お客様のニーズに応え続ける頭脳集団
株式会社ナム様(以下ナム)は1984年創業。変化するニーズと労働人口の減少を見据えて、培ってきた技術と最新のテクノロジーによりモノづくり現場を支える設計システムや各種省力機械装置を設計・製作されています。特に自動車関連部品の生産ラインや、農業・食品プラントなどの幅広い業界で実績をあげ、多くのメーカのニーズにお応えし続けています。
昨今では拡大するロボットニーズに対応するため、ロボットを活用した自動化システムの設計から立ち上げまでコーディネートされています。
課題
作業員を高負荷な作業から解放する、組立工程自動化と品質担保の実現
今回、ナムがユーザ様から受けたご相談は、組立作業を自動化することによる、省人化と生産品質の向上でした。
これまで、自動車部品の樹脂成形工程での組付け作業は、作業員2人で行われていました。成形機から排出された成形品を作業員がセットし、計10カ所に金属/樹脂クリップを装着。装着後は成形品を別の作業員が後工程へ搬送していました。成形機のサイクルタイムは約32秒で、人手作業でその速度に対応するのは困難であり、また手作業で金属/樹脂クリップを製品に装着をするため品質のばらつきや、装着ミスなどのリスクがありました。この高負荷な作業から作業員を解放すること、成形機のサイクルタイムに対応しつつミスを出さない、生産品質の担保が大きな課題でした。
解決策
2台の協調ロボットを組み合わせ、クリップ組付け工程を生産タクトを落とさずに自動化
計10カ所への金属/樹脂クリップの組付け作業を、2台の協調ロボットに並行して作業させることで、サイクルタイムに対応した自動化を実現しました。今回の自動化へのシステムに協調ロボットを採用したポイントは以下の3つがあります。
1. 標準搭載カメラによる位置補正が可能、設計・立上工数を低減
成形品へクリップを組付けの際、スムーズにロボットが挿入できるよう画像処理による位置補正が必要です。オムロンの協調ロボットTMシリーズでは標準搭載しているカメラで位置補正が可能なため、設計の負荷や立上工数を抑えられます。
2. 事前検証段階からオムロンがサポート
温度などによる形状変化が著しい樹脂素材の成形品に対して、金属/樹脂クリップをしっかり挿入できるよう、力加減や挿入角度などをユーザ様から事前にしっかりヒアリングを行い、ナムとオムロンの協働で事前デモテストを実行しました。その他全体の仕様やアプリケーションの内容を十分に考慮したうえでシステム構築をすすめることができました。
3. 品種変更や追加等にも柔軟に対応できる、ユーザフレンドリーなシステム
TMシリーズは直感的な操作が可能で、未経験者でも比較的簡単にプログラムを行えるため、システム導入後の品種変更や追加等にもエンドユーザ様でも柔軟に現場で対応できます。
成果
サイクルタイムを約36%向上。省人化・生産品質の向上を実現
協調ロボットを2台導入し、従来のサイクルタイム約50秒から32秒以内へ大幅に短縮し生産効率を向上させることができました。また、人手作業ではなくなるため、作業のばらつきリスクの解消により生産品質の向上にもつながりました。
お客様の声
生産品質向上と
サイクルタイム短縮を目指して
「今回、システム構築にあたり苦労した点は2つあります。
1つめは、成形品の温度変化への対応です。成形品は樹脂であるため、温度変化により強度・形状などが変化していきます。そのため、クリップを挿入する際の力加減や、挿入角度、挿入方法などを何度も繰り返すことで、ベストな答えを導き、温度変化にも対応することができました。
2つめは、成形機の生産サイクルタイムに間に合わなくてはいけないことです。元々、成形機のサイクルタイムが約32秒。作業員はその間に排出される成形品を定位置にセット、クリップ組付け、後工程への搬送などの作業を全て終わらせることが必須となっておりました。しかし、実際には約50秒程度かかってしまっており、ワークの滞留が問題になっていました。
元々、協調ロボット1台でシステム構築を行う予定でしたが、このサイクルタイムに間に合わせるため、協調ロボットを2台活用することにしました。2台同時にクリップ組付け作業を行わせることで問題とされていたサイクルタイム32秒以内を実現することができました。協調ロボットでの自動化により、今まで人手で行っていた作業をロボットと分担させることができ、お客様のご依頼であった、省人化や生産効率向上の目標を達成できたかなと思います」
今後広がるロボット活用に貢献
「ナムとは、「New Automation & Mechatronics Utility」という意味を持っています。新しいモノづくりのオートメーション化への貢献や、高度なメカトロニクス製品をニーズにお応えして提供しています。昨今、製造業におけるモノの作り方が急激に変わり、お客様からの要求が厳しくなってくる中、私達も様々な対応が必要になってきました。今後も労働人口減少にともない、ロボット活用は増えていきますし、ロボットを組み込んだオートメーションが普通な時代がくるでしょう。こういった変化に対応し、新しいことにチャレンジし、弊社としてもロボット活用事業に力をいれていきたいと思っていきます。
私たちは、協調ロボットや産業ロボットの導入を検討されているお客様に対し、それぞれのメリットやデメリットを踏まえて、事前テストや構想打ち合わせを丁寧に行い、常にお客様のニーズに応え安心して導入いだけるように対応していきたいと思っています。最近では、より多くのお客様と事業を進めていくため、SIer協会にも加入しました。今後もロボット事業の拡大を図っていきたいと思っています」