。
〈最小検出物体直径が40mmより大きいシステムまたはマルチビームセーフティセンサ〉
K=1,600mm/s、C=850mmとして、(1)式を使用して計算します。
S=1,600mm/s×(Tm+Ts)+850・・・(4)式
・S=安全距離(mm)
・Tm=機械の応答時間(s)
・Ts=セーフティライトカーテンのON→OFFへの応答時間(s)
[計算例]
Tm=0.05s、Ts=0.01sのとき:
S=1,600mm/s×(0.05s+0.01s)+850mm=946mm
●米国規格ANSI B11.19で規定される安全距離の計算法(参考)
〈最小検出物体直径が64mm未満のシステム〉
人体がセーフティライトカーテンの検出エリアに対して垂直に侵入する場合、安全距離は次に示す考え方によって計算されます。
S=K×(Ts+Tc+Tr+Tbm)+Dpf
・S:安全距離
・K:検出領域への侵入速度(OSHA 規格による推奨値は1,600mm/s)
侵入速度Kは、ANSI B.11.19規格では定義されていません。適用するKの値を決定する際には、オペレータの身体能力を含むあらゆる要因を考慮してください。
・Ts=機械の停止時間(s)
・Tr=セーフティライトカーテンのON→OFFへの応答時間(s)
・Tc =機械のブレーキを作動させるのに要する機械制御回路の最大応答時間(s)
・Tbm=追加時間(s)
機械がブレーキモニタを備えている場合は、「Tbm=ブレーキモニタ設定時間-(Ts+Tc)」となります。ブレーキモニタを備えていない場合は(Ts+Tc)の20%以上を追加時間とすることを推奨します。
・Dpf=追加距離
ANSIの公式では、Dpfの算出は以下のようになります。
Dpf=3.4×(d-7.0):dはセーフティライトカーテンの最小検出物体直径(単位:mm)
[計算例]
K=1,600mm/s、Ts+Tc=0.06s、ブレーキモニタ設定時間=0.1s、Tr=0.01s、d=14mm のとき:
Tbm=0.1-0.06=0.04s
Dpf=3.4×(14-7.0)=23.8mm
S=1,600×(0.06+0.01+0.04)+23.8=199.8mm
●米国規格ANSI/RIA R15.06で規定される安全距離の計算法(参考)
〈最小検出物体直径が64mm以上、かつ600mm未満のシステム〉
人体がセーフティライトカーテンの検出領域に対して垂直に侵入する場合、安全距離は次に示す考え方によって計算されます。
S=K×(Ts+Tc+Tr)+Dpf
・S:安全距離
・K:検出領域への侵入速度(OSHA規格による推奨値は1,600mm/s)
・Ts=機械の停止時間(s)
・Tr=セーフティライトカーテンのON→OFFへの応答時間(s)
・Tc=機械のブレーキを作動させるのに要する機械制御回路の最大応答時間(s)
・Dpf=追加距離
最下部の光軸高さが床面より300mm以下、最上部の光軸高さが床面より1,200mm以上の位置になるように設置した場合、Dpf=900mmとなります。
最下部の光軸高さが床面より300mm以下、最上部の光軸高さが床面より900mm以上の位置になるように設置した場合、Dpf=1,200mmとなります。
[計算例]
K=1,600mm/s、Ts+Tc=0.06s、
Tr=0.01s、Dpf=900mmのとき:
S=1,600×(0.06+0.01)+900=1,012mm
〈シングルビームセーフティセンサの安全距離について〉
●国際規格ISO13855-2002(欧州規格EN999-1999)で規定される安全距離の計算法(参考)
(検出領域へ垂直に侵入する場合)
安全距離(S)
=検出領域への侵入速度(K)
×機械とセンサの合計応答時間(T)
+センサの最小検出物体直径から計算される追加距離(C)
安全距離は各国の規格や機械の個別規格によって異なります。また、侵入方向がセンサの検出領域に対して垂直ではない場合は、計算式が異なります。必ず関連規格を参照してください。
なお、Tは、T = T1 + T2 + T3
ここで、
T1=機械の最大停止時間(秒)
T2=センサの応答時間(秒)
(ON→OFF:形E3ZSの場合 1.0ms、形E3FSの場合 2.0ms、形F3SSの場合 35ms)
T3=形F3SXの応答時間(秒)
(ON→OFF:形F3SXを参照してください)
であり、機械の最大停止時間とは、形F3SXの停止信号を機械が受信してから、機械の危険部が停止するまでの時間です。
機械の最大停止時間は、実機によって測定してください。また、機械の停止時間に変化がないかどうか、定期的に確認してください。
シングルビームセーフティセンサの場合のKおよびCは下記の条件で与えられます。
1)シングルビームセーフティセンサを単独で使用する場合
(リスクアセスメントにより、単独光軸を用いることができる場合)
K=1,600mm/s
C=1,200mm
地上または基準面からのビームの高さ:750mm(EN999推奨)
2)複数のシングルビームセーフティセンサの高さを変えて設置する場合
K=1,600mm/s
C=850mm
EN999では以下の光軸高さが推奨されています。
光軸数 | 基準面(例:床面)からの高さ |
2 | 400mm、900mm |
3 | 300 mm、700 mm、1,100mm |
4 | 300mm、600mm、900mm、1,200mm |
光沢面からの距離
光沢面からの反射の影響を受けないように設置してください。検出不能状態となり、重傷を負う恐れがあります。
金属製の壁や床、天井、ワークなどの光沢面(反射率の高い面)から以下に示す距離D以上離して設置してください。
投光器と 受光器の距離 (検出距離L) | 設置許容距離D | |
Type 4 | Type 2 | |
0.2~3mのとき | 0.13m | 0.26m |
3m以上のとき | L/2×tan5°=L×0.044(m) | L/2×tan10°=L×0.088(m) |
その他
セーフティライトカーテンをPSDIモード(センサによるサイクル運転の再始動)でご使用になるには、セーフティライトカーテンと機械の間に適切な制御回路を構成する必要があります。
PSDIについての詳細は、OSHA1910.217、IEC61496-1、およびその他の関連する規格、規制を参照ください。
本体を分解、修理、改造しないでください。本来の安全機能が失われ危険です。
セーフティライトカーテンを引火性、爆発性ガスの雰囲気中で使用しないでください。爆発の恐れがあります。
セーフティライトカーテンの日常点検、6ヶ月ごとの点検を必ず実施してください。システムが正常に動作せず、重傷を負う恐れがあります。
●設置に関して
相互干渉の防止方法
対向する投光器と受光器は同じセット形式のものをご使用ください。誤った組み合わせでご使用になると検知不能領域が生じます。
反射形の構成では使用しないでください。検出不能状態になることがあります。しゃ光物体による反射光が受光器に入射しないようなミラーによる光のルートの変更は問題ありません。
複数セットのセーフティライトカーテンを使用するときは、連結したり、しゃ光板を使用するなどして、相互干渉が発生しないように設置してください。
定格を超える周囲雰囲気・環境では使用しないでください。
●設置に関して
相互干渉の防止方法
【連結する場合】
連結可能なセーフティライトカーテンの相互干渉の防止方法につきましては、各形式の「使用上の注意」をご覧ください。
【連結しない場合】
配線などの事情により、2セット以上のセンサを連結せずに設置する場合、相互干渉が発生しないように配置してください。相互干渉が発生すると、セーフティライトカーテンはロックアウト状態になります。
・相互干渉を起こす恐れがある設置形態
・相互干渉が発生しない設置形態
①2セット間で投光方向が異なるようにする(千鳥配置)
②2セット間にしゃ光板を設置する
③干渉しない距離まで離して設置する
投光器と 受光器の距離 (検出距離L) | 設置許容距離D | |
Type 4 | Type 2 | |
0.2~3mのとき | 0.26m | 0.52m |
3m以上のとき | L×tan5°=L×0.088(m) | L×tan10°=L×0.18(m) |
検出距離
投光器と受光器間の距離が0.2m未満の場合、出力がチャタリングする恐れがあります。必ず定格検出距離内でご使用ください。
④設定ツールを使用し、検出距離を短く設定する(形F3SJのみ)