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レベル機器 用語解説


レベル機器は、電極に液体が接触することで、そこに流れる電流によって液体レベルを検知スイッチです。ここではレベル機器の用語を解説します。

関連情報


水の種類

浄水

飲料用の浄化された水で一般家庭に送られてくる水、水道水をさします。
同じ字を書く浄化槽は汚水を浄化したもので混合してはいけません。

汚水

下水に流される前のもので、一般にはトイレの排水をさします。

〔参考〕
家庭、工場の排水には固形物、浮遊物が含まれ、かつ液体も低抵抗であるため、電極の設置には配慮が必要です。

上水(じょうすい)

浄水とほとんど同じ意味。下水に対して上水といい、水道局では上水道、下水道の区分があります。水道局では浄化する前の水に対しても使われるので、浄水より意味が広くなります。

下水(下水道)

水の種類というより、汚水を流すシステム。この場合、浄化槽は不要で、汚水雑排槽から直接流します。また、汚水雑排槽も設けないで、汚水を流すパイプをそのまま下水道につなぐ所も多くあります。

雨水(うすい)

ピットなどにたまった雨水のことをさします。浄水に比べ少し高抵抗です。

湧水(ゆうすい)

泉のような湧き水のことをさします。
雨水と同様、少し高抵抗です。

揚水(ようすい)

ポンプを使って所定の所に送り込む水です。水道水が扱われる場合がほとんどです。

用水

目的をもって貯水されている水で、水道水と同じ感度の場合がほとんどです。防火用水など用途が前につきます。

イオン交換水

イオン分を除去した水のことをさします。
イオン分を除去する方法が蒸留でないため、高抵抗です。

〔参考〕
一般に使用されるものは
動作抵抗 200kΩ
形61F-GP-NH3、形61F-LS-CP□-SRAを使用することがありますが、イオン分の除去方法により抵抗値はさらに上がります。(純水)

蒸留水

一般に水の蒸気を集めたもので、純水ほど抵抗が高くありません。

〔参考〕
高感度用の形61Fで使用できます。

環水

ボイラーの蒸気の循環水。配管の中で蒸気が水滴になってできた水のことをいいます。

純水

不純物を含まない水をさします。
事例としては200kΩ・cmから高いものは18MΩ・cm位まであり、超高感度の形61Fが必要になります。

〔参考〕
純水の場合には、水の純度を守るためチタン電極を用います。

復水

蒸気タービン・ボイラー等の冷却水のことをさします。

ドレーン

ボイラーの湯を一定の純度に保つために放出する水のことをいいます。
この水を溜めたものは一般用より少し低い抵抗になります。

水槽・池

受水槽

ビル、マンションなどの高層住宅で屋上に高架水槽を持つところでは、一旦水槽に水を溜め、高架水槽にポンプで水を汲み上げます。この水槽を受水槽といい、地階もしくは1階に設けられています。

〔参考〕
本技術解説では一般的に給水源としていますが、ビル以外では受水槽とは呼ばないので、その表現になっています。これは消防用の消火栓と共用されている場合がほとんどで、電極の長さはそれを考えておく必要があります。
受水槽そのもののレベルコントロールは別の形61F かボールタップで行われています。(高架水槽用の形61Fの電極と一緒に入っていることがあります)
少し大きいビル、マンションでは、形61F-G4Nが使用され、官公庁の条例で下下限の表示(高架水槽、受水槽とも)が必要になっているところがあり、形61F-GP-N等を付加する例があります。

高架水槽

ビル、マンションなどの高層住宅で、屋上に設置し、高さを利用して水を供給するための水槽のことをさします。

〔参考〕
受水槽から形61F-G4Nまたは形61F-G1Nなどによって自動的に水がポンプアップされます。
直接圧力を加えて水を送るシステム(圧送式)が導入され、高架水槽を持たないビルも建設されていますが、停電・天災等での貯水タンクとしての役割が見直されています。

配水池

水源地に対して、これから配分されて一時的に貯められ、住宅に供給されるようになった池のことをいいます。
分岐用に作られた小型水源地。

汚水雑排槽

下水道が完備した都会では浄化水槽に代わるものとして、トイレからの汚水と台所からの排水を貯めています。

〔参考〕
普通のマンションなどは汚水のパイプから直接下水道に流しますが、地階のあるビルの場合、下水道までポンプで汲み上げる必要があります。そのために一度地下に汚水を貯める槽が必要になります。
この場合は、油や固形物がそのまま入っているため、電極の設置は1極ずつ離して電極間の短絡を防ぐ必要があります。

水源池

水道局が住民用の水道に供給するために作られている池等をいいます。
何らかの形で、いろいろな水源から水をここに送り、浄化装置を経て市民に供給されています。

〔参考〕
水源池には常にある水位を保つ必要があるため、形61Fは多く使用されており、リレーと電極との間の配線も非常に長い所が多くあります。公共以外に私設の水源池を持っている所もあります。

浄化槽

トイレの排水を集め、一旦ここで浄化します。つまり固形物がなくなった状態で他所へ排出していきます。

〔参考〕
浄化槽に使う電極は弱アルカリなので絶縁に注意する必要があります。下水道が完備されている都市では、ビルなど浄化槽は不要になった所が多く、汚水雑排槽に移行しています。

仕様

2線式(Rつき)

電極と形61F本体との間の配線の電線を1本省略できる方式で、レベル電極、自己保持電極、アース電極の3線のうち、自己保持電極の配線を省略するタイプです。自己保持電極は必要です。この場合、形61F本体(リレーユニットも)、電極保持器にも必ず形式にR タイプを使用し(抵抗)1W 6.8kΩがつきます。

〔参考〕

形式電極と形61F本体までの配線数形式電極と形61F本体までの配線数
形61F-GN、-G3本形61F-GNR、-GR2本
形61F-G1N、-G16本 *1
4本 *2
形61F-G1NR、-G1R4本 *1
3本 *2
形61F-G2N、-G24本形61F-G2NR、-G2R3本
形61F-G3N、-G35本形61F-G3NR、-G3R4本
形61F-G4N、-G49本形61F-G4NR、-G4R7本

*1. ポンプの空転防止を兼ねた給水の自動運転を示します。
*2. 異常渇水警報を兼ねた給水の自動運転の場合を示します。

3線式

2線式に対して呼ばれます。
(形61Fの基本方式は3線式です)

動作抵抗

形61F本体が動作するために必要な電極間の抵抗値のことで、液体または固体の電極間抵抗値がこの値より低くなれば必ず動作します。

〔参考〕
この値が高いほど導通しにくい液体でも動作することができ、高感度になっていきます。

電極間抵抗

動作抵抗とほぼ同じです。動作抵抗は形61Fの入力(電極)から形61F本体まで配線があり、長距離の場合があるので、必ずしも同じではありませんが、一般的には同じと考えて問題ありません。

導電率(ジーメンス:S)

液体の導電度を表す単位。
マイクロジーメンス(μS)で表されます(古くはモー:)。
抵抗の逆数ですから、値が小さいほど抵抗が高くなり、高感度が必要になります。
 1μS/cm → 1MΩ・cm
 2μS/cm → 500kΩ・cm
 10μS/cm → 100kΩ・cm

自己保持

リレーが動作するとそれを記憶保持する機能を自己保持といいます。
形61F-GNの場合E2電極が自己保持用になります。
自己保持を持たせることにより制御の幅がとれ、また液面の波立ちによるリレーのバタツキを防止します。

接点容量(出力)

形61Fによる開閉可能な負荷容量。

復帰抵抗

形61F本体が復帰するために必要な電極間の抵抗値のことで、この値より高くなれば形61Fは復帰します。

〔参考〕
一般に液がなくなれば抵抗は無限大と思われますが、電極保持器やセパレータなどに液が付着したままになっているため、すぐには無限大にはなりません。
形61Fではこの値が重要なポイントになることが多く(配線の浮遊容量による漏れ電流も影響する)、低感度用、遠距離用はこのためにあります。

固有抵抗

液体の電流の流れにくさを示すもので、単位はkΩ・cm。
導電率と逆数の関係になります。(動作抵抗とは異なるので注意)

液体を介して電極棒間に無数のルートで電気が流れます。
この電気の流れにくさを表したものが固有抵抗です。
固有抵抗は電極の設置条件や浸水長によって変わるので、実際の機器の動作は電極の間隔や表面積(浸水長)によって定まってきます。電極間抵抗を求めるのは困難なので固有抵抗は目安となります。

動作電圧

形61Fを動作させるために必要な電源電圧のことをいいます。
形61Fの場合、定格電圧の85%以下です。従って電源電圧が85%以下にならないようにしなければなりません。

最小適用負荷

電子回路など、非常に小さな負荷(微小負荷)の開閉可能限界の目安を表示したものです。

接点構成

接点の接触機構をいいます。

〔参考〕

負荷

下記の3つに分けられます。

  1. 抵抗負荷
    ヒータなどのように電圧をかけると、ずっと同じ値の電流が流れる負荷をいいます。
  2. 誘導負荷
    モータ、ソレノイドなどのようにインダクタンスを含む負荷をいいます。
  3. 容量性負荷
    コンデンサなどリアクタンスを含む負荷をいいます。

〔参考〕
DC負荷の種類と突入電流

AC負荷の種類と突入電流

負荷の種類突入電流/定格電流波形
ソレノイド
約60倍
白熱電球
約10~15倍
モータ
約5~10倍
リレー
約2~3倍
抵抗負荷
――――

突入電流

接点を閉成した瞬間、または過渡的に定常状態よりも大きく流れる電流のことをいいます。

開閉頻度

単位時間当りの動作回数。単位時間は個別に示し、例えば回/hourというように示します。

動作

空転防止

ポンプで水を上げるときに、ビルやマンションなどの高層ビルでは、受水槽より高架水槽へ汲み上げられます。
その時、受水槽の水がなくなると、そのまま続けて運転するとエアーを吸い込んでモータが過熱し、焼損することがあります。これを防ぐために、水位が一定レベル以下になると、ポンプを強制停止させ、モータの焼損を防ぎます。形61F-G1N、-G1および形61F-G4N、-G4にこの機能があります。

交互運転

モータで水を汲み上げる時、ある程度の規模の所では、予備モータが準備されています。モータは使用されない場合、錆びたりして劣化することがあり、連続して使用している場合も熱の発生のために劣化します。
2つのモータを交互に使用することにより効果的にモータの寿命をのばし、1台が故障しても、もう1台だけで運転できます。(外部に切り換えスイッチ必要)この機能をさせるのが、形61F-AN、-APN2、-AOです。

先動作方式

形61F本体の制御電源印加と同時に内蔵リレーが動作し、電極間に電流が流れると復帰するタイプ。ただし、復帰後の動作および配線については順動作方式と同じです。

順動作方式

電極間に電流が流れることにより、内蔵リレーが動作するタイプ。

注. 高感度用以外は順動作方式を採用。ただし、形61F-G□NHは順動作。


最終更新日:2024年09月02日