レベル機器は、電極に液体が接触することで、そこに流れる電流によって液体レベルを検知スイッチです。ここではレベル機器のトラブルシューティングを説明します。
形61Fのトラブルは大きく3つのエリアに大別できます。(下図参照)
この3つのエリアの原因の絞り込みには、水位変化を模擬的に行わせるために、電極端子間をクリップ、電線等で直接短絡、開放することにより、正常時の動作と比較することが可能です。(電源端子は短絡しないようにしてください。)例えば、形61F-GNの場合、電極が水に浸っていないことを確認した上で形61F本体端子E1-E3間の短絡で動作、開放で復帰するか確認し、問題なければ電極保持器の端子部で同様の確認を行い、原因箇所の絞り込みをしていきます。
給水運転の場合の点検事項
現象 | 点検事項 | 原因または処置 | ||
【1】 ポンプが 始動 しない | ①コンタクタの接点端子、形61Fの電源端子に電源が印加されているか。 ②マグネットコンタクタのコイルの一端と形61FのS0端子が電源(の同一 相)で接続されているか。 ③コンタクタや形61Fの電源端子ねじにゆるみがないか。 ④モータ保護リレーが動作していないか。 ⑤下表の電極棒間の接触、あるいは電極棒とタンクなどの接触がない か、異物のからまりがないか。 | ①ヒューズ、ノーヒューズ・ブレーカなどを点 検する。 ②形61Fの出力リレーとマグネットコンタクタ のコイルとの配線が正しいかを点検する。 ③ゆるみがあればしっかり締めつける。 ④動作していれば原因を除去し復帰させる。 ⑤正しく装着し、異物のからまりがあれば除 去する。 ⑥絶縁不良があればその配線を取り替える。 ⑦長い配線が必要な場合は遠距離用(形 61F-□NL(-□L)の2kmまたは4km)と交 換する。誘導による誤動作であればシー ルド線を使用するか別配線にする。 | ||
形61F-GN(G)、 形61F-G1N(G1) | 形61F-G3N(G3) | 形61F-G4N(G4) | ||
E1−E3またはE2−E3 | E2−E5またはE3−E5 | E5−E8またはE6−E8 | ||
⑥次の電極回路の配線に絶縁不良がないか。 | ||||
形61F-GN(G)、 形61F-G1N(G1) | 形61F-G3N(G3) | 形61F-G4N(G4) | ||
E1、E2回路 | E2、E3回路 | E5、E6回路 | ||
⑦電極回路の配線(電極保持器−形61F間)が長く、静電容量や電磁誘 導による形61Fの誤動作はないか。 | ||||
【2】 ポンプが 停止 しない | 形61Fの次の端子を短絡して停止する場合は、①~⑥のいずれかです。 | ①正しく装着し、しっかり締めつける。 ②断線していれば取り替える。端子ねじは しっかり締めつける。 ③水アカ、油膜などによって導通不良になる ので除去し清掃する。 ④電極棒の間隔が広すぎると電極間抵抗が 高くなり、形61Fが動作しないことがある。 ⑤固有抵抗が高い場合は高感度用(形61F- □NH(-□H))と交換する。 ⑥ビニールテープを巻く場合は先端から少 なくとも10cmを残して巻く。 | ||
形61F-GN(G)、 形61F-G1N(G1) | 形61F-G3N(G3) | 形61F-G4N(G4) | ||
E1−E3端子 | E2−E5端子 | E5−E8端子 | ||
E1 ※ | E2 ※ | E5 ※ | ||
①上表※印の電極棒の脱落、または締めつけのゆるみがないか。 ②上表※印の電極回路の配線が断線していないか、※印の形61F端子 ねじにゆるみがないか。 ③電極棒に水アカや油膜などが付着していないか。 ④電極棒の間隔は適当か。 ⑤液体(水)の固有抵抗が高すぎないか。 ⑥電極棒の先端までビニールテープが巻かれていないか。 | ||||
【3】 停止時に ばたつく | ①下表※印の電極棒の脱落、または締めつけのゆるみがないか。 ②下表※印の電極回路の配線が断線していないか。形61F※印の端子 ねじにゆるみがないか。 | ※印の電極が働かない場合は一点制御とな り、水位のわずかな変動で形61FがON、 OFFを繰り返す。 | ||
形61F-GN(G)、 形61F-G1N(G1) | 形61F-G3N(G3) | 形61F-G4N(G4) | ||
E2 ※ | E3 ※ | E6 ※ | ||
③次表電極棒の配線に間違いはないか。 | ||||
形61F-GN(G)、 形61F-G1N(G1) | 形61F-G3N(G3) | 形61F-G4N(G4) | ||
E1~E3 | E1~E5 | E4~E8 |
注1. 空転防止機能つきの場合はさらに、下記の「電極棒空転防止機能つき給水の場合の点検事項」の点検を行ってください。
2. 満水、渇水警報に関する点検事項は、下記の「満水、渇水警報に関する点検事項」を参照してください。
3. 形61F-G1Nを用いた渇水警報つき給水の場合で、始動時に「ブザーが鳴ってポンプが始動しない」ときは水位を点検してください。
水位が電極棒E4に達していなければ、この現象は渇水警報の動作としては正常です。
この状態で始動させたい場合は、水位が電極棒E4に達するまでに形61FのE4とE3電極回路を短絡します。
警報すべき水位と電極棒E4の長さを再点検してください。
機種別電極棒略図
形61F-GN(G) | 形61F-G1N(G1) | 形61F-G3N(G3) | 形61F-G4N(G4) | |
![]() | 用途1 ポンプの空転防止を兼ねた 給水の自動運転 ![]() | 用途2 異常渇水警報を兼ねた 給水の自動運転 ![]() | ![]() | ![]() |
接続については、形61F-G□N、形61F-G□、形61F-GP-N□、形61F-LS-CP□、形61F-G□P、形61F-UHS/-HSLのカタログ(データシート)を参照ください。
電極棒空転防止機能つき給水の場合の点検事項
電極棒空転防止機能つき給水の場合の点検事項
給水源の渇水による空転防止機能のある形61F-G1N(G1)、-G4N(G4)の場合はさらに次の点検を行ってください。
現象 | 点検事項 | 原因または処置 |
【1】 ポンプが 始動しない | ・空転防止回路が動作していないか。電極棒E1、E2、E3 (形61F-G1N(G1)の場合はE1'、E2')が短かすぎることの ないよう注意が必要。 ①給水源の水位の状況を調べる。始動時、水位が電極棒 E2(E1')に達しているか。 ②E2、E3(E1'、E2')電極回路の配線が断線してないか。 形61FのE2、E3(E1'、E2')ねじにゆるみがないか。 | ・始動時にはE2(形61F-G1N/G1の場合E1')が、始動後 はE3(E2')が各々E8(E3)との間で導通状態でないと 「空転防止」が働いて始動しない。 ①始動時に水位が電極棒E2(E1')に達していない場合に はE2−E8間(E1'−E3間)を瞬間短絡して始動させる。 |
【2】 空転防止が 働かない | ①電極棒E2−E8/E3−E8(E1'−E3/E2'−E3)間の接触、 あるいは電極棒とタンクなどの接触がないか、異物のか らまりがないか。 ②E2、E3(E1'、E2')電極回路の配線に絶縁不良がないか。 ③電極回路の配線が長いため形61Fの誤動作ではないか。 | ①正しく装着し異物などがあれば除去する。 ②絶縁不良であればその配線を取り替える。 ③長い配線が必要な場合は遠距離用と交換する。誘導 による誤動作であればシールド線を使用するか別配 線にする。 |
注.( )内は形61F-G1N(G1)の場合を表します。
機種別電極棒略図
形61F-G1N(G1) | 形61F-G4N(G4) |
![]() | ![]() |
接続については、形61F-G□N、形61F-G□、形61F-G□P のカタログ(データシート)を参照ください。
排水運転の場合の事故点検事項
現象 | 点検事項 | 原因または処置 | |
【1】 ポンプが 始動 しない | ①コンタクタの接点端子、形61Fの電源端子に電源が印加されているか。 ②コンタクタのコイルの一端と形61FのS0端子が電源(の同一相)で接続 されているか。 ③コンタクタや形61Fの電源端子ねじにゆるみがないか。 ④モータ保護リレーが動作していないか。 ・形61Fの次表の端子を短絡して始動する場合は、⑤~⑩のいずれか です。 | ①ヒューズ、ノーヒューズ・ブレーカなどを点 検する。 ②形61Fの出力リレーとマグネットコンタクタ のコイルとの配線が正しいかを点検する。 ③ゆるみがあればしっかり締めつける。 ④動作していれば原因を除去し復帰させる。 ⑤正しく装着し、しっかり締めつける。 ⑥断線していれば取り替える。端子ねじは しっかり締めつける。 ⑦水アカ、油膜などによって導通不良になる ので除去し清掃する。 ⑧電極棒の間隔が広すぎると電極間抵抗が 高くなり、形61Fが動作しないことがある。 ⑨固有抵抗が高い場合は高感度用(形 61F-□NH(-□H))と交換する。 ⑩ビニールテープを巻く場合は先端から少な くとも10cmを残して巻く。 | |
形61F-GN(G)、形61F-G2N(G2) | 形61F-G3N(G3) | ||
E1−E3端子 | E2−E5端子 | ||
E1 ※ | E2 ※ | ||
⑤上表※印の電極棒の脱落または締めつけにゆるみがないか。 ⑥上表※印の電極回路の配線が断線していないか。形61F※印の端子 ねじにゆるみがないか。 ⑦電極棒に水アカや油膜などが付着していないか。 ⑧電極棒の間隔は適当か。 ⑨液体(水)の固有抵抗が高すぎないか。 ⑩電極棒の先端までビニールテープが巻かれていないか。 | |||
【2】 ポンプが 停止 しない | ①下表の電極棒間の接触あるいは電極棒とタンクなどの接触がないか、 異物のからまりがないか。 | ①正しく装着し、異物のからまりがあれば除 去する。 ②絶縁不良があればその配線を取り替える。 ③長い配線が必要な場合は遠距離用(形 61F-□NL(-□L)の2kmまたは4km)と交 換する。誘導による誤動作であればシー ルド線を使用するか別配線にする。 | |
形61F-GN(G)、形61F-G2N(G2) | 形61F-G3N(G3) | ||
E1−E3またはE2−E3間 | E2−E5またはE3−E5間 | ||
②次の電極回路の配線に絶縁不良がないか。 | |||
形61F-GN(G)、形61F-G2N(G2) | 形61F-G3N(G3) | ||
E1、E2回路 | E2、E3回路 | ||
③電極回路の配線(電極保持器−形61F間)が長く、静電容量や電磁誘 導による形61Fの誤動作はないか。 | |||
【3】 停止時に ばたつく | 形61F-GN(G)、形61F-G2N(G2) | 形61F-G3N(G3) | ※印の電極が働かない場合は一点制御とな り、水位のわずかな変動で形61FがON、 OFFを繰り返す。 |
E2 ※ | E3 ※ | ||
①上表※印の電極棒の脱落、または締めつけにゆるみがないか。 ②上表※印の電極回路の配線が断線していないか。形61F※印の端子 ねじにゆるみがないか。 ③コンタクタや形61Fの端子ねじにゆるみがないか。 ④次表電極棒の配線に間違いはないか。 |
注. 満水、渇水警報に関する点検事項は、下記の「満水、渇水警報に関する点検事項」を参照してください。
機種別電極棒略図
形61F-GN(G) | 形61F-G2N(G2) | 形61F-G3N(G3) |
![]() | ![]() | ![]() |
接続については、形61F-G□N、形61F-G□、形61F-GP-N□、形61F-LS-CP□、形61F-G□P、形61F-UHS/-HSLのカタログ(データシート)をご参照ください。
満水、渇水警報に関する点検事項
不具合現象と点検事項に対応する具体的点検ポイントを各形式別に表記しました。
現象 | 点検事項 | 形61F-G1N(G1) | 形61F-G2N(G2) | 形61F-G3N(G3) | 形61F-G1N(G4) |
【1】 満水でない のに満水 警報が出る | ①電極棒間の接触、あるいは 電極棒とタンクなどの接触 がないか、異物のからまり がないか。 ②電極回路の配線に絶縁不 良がないか。 ・電極回路の配線(電極保持 器−形61F間)が長く静電容 量や電磁誘導による形61F の誤動作はないか。 | ―― | ①E4と他の 電極棒* ②E4 | ①E1と他の 電極棒* ②E1 | 高架水槽 ①E4と他の電極棒* ②E4 |
給水源 ①E1と他の電極棒* ②E1 | |||||
【2】 渇水なのに 渇水警報 が出ない | ①E4−E3間 ②E4 | ―― | ①E4−E5間 ②E4 | 高架水槽 ①E7−E8間 ②E7 | |
給水源 ①E3−E8間 ②E3 | |||||
【3】 満水なのに 満水警報 が出ない | ・形61Fの①に示す端子間を 短絡すると正常動作する場 合は次のいずれかです。 ②電極棒の脱落、または締め つけにゆるみがないか。 ③電極回路の配線が断線し ていないか、形61Fの④に 示す端子ねじにゆるみがな いか。 ・電極棒に水アカや油膜など が付着していないか。 ・電極棒の間隔は広すぎない か。 ・液体(水)の固有抵抗が高 すぎないか。 ・電極棒の先端までビニール テープが巻かれていない か。 | ―― | ①E4−E3間 ②E4 ③E4 ④E4、E3 | ①E1−E5間 ②E1 ③E1 ④E1、E5 | 高架水槽 ①E4−E8間 ②E4 ③E4 ④E1、E8 |
給水源 ①E1−E8間 ②E1 ③E1 ④E1、E8 | |||||
【4】 渇水でない のに渇水 警報が出る | ①E1'(E4)−E3間 ②E4 ③E4 ④E1'(E4)、E3 | ―― | ①E4−E5間 ②E4 ③E4 ④E4、E5 | 高架水槽 ①E7−E8間 ②E7 ③E7 ④E7、E8 | |
給水源 ①E3−E8間 ②E3 ③E3 ④E3、E8 |
*「警報用」電極はたとえコモン電極との接触がなくても、他の電極棒との接触により、液(水)位によって導通状態になります。
電極回路の点検方法
電極棒を引き出して電極回路の点検ができない場合は、下図のようにテスタで各電極とアース間の抵抗値を測定します。各抵抗値を比較することによって、電極棒の長さ(長、中、短など)、電極棒の接触状態、脱着の状況を知ることができます。
たとえば、抵抗値の低い方からE3(長)、E2(中)、E1(短)となります。なお、この方法で点検を行う場合は次の要領で行ってください。
電極間抵抗の測定方法
正常に配線しても動作しない時などに電極間の抵抗を測定チェックすることがありますが、この場合は上図のように電圧計と電流計を使用し電圧降下法で測定してください。
この場合電極間抵抗(E1~E3間の液体抵抗)は次式で求められます。
R:電極間の液体抵抗(kΩ)
V:電圧計の指示値(V)
I:電流計の指示値(mA)
Rの値により形61Fの機種の選定を行ってください。
形61F-11N、-11リレー・ユニットの点検方法
リレーユニットを本体に取りつけた状態で指定された電源電圧を印加し、各接続図(内部配線)を参考に本体のコモン(アース)電極端子と各リレーユニットの動作電極端子を短絡し、各リレーユニットのリレーの出力接点の動作をテスタ等により確認してください。