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インバータ 参考資料


インバータは、誘導モータの電源の周波数を自在に変化させることで、誘導モータの回転速度を制御する機器です。ここではインバータの概要を解説します。

概要用語解説
参考資料 

関連情報


モータ容量の選定

インバータを選定する前に、まずモータの選定を行います。アプリケーションに合せて負荷イナーシャを計算し、モータに必要な容量、必要なトルクを計算して選定します。

簡易選定方法(所要出力計算法)

この計算方法は、定常回転状態にモータが必要な出力(W)を計算して、モータを選定します。加減速状態などの過度計算が含まれませんので、モータを選定する場合には、計算値に余裕度を持たせてください。ファン、コンベアや攪拌器のような一定状態が続くアプリケーションなどの簡易選定が行えます。

※下記のようなアプリケーションには適しません。
 ・ 急激な立上がりが必要
 ・ 頻繁に運転/停止を繰返す
 ・ 動力伝達部の慣性が大きい
 ・ 動力伝達部の効率が低い

直線運動の場合: 定常パワーPo[kW]

回転運動の場合:定常パワーPo[kW]

詳細選定方法(R.M.S計算法)

アプリケーションの動作パターンを実現させるための、実効トルクと最大トルクを計算し、モータを選定する方法です。動作パターンにあった詳細なモータ選定が行えます。

モータ軸換算のイナーシャを計算

以下に示すようなイナーシャの計算式を使って、すべてのパーツのイナーシャを計算し、モータ軸換算イナーシャに換算します。

モータ軸換算のトルクと実効トルクの計算

計算したモータ軸換算負荷イナーシャとモータロータイナーシャで加速トルクを、負荷に加わる外力と摩擦力から負荷トルクを計算し、モータが動作するために必要な合成トルクを計算します。

  • 加速トルク
  • モータ軸換算負荷トルク(外力・摩擦)
  • 合成トルクと実効トルクの計算

注. サーボモータのモータ選定ソフトを利用して、上記のモータ軸換算イナーシャの計算や実効トルク・最大トルクの計算を行えます。ご利用ください。

モータの選定

上記までの計算結果から下記の計算式を使用し、実効トルクと最大トルクからモータ容量を計算します。
この2つの計算された容量の大きい方をモータ容量として選定してください。
モータを選定する場合は、計算された容量より高く、誤差分の容量に対する余裕度を持たせて設定してください。

  • 実効トルクに相当するモータ容量
    モータ容量[kW]=1.048・N・TRMS・10-4
    N:最大回転数(r/min)
  • 最大トルクを供給できるモータ容量
    モータ容量[kW]=1.048・N・TMAX・10-4/1.5
    N:最大回転数(r/min)
インバータ容量の選定

“モータの選定”の結果で選定されたモータが使用できるインバータを選定します。
基本的には、選定されたモータ容量にあった最大適用モータ容量のインバータを選定ください。
インバータ選定後、下記の項目が満足することを確認して、満足しない項目がある場合は1クラス大きな容量のインバータを選定して、再度確認してください。

モータ定格電流≦インバータ定格出力電流
アプリケーション上の連続最大トルク出力時間≦1分間

注1. インバータ過負荷耐量が“定格出力電流の120%、1分間”の場合は0.8分間で確認ください。
 2. 0Hz 域センサレスベクトル制御を使用する場合や回転数0(r/min)で保持トルクが必要な場合で定格150%以上のトルクが頻繁に必要な場合はインバータ選定結果より1ランク大きなインバータをご使用ください。

制動抵抗選定の概要

制動抵抗の必要性

アプリケーション上減速時や降下時で発生する回生エネルギーが大きすぎると、インバータ内部の主回路電圧が上昇して破損する可能性が発生します。
通常インバータは、過電圧LADストップ機能を内蔵していますので、過電圧ストップを検出して停止し、破損には至りません。
しかし、異常を検出してモータが停止しますので、安定した継続運転が困難になります。
制動抵抗器/回生制動ユニットを使用して、この回生エネルギーをインバータの外部へ放出する必要があります。

回生エネルギーとは

モータに接続された負荷は、回転している場合は運転エネルギーを、高い位置にある場合は位置エネルギーを持っています。モータが減速する、または負荷が降下する時にはインバータにそのエネルギーが返ってきます。この現象を回生と呼び、そのエネルギーを回生エネルギーと呼んでいます。

制動抵抗の回避方法

制動抵抗の接続を回避する方法には以下のような方法があります。
回避方法は、必ず減速時間が増加しますので、減速時間が延びても問題ないことを検討してください。

  • 減速時ストール防止機能を有効にする。(出荷時設定で有効としています。)(過電圧ストップが発生しないように、自動的に減速時間を増加させます。)
  • 減速時間を長めに設定する。(単位時間当たりの回生エネルギー量が減少します。)
  • フリーラン停止を選択する。(回生エネルギーがインバータに帰還しなくなります。)

制動抵抗の簡易選定

通常の動作パターンの中で回生エネルギーが発生する時間比率から、簡単に設定する方法です。下記のように動作パターンから使用率を計算してください。

制動抵抗の詳細選定

上記の制動抵抗の簡易選定で使用率10%EDを超える場合、または、非常に大きな制動トルクが必要になる場合は、下記の選定方法で回生エネルギーを計算して選定する方法で選定してください。

必要な制動抵抗値の計算

注. 制動トルクの算出はインバータ容量の選定に記載していますモータ容量の選定から計算してください。

平均回生エネルギーの計算

回生エネルギーは、モータ回転方向とトルクの方向が逆になったときに発生します。
1サイクル各区間の回生エネルギーを以下の式で計算してください。

注1. 速度は正回転方向を正、トルクは正回転方向のトルクを正で示しています。
 2. 制動トルクの算出はインバータ容量の選定に記載しているモータ容量の選定から計算してください。

制動抵抗器の選定

上記の必要な制動抵抗値と平均回生エネルギーから制動抵抗器を選定してください。

  • 必要な制動抵抗値≧制動抵抗器の抵抗値≧インバータまたは回生制動ユニットの最小接続抵抗値
  • 平均回生エネルギー≦制動抵抗器の許容電力

注1. インバータまたは回生制動ユニットの最小接続抵抗値以下の抵抗を接続すると、内部の制動トランジスタが破損します。必要な制動抵抗値が最小接続抵抗値以下になった場合は、インバータの容量を大きくし、必要な制動抵抗値以下の最小接続抵抗値を持ったインバータまたは回生制動ユニットに変更してください。
 2. 回生制動ユニットの場合は、2台以上の並列運転が可能です。2台以上で稼働する場合の制動抵抗値は、以下の式になります。
   制動抵抗値(Ω)=(上記で計算された必要な制動抵抗値)×(使用台数)
 3. 制動抵抗値は上記計算の結果で選定しないでください。150Wの表示は許容電力ではなく、抵抗単位の最大定格電力です。実際の許容電力は抵抗毎に異なります。


最終更新日:2024年09月02日