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低圧開閉器 参考資料


低電圧配電および電動機制御などにおいて、始動・停止および過負荷保護(焼損保護)を行う開閉器です。ここでは低圧開閉器の参考資料を示します。

概要用語解説
参考資料 

関連情報


電磁接触器のよくある質問集

電磁接触器の定格に書いてあるAC-3、AC-1とは何か?

電磁接触器の試験条件です。これをもとに電磁接触器の適正な負荷、寿命などの参考にします。
ちなみにAC-3は電動機(モータ)の負荷、AC-1は抵抗(ヒータ)の負荷を想定した負荷条件です。

リレーを海外で使用したい。コイル定格電圧がAC380Vや400Vなどの一般リレーはあるか?

補助継電器(形J7KCA)が、電磁接触器(形J7KC)同様、コイル定格電圧AC550V、DC220までご使用頂けます。

ミラーコンタクトとリンクドコンタクトとの違いは?

ミラーコンタクトは、a接点である主回路の接点が溶着した場合、コイルの励磁を切っても、補助回路のb接点が開路状態であるのに対し、リンクドコンタクトはこれに加え、逆にb接点が溶着した場合に、コイルを励磁してもa接点が開路状態になる機構です。
電磁接触器形J7KCはIEC60947-4-1附属書Fのミラーコンタクトに、補助継電器形J7KCAはIEC60947-5-1附属書Lのリンクドコンタクトにそれぞれ適合しています。

安全カテゴリB~4の構築において、形J7KCはどこまで対応できるのか?

形J7KC 2台を直列接続して使用することで、安全カテゴリ4まで対応できます。
以下にセーフティリレーユニット形G9SA-301と組み合わせて構成した例を示します。

パワーリレー形G7Zとコンタクタ(電磁接触器)形J7KCとの違いは?

アプリケーションの違いとなります。形J7KCはモータ用途を想定しており、100万回以上の電気的寿命があります。一方、形G7Zは開閉頻度の少ない用途(何かあった場合の遮断)を想定しており、寿命は8万回となっています。

形J7KCは実質的にどのモータ容量まで適用可能なのか?

AC-3(三相かご形モータ)負荷で、日本では2.2kW(AC200-240V)まで、欧州では5.5kW(AC380-440V)までです。
単体で規定の取り付け間隔(両サイドとも10mm)以上空ければ、周囲温度-10~55℃(但し、1日24時間の平均温度は35℃を超えないこと)でディレーティングの必要はありません。なお、密着させた場合は、使用電流を9A以下にする必要があります。

AC-3負荷での使用電圧AC200-240Vにおける定格容量がJISでは2.2kWであるのに対し、IECでは3kWと異なるのはなぜか?

JISでは過去からの規格の流れを踏襲しており、IECとは試験条件や基準が異なるためです。

AC-1、AC-3、AC-4、AC-15(DCも同様)とあるが、それぞれ何を示すのか?
主回路はAC-1/AC-3、補助回路はAC-15、AC-12などと記載されているがなぜか?

使用負荷種別を示し、それぞれの適用例は次のとおりです。
AC-1 (交流) 抵抗負荷の開閉
AC-3 (交流) かご形モータの始動、運転中の停止
AC-4 (交流) かご形モータの始動、ブラッキング*1、インチング*2
DC-1 (直流) 抵抗負荷の開閉
DC-3 (直流) 分巻きモータの始動、ブラッキング*1 、インチング*2
DC-5 (直流) 直巻きモータの始動、ブラッキング*1、インチング*2

*1. ブラッキングとはモータを急激に逆転切り換えし、回転を抑えるまたは逆転させることをいいます。
*2. インチングとはモータのチョイ回しを頻繁に行うことをいいます。

補助回路は主に制御に使用するもので、AC-15、AC-12などは制御用スイッチ素子に関する使用負荷種別を示します。

補助接点でヒータを開閉したいが、何Aまで適用可能か?

誘導成分にもよりますが、使用電圧に応じてつぎのとおりです。誘導成分が大きいときは軽減する必要があります。また、いずれも閉路および遮断時の電流は30A以下であることが必要です。
 AC100-120V/AC200-240V:3~6Aまで
 DC24V:2~3Aまで
 DC48V:1~2Aまで

補助接点の定格コードA600やQ300とは何のことか?

接点定格で、アルファベットは定格電流、数字は定格電圧を示します。
A600は交流接点定格10A 600V、Q300は直流接点定格2.5A 300Vを意味します。
 (交流定格の場合A:10A、B:5A、C:2.5A、D:1A)
 (直流定格の場合N:10A、P:5A、Q:2.5A、R:1A)

サーマルリレーのよくある質問集

サーマルリレーの使い方は?

サーマルリレー形J7TCは電磁接触器形J7KCとセットで使用し、モータの過負荷保護を行うものです。過負荷電流が流れるとサーマルリレー内のバイメタルが動作し、補助接点(b接点)を開き、その(サーマルリレーからの)信号を用いて電磁接触器の動作を停止させます。

同様の過電流から保護する、ブレーカとの違いは何か?

基本的にサーマルリレーは電動機(モータ)を保護するものです。従ってモータを使用しない設備には基本的に使用しません。
しかし、電路に数千アンペアを越える短絡電流が流れた場合はサーマルリレーも焼損してしまうため、サーマルリレーも含め電路全体をブレーカによって保護します。

サーマルリレーによる過電流対策のトリップ電流はどのように選定するのか?

モータの全負荷電流(定格電流)が整定電流範囲内に入るサーマルリレーを選定し、調整ダイヤルをモータの全負荷電流(定格電流)値に合わせます。モータ容量に対するサーマルリレーの選定例を下表に示します。

注.三相モータの全負荷電流値は参考値です。適用に際しては、使用する電動機の全負荷電流をご確認ください。

モータは起動時に定常運転時の6倍もの電流が流れるとのことだが、サーマルリレーやMMSは誤動作しないのか?

モータの保護を目的とするサーマルリレーやMMS はモータ起動時の電流によって過電流保護が働かないよう起動開始後数秒から数十秒の間はモータが焼損せずに使用できる範囲内でこの電流を検出しないような動作特性となっています。
(「概要」の電動機始動電流とサーマルリレー動作特性のグラフを参照ください。)

サーマルの欠相はどのように検出するのか?

各相に挿入されたバイメタルという金属片が電流による熱によって曲がり、この動きをシフターに伝えて接点動作させるしくみになっていますが、欠相した場合、2相のバイメタルには電流が流れて曲がりますが、1相だけは電流が流れず曲がりません。この差を検出して接点部に伝えることで動作するしくみになっています。

サーマルリレーの1E、2E、3Eの違いは?
MMSはどれに相当するか?

検知する要素の違いで、各要素は次のとおりです。
 1E:過負荷
 2E:過負荷、欠相
 3E:過負荷、欠相、逆相
MMS 形J7MCは2Eに相当します。

サーマルリレーと電磁接触器の推奨接続方法は?

下図のとおり、サーマルリレーのb接点を電磁接触器の操作コイルと直列に接続します。

マニュアルモータスタータのよくある質問集

MMSはどこに使用するのか?

各種工作機械や機械装置の電動機分岐回路で使用され、過負荷・欠相・短絡保護に最適です。

MMSを使用した場合のスペースメリットは?

配線用遮断器と電磁接触器およびサーマルリレーを組合わせる従来の構成に対して、MMSは50%以下と大幅に占有面積低減が可能です。

配線用遮断器(ブレーカ)との違いは?

過負荷、短絡保護の基本機能はブレーカと同等ですが、
①小形で高遮断容量
②熱動式バイメタル引外し機構と差動増幅リンク機構により三相電動機の過負荷・欠相保護が可能
③AC-3による開閉性能を有す
といった点でブレーカと大きく異なります。

MMSの耐久性は?

機械的・電気的耐久性とも10万回です。

動作特性上相当するサーマルリレーは?

MMSの三相過負荷特性は当社サーマルリレー形J7TCの動作特性に相当します。

MMSのハンドルの種類の違いは?

形J7MC-3Pはロッカータイプの標準形で、形J7MC-3Rは操作・表示の視認性を向上したロータリータイプの高機能形です。

MMSの付属品は?

補助接点ユニット(形J73MC-W)と警報接点ユニット(形J73MC-K)があります。
組み合わせは、次のとおりです。

単相電動機への適用は?

単相電動機に適用する場合には、下図Cのように三相に通電できるように接続してください。全相に通電しないと動作電流が低くなり正常に動作しません。A、Bのように2相のみ接続した場合、IEC規格で定められている通り、欠相機能が働き5%低い電流で動作します。
したがって、可調整ダイヤルで設定値を5%高くすることで、通常の動作範囲にすることもできます。(表1参照)
なお、通常のブレーカと同様に、負荷をブレーカ定格電流の80%以下で使用する場合は、補正の必要はありません。

MMSと電磁接触器の保護協調の対応は?

MMSと電磁接触器形J7KCの組み合せにより、タイプ1とタイプ2を満足することが可能です。
(タイプ1、タイプ2については「用語解説」のマニュアルモータスタータの用語解説を参照してください)

テストトリップの使い方は?

シーケンスチェックのときに機械的にトリップできます。ハンドルON状態で、テストトリップのレバーを左側に押すことでMMSをトリップ状態にできます。シーケンスチェック終了後、安全を確認した上で、リセット操作を行い、ご使用ください。

海外規格対応は?

対応している海外規格は次のとおりです。
認定規格:IEC 60947-2、IEC 60947-5-1、UL60947-4-1、CSA 22.2 No.60947-4-1、
     GB/T 14048.2(CCC)、GB/T 14048.5-1(CCC)
適合規格:IEC 60947-4-1、GB/T 14048.4(CCC)

製品へのマーキングは?

本体正面には、形式や定格電流設定範囲と瞬時引外し電流値のほかに、電気用品安全法にもとづいた(PS)E マークを表示しています。本体左側面はIECの定格表示や電動機適用を示すAC-3表示および、Icu、Ics の遮断電流値や接続電線サイズを、右側面はULの定格を表示しています。付属品には、上面に回路図、側面には回路図、定格仕様、接続電線サイズを表示しています。

IEC 60947-3適合は?

IEC 60947-3は断路器の規格で、MMS は対象外です。ただし、IEC 60947のアイソレーションに適合していますので、IEC 60204-1の「電源断路機器として」適用可能です。

端子部の保護構造は?

形J7MCはIEC 60529で定める試験指が端子(挿入)穴とリリースホール両方ともで、通電部に接触しない保護構造IP20(フィンガープロテクション)を確保しています。

アイソレーション適合の意味は?

本体主接点が閉じている場合、ハンドルは①OFF表示しない②同時にOFFロックできないという要求事項に対応した機械の電気装置規格IEC 60204-1の「電源断路機器」を満足する構造を意味します。

MMSとコンタクタ(電磁接触器)を一体化したコンビネーションスタータの品揃えはあるのか?

コンビネーションスタータは一体化すると高さ方向(ダクト間)が長くなり、他の商品を制御盤に搭載する際、スペース効率が悪くなります。そのため、オムロンの低圧開閉器には一体化したコンビネーションスタータはラインアップしていません。
よって、コンビネーションスタータが必要な場合は、電磁接触器とMMSを制御盤上で組み合わせて構成してください。

MMSの過電流によるトリップ仕様と短絡電流はどこを見ればよいか?

過電流のトリップ仕様は、定格電流Inおよび電流設定範囲/定格使用電流Ieを参照してください。定格使用電流Ieは可変調整ダイヤルで設定します。短絡電流が流れたときに瞬時に遮断できる電流については瞬時引外し電流を参照ください。
短絡電流に対する実力については定格遮断容量(定格限界遮断容量Icuおよび定格使用遮断容量Ics)を参照してください。

MMS遮断性能のIcuとIcsは何が違うのか?遮断責務とは何か?

いずれも遮断できる短絡電流の容量ですが、Icsは1度遮断した後でも連続して使用できる容量(ただし、2回目の遮断後は交換が必要)であるのに対し、Icuは安全に遮断できる容量(遮断後は通電もできず、交換が必要)です。遮断責務は短絡事故を想定した試験で動作しなければならない条件です。
Icuで要求される動作条件は、接点ONの状態で負荷回路を短絡して遮断機能を働かせて電流を遮断(O責務)した後、数分後に接点ONして直後に遮断機能を働かせて電流を遮断(CO責務)するものです。
Icsでの動作条件はIcuの条件で接点ONして直後に遮断機能を働かせて電流を遮断する動作を2回繰り返すものです。

Ics=100%Icu(Icu=100kA)は何を意味するのか?

Icu=100kAの時のIcsはIcuと同じ値であることを示しています。

MMSのマニュアルスイッチで繰り返し遮断できる電流最大値は?

定格電流仕様ごとに規定している瞬時引外し電流が最大となります。

モータ容量に対して、MMSの仕様はどのように選定するのか?

モータの全負荷電流(定格電流)が設定電流範囲内に入る定格電流仕様のMMSを選定し、可変調整ダイヤルをモータの全負荷電流(定格電流)値に合わせます。
モータ容量に対するMMSの選定例を下表に示します。

注.三相モータの全負荷電流値は参考値です。適用に際しては、使用する電動機の全負荷電流をご確認ください。

MMSはインバータに使用できるか?

インバータへの使用は可能です。ただし、以下の注意事項を守ってください。

インバータの電源側に設置する場合

インバータの入力側にMMSを設置する場合(図1)、インバータの高調波による影響を受けるため、インバータの定格電流より若干大きな定格電流のMMSをお選びください。高調波による影響はインバータからの電線の長さにより変化しますので実機確認が必要です。

選定の考え方(例)
①インバータの入力電流ⅠINVの1.4倍以上にMMSの定格電流がなるように選定ください。
注.インバータの直流リアクトル(DCR)あり・なしにより、入力電流ⅠINVが変わることにご注意ください。
②電線保護を目的に電線の熱特性以下にMMSの動作特性があることを確認ください。

※ミストリップする場合の対策
・可調整ダイヤルを時計方向に回転させ、整定電流を上げる。

インバータの負荷側に設置する場合

インバータの出力側にMMSを設置する場合(図2)、インバータの高調波や高周波による影響を受けます。
これらは、インバータからの電線の長さやキャリヤ周波数によって異なります。(MMSはサーマルリレーと同様にバイメタルによる熱動引外し方式でトリップしますので、周波数が高いほど動作は早くなります。)したがって、MMSを選定する場合、設置する場所での電流値を実機測定の上、選定ください。その際、測定器は、熱電計測器をご使用ください。

選定の考え方(例)
①MMSを設置する場所で熱電形計測器による実機電流測定を行い、MMSの定格電流を選定ください。
②モータの熱特性以下であることを確認ください。

※ミストリップする場合の対策
・インバータの負荷側に出力回路用パワーフィルタを取付ける。
・可調整ダイヤルを時計方向に回転させ、整定電流を上げる。
・インバータからの配線が遠い位置(モータの近く)に設置する。
・キャリヤ周波数を下げる。ただしモータの騒音が増加する傾向になります。
・モータ保護を確実に行う手段として、温度検出素子をモータ巻線に埋め込み、直接巻き線温度を検出して行う方法を推奨します。

共通のよくある質問集

IP20とあるが、耐油性などについてはどうか?皮脂などついても大丈夫か?

耐油性ではありません。切削油がかかるような環境では使用しないでください。皮脂については問題ありません。

標高2000m以上で使用するとどうなるか?

空気が薄くなることで、絶縁耐力が低下しますので、動作保証はしていません。

メッキ以外の撚線を使用するとどうなるか?また、インシュレーションストップを使用しなかったらどうなるか?
1mm2以下のすべての線にインシュレーションストップが必須では使えない。今後開発する予定はあるのか?

メッキ以外の撚線を使用した場合は、電線と端子台との間で接触抵抗が大きくなり、通電時に異常発熱する可能性がありますので、使用できません。
インシュレーションストップを使用しなかった場合は、接触不良により通電時に異常発熱したり、電線が抜けやすくなる可能性があります。
今後の開発予定はありません。インシュレーションストップを使用したくない場合は、1mm2より太い電線を使用願います。

モータ(三相誘導電動機)はどのように故障するのか?

故障の大半は固定子コイルと軸受(ベアリング)の故障です。
モータの軸に繋がっている機器、装置の劣化・故障によって、モータにかかる負荷が重くなって、最悪の場合は、軸を拘束します。このような状態では、モータのコイルに定格電流を超える過電流が流れており異常発熱しますが、長い時間続くと焼損に至ります。


最終更新日:2024年03月01日