課題
検査員の感性に依存した目視検査の自動化
製品の環境規制対応や高品質化への要求から、厳密な全数検査を求める声が高まっています。しかし、生産工程に組み込まれている目視検査は、検査員の豊富な経験に裏打ちされた感性や視点に基づく属人的スキルに頼って行われるため、検査精度の安定化や効率化が困難でした。
一方、近年の熟練検査員の退職による検査員不足に対し、非熟練者を熟練者と同等精度の判定ができるまでに教育するには多大な時間が必要となります。加えて、自然災害など非常事態時の欠員によるスループット低下の予防や、感染症対策として作業員の密集をなくすための方策も求められています。
こうした背景から、目視検査の自動化が求められていますが、検査で見つける不良の形態は、傷、形状異常、質感のムラなど多様です。このため、従来技術では、対象画像を数千枚レベル使って“傷とは何か”を定義・学習させる必要があり、安定検出の難易度は高く、歩留まりの低さから自動化が困難な状況です。
解決策
熟練検査員の勘と経験をAIで再現
AI・IoT技術を活用し、熟練検査員の技を機械に取り込むことにより、これまで各検査員の感性に依存していた目視検査の自動化を実現します。オムロンは目視検査の自動化にあたり、熟練検査員の検査手法に着目し、以下の2つの観点にAIを活用して課題を解決します。
人間のように、欠陥とは何かを熟知
従来の画像センサは欠陥を定義する必要があり、その定義によって大きく性能が変わってしまうことや検出できない場合がありました。
それが、AIにより傷などの欠陥を“欠陥”として認識することが可能になります。人のように欠陥を認識できることで、立上げ難易度・検査品質のバラつきを低減します。
熟練検査員のように良品バラつきを許容
AIを活用することで、熟練検査員のように良品・不良品判定に幅を持たせることが容易になります。良品状態のバラつきを許容し、過検出を防ぎ不良箇所のみを安定的に抽出できます。
オムロンだからできること
AI学習不要で良否判定、安定した検査品質を実現
AIを謳うものの多くは、まだまだ従来の画像処理における検査アルゴリズムの開発や組み合わせの検討プロセスが、AIの学習プロセスに変化しただけであり、専門知識と多くの検討期間が必要です。そのため、事前検証に多大なコストがかかってしまいます。オムロンは、検査の自動化に取り組んできた自社ノウハウと技術を活用することにより、安定した欠陥抽出を実現します。また、生産現場でAIが当たり前のように使えるよう、これらの技術を画像処理システムに組み込み、すぐに導入いただける環境をご提供します。
専門知識や学習不要で簡単に導入
対象アプリを“傷”に特化し、AIフィルタとして提供します。また、撮影画像の良品・不良品状態をAIにより安定的に推測できるAIマッチング技術を活用することで、大量な画像でのAI学習や、AIを学習させるためのエンジニアの確保が不要となります。
AI専用のハードウェア不要で現場設置が可能
市場で実績のある画像処理システム FHシリーズに処理項目「AIマッチング」「AIフィルタ」を搭載。これまでは導入にはハードウェアの準備や、現場で安定稼働できる品質担保への多大なエンジニアリング工数が課題でしたが、画像処理システムに組み込むことで現場設置への専門知識が不要です。
解決への実現方法
Point.1
熟練検査員の目視検査を再現するAI技術AI欠陥抽出技術
AIの動作をフィルタ処理として可視化。熟練検査員のように条件定義なしで欠陥を確実に抽出
AIにより欠陥を“欠陥”として認識することが可能になります。人の感性のように欠陥を認識できるので、立ち上げ難易度と検査バラつきの低減に寄与します。
AI差分検出技術
AIによるモデル推定技術により
熟練検査員のように良品バラつきを許容し、欠陥箇所のみ抽出
AIを活用することで、熟練検査員のように良品不良品判定に幅を持たせることが容易になります。良品状態がバラついてもバラつきを吸収し、不良箇所のみを安定抽出できます。
Point.2
汎用画像処理システムにAI画像処理エンジンと学習データを全て内蔵最適化技術によるコンパクトなAIエンジンを内蔵
ワンパッケージ化で簡単導入
Point.1でご紹介している2つのAIの機能を、画像処理システムFHシリーズに搭載し提供いたします。簡単に導入いただけるので、AIの導入障壁を低減できます。