熟練検査員の感性と経験による“官能検査”を自動化。検査手法をAI技術で再現しました。
情報更新 : 2024/03/01
熟練検査員の感性と経験による“官能検査”を自動化。検査手法をAI技術で再現しました。
【課題】熟練検査員の経験への依存
官能検査では、良品状態の許容も求められます。
良品状態の判断基準は熟練検査員のノウハウに依存することから、従来のFA用画像処理システムで定義することが難しく、設定調整作業が永遠に終わらない等、自動化の課題となっていました。
「AIファインマッチング」が、良品状態の画像データを学習することで、検査員が長い年月をかけて獲得する「検査に関する技術やノウハウ」を短期間で獲得。熟練検査員同等の検査能力を再現できる上、自動化によりコストが抑えられ、生産性も高まります。
良品ばらつきを学習し、学習した範囲からはずれた特徴を欠陥として抽出します。
AIファインマッチングとは、「良品には含まれない特徴」のみを不良箇所として検出する欠陥抽出処理です。
ばらつきが発生する良品画像を学習させることで、AIモデルを生成。AI が検査のたびに「良品と推定されるモデル」を良品復元画像として生成します。
良品復元画像と撮影画像の差分のみを欠陥として抽出することで過検出を抑制します。
AIの使いこなしノウハウを詰めこんだ設定画面を使って、3ステップ操作で設定を完了することできます。
最小の画像枚数で設定できるようにAIが良品学習プロセスを提案してくれます。
*1. 「特許出願中/特許取得済」の表記は、日本で特許出願中または特許取得済であることを示しています。(2022年5月現在)
人の感性に依存していた“官能検査”を自動化。傷の目視検査手法をAI技術で再現しました。
【課題】人の感性への依存
欠陥の発見は人の感性に依存しており、定義することが困難で、自動化の課題となっていました。
検査員がノウハウとして持つ「背景上の違和感を欠陥とする見方」をAIで技術化し画像フィルタとして搭載しました。機械に判断させることが困難だった、新たな品種や未知の傷、複雑な背景に対しても、傷のサンプルや調整なしで「傷や欠陥」を検出できます。
*1. AIキズ抽出フィルタのご使用には、別売りの「キズ抽出AIソフトインストーラ(FH-UMAI1)」が必要です。
「人が傷と感じる画像の特徴」をあらかじめ学習させた画像処理フィルタです。従来手法では自動化の障壁となっていた「予測できないサイズ・形・色」等の傷の定義をしなくても、AIが傷の特徴を判断し抽出します。
学習データには、オムロンがこれまでの蓄積した画像も含まれており、加工面の上にある欠陥など、従来手法では判別しにくかった不定背景上の欠陥も検出が可能です。
事例動画公開中
www.fa.omron.co.jp/fh_ai
・色ムラや部品寸法公差によるばらつきが発生。
・複雑形状のため、欠陥がどこに発生するかわからない。
・形状に沿った検査領域の設定やパラメータの調整が大変。
品種数が膨大で調整に時間がかかる。
・良品の色ムラや寸法ばらつきを学習し安定検出。
・複雑形状の部品の中から欠陥のみを抽出。
・検査領域は全体を囲むように設定するだけ。
形状違いの品種が多数あっても短時間で設定完了。
印字の濃度・太さ・位置のばらつきは許容し、文字欠けなどの欠陥のみ抽出。
検査領域はラベル全体に設定。
寸法の微小差を許容し、複雑形状の部品の中から欠陥のみ抽出。
検査領域は部品表面全体に設定。
形状違いの品種が多数あっても効率よく良品を学習し、複雑形状の中から欠陥のみを抽出する条件を短時間で設定完了。
検査領域は成形品の外形に合わせて設定。
・低コントラストの欠陥を検出するために複数のフィルタ・パラメータを組み合わせて調整している。
・低コントラストの欠陥を抽出できない。
・傷の定義が必要だった次のようなさまざまな材質・色・サイズの傷を、調整なしで安定抽出。
AI導入のためのハイペックなハードウェアも、それぞれの現場環境に合わせたシステムに仕上げるためのAIエンジニアも不要です。生産現場での使用実績を多数持つ汎用画像処理システムでAIを簡単に導入できます。
ハイスペックな環境を必要とするAIを軽量化し、すでに検査市場での導入実績が多数あるFHシリーズハードウェアに処理項目として搭載しました。
ワークステーションレベルのハードウェアの準備が必要なAI検査技術では、現場への大量導入ができません。FHシリーズなら専用のハードウェアは不要なので、簡単に導入可能です。
AI技術を自社の工程で安定稼働させる形に調整するには、画像処理スキルに加え、プログラミング、メンテナンスが必要となりますが、FHシリーズはもちろん、一般的な画像センサと同じ操作感覚でAI 技術を使用できます。AIのエンジニアは不要です。
*1. コントローラFH-555□シリーズとFH-3050シリーズを比較した場合です。
官能検査に適した画像を、高精細に、そして高速に撮影できる高解像度カメラをラインアップしています。
人の目に迫る高精細な画像撮影と検査処理速度はトレードオフの関係にあります。オムロンでは、新たなCMOS撮像素子の採用とデュアル画像転送により高解像度画像と高速画像転送を両立しました。複数カメラを設置したりカメラを移動させる機構をつけるようなアプリケーションを、簡単に実現することができます。
人が光の当て方を変えるように、さまざまな照射色・角度を組み合わせて、多様なワークの欠陥に最適な照明に調整できます。設備導入後、品種や検査項目が追加されても、新たな照明の追加や置換えをせずに照射パターンの変更で対応できます。照射パターンは設定データとして登録可能で、生産ラインの複製も簡単に行えます。
多段撮像機能では、撮影と計測処理を並列に実行することができ、FHシリーズの特徴であるマルチコアによる高速化を最大限に活用した「横長ワーク」を高速に撮影できます。
「カメラ画像入力HDR」は周辺環境の変化に強い最適なHDR画像の生成をサポートします。最適に撮影したい場所を画像から指定するだけで、シャッタースピードを自動的に調整しながら画像を撮影・合成し、最適なHDR画像を生成できます。
1台の画像センサのコントローラで、異なる箇所の検査をそれぞれのタイミングで検査できるので、工程毎に設置していたコントローラを集約でき、導入コストと設置スペースを削減できます。
ラインごとに設置していたコントローラを1台に集約でき、導入コストと設置スペースを削減できます。
1台のコントローラに4台のカメラを接続し、最大4面の打痕や傷を同時に検査できます。
撮影環境・ロット・ワーク材質などの変化による見え方の変化にかかわらず、高精度かつロバストな位置決めが可能です。
高解像度の2040万画素カメラでも最速12ms*2、アライメント用途で使用率の高い500万画素なら最速2msで位置決め用のマークをサーチします。
不完全な円形状であっても的確に円を認識します。
ワーク個体差や外乱によりエッジ抽出が不安定でも、的確に直線部を推定します。
一般的なUVWステージに加え、近年トレンドの単軸+θ軸の組み合わせに対応。製造機械の搬送軸と位置合わせに用いる軸を共通化して使用することで、さらなる機械のシンプル化に貢献します。
各社ロボットメーカ向けに準備したロボット接続用の通信プログラムと、ロボットアプリケーション用に必要なFHのフローメニューを無償で提供しています。ロボットビジョンのアプリケーションの立ち上げ工数を、大幅に削減できます。
FHシリーズの内部で、個体IDに検査画像や検査結果を紐づけて上位機器へ出力できます。
「見たい検査画像がすぐには見つからない」「NGの原因を特定するのに時間がかかる」などの課題を解決できます。
不良発生原因の分析に役立つ検査画像はファイルサイズが大きく、これまでは保存時間や保存容量の制約により全数保存は難しい状況でした。
高速・大容量コントローラではUSB3.0と画像データを高速圧縮するアルゴリズムを改善することで、品質管理などでニーズの高まる全数保存を実現します。
下記時間は次の条件における参考値であり、保証値ではありません。
・コントローラ FH-5□5□
・画像 500万画素モノクロ
・JPEG圧縮後のファイルサイズ 0.6MB
周囲の明るさが安定しない場合や、加工/洗浄工程後など、読取り環境が悪い場合でも、安定して2次元コードを読み取れる専用アルゴリズムを搭載しています。悪環境でも高速に読み取れます。
対象物やプリンタによっては印字された文字の間隔が近接していたり、文字列が湾曲している場合がありますが、安定して読取ることが可能です。また、食品表示法の新しい製造所固有記号制度や“+”文字、新元号の文字照合にも対応しました。
自由に辞書を構築することで、特殊フォントや英数字以外の文字をパターンサーチベースで読取れます。
センサをはじめ、シーケンス、モーション、ドライブ、ロボティクス、セーフティ、HMI、情報処理を1つのプロジェクトに統合した開発環境が、操作の習得にかかる時間や機器のセットアップ時間を削減します。
EtherCAT®でマシンオートメーションコントローラNJ/NXシリーズや、ACサーボシステム1S/G5シリーズとつなぐことで、位置検出から軸起動までの高速制御が可能になります。
設計・設定、運転までのすべてのフェーズに必要な画面をプリインストール。
計算や入力の手間がかかる変数管理も、処理項目の選択や順序定義を行うだけで設定できます。
「複数のシーン」の共通項を一括設定できるため、検査フローがシンプルになり設定ミスが削減。変更し忘れも防止できます。
同一商品が整列している場合、同一画像で領域を動かして同じ計測を繰り返し行えるため、短時間で設定できます。
生産現場の運用に必要な情報のみを画面表示して、現場オペレータが使いやすいインターフェイスを提供できます。
画面レイアウトはプログラミング不要、項目を選んで配置するだけの簡単操作で完了します。
情報更新 : 2024/03/01