前述「世界最小サイズへの道のり」で世界最小を実現するカギは
3つの技術であるとご紹介しました。今回はその技術について詳しくご説明します。
図のように、パワーサプライは製品の大部分がパワー半導体とコイルです。
パワー半導体を使って電力を高周波でスイッチング(ON/OFF)させ、電力変換(AC/DC)を行いますが、その際に発生するスイッチング損失が、熱になってしまいます。
これを最小限にすること、つまり変換効率を高めることが、小型化にとって最も効果があると言えます。
変換効率を高めるため、S8VK-Sではソフトスイッチング方式を導入しました。従来のハードスイッチング方式に比べ、回路が複雑になり部品点数も増えますが、これによりスイッチング損失による発熱を大幅に抑制することができるようになりました。
スイッチング・パワーサプライは、内部で半導体をスイッチングして電力の変換を行うため、そのノイズをできるだけ外へ出さないようにする必要があります。そこで、ノイズフィルタを内蔵することが多いですが、ノイズフィルタに大きな部品または多くの部品を使うと、製品が大きくなってしまうため、ノイズを除去しつつ、小さくかつ少ない部品で実現することが必要です。
現在は電子回路から発生するノイズをシミュレーションできるツールがあり、実際に製品を作らなくてもノイズレベルを評価することができます。しかし、難しいのは製品にマッチしたシミュレーションができるようにモデル化することです。当社には、過去に様々な製品でノイズの問題に取り組んできた資産があるため、パワーサプライに最適化したシミュレーションモデルを構築することができました。
このシミュレーションにより、ノイズフィルタに必要な容積を大幅に減らすなど、ノイズ対策部品を削減することができました。
パワー半導体やコイルが発した熱は、他の部品にも影響を与えることがあります。特に電解コンデンサは温度が高くなるほど寿命が短くなる特性があるため、製品の寿命にも大きな影響を与えます。
よって、どれだけ効率的に放熱できるかということも、小型化のカギになります。
熱についてもシミュレーション技術を確立しています。これにより1mm単位での配置や形状の検討が可能になり、放熱に最適な形状を決定することができます。
ほとんどの産業用の装置・機械またはシステムには電気回路が搭載されており、そこには必ずパワーサプライがあります。よって、パワーサプライの小型化は装置の小型化の重要な要素の1つでありつづけます。
今後も世界最小サイズが実現できる技術をさらに磨いていくことで、お客様の小型化課題に貢献できる製品を開発しつづけます。
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