オムロンは、「FOOMA JAPAN 2019(国際食品工業展)」(2019年7月9~12日、東京ビッグサイト)において、食品製造における協働ロボットの活用をイメージしたデモンストレーションを披露した。
デモラインは、番重に積まれた中食を取り出してベルトコンベヤーに流し、蓋に貼られたラベルの消費期限などをスマートカメラで検品した上で、再度番重につめるという流れになっている。
このラインでの作業は3人の作業員と3台のロボットで行っている。中食を積んだ番重を運ぶ作業は2台の搬送ロボットが、番重から中食を出したり、中食を番重につめたりというピッキング作業は協働ロボットの「TMシリーズ」が担当する。
デモの見せ場になるのが、TMシリーズの担当を、最初に行っていた番重から中食を出す作業に替えて、中食を番重につめる作業に変更する場面だ。カート台に搭載されているTMシリーズを目的の位置に移動させるだけで、新しい作業を遅滞なく行える様子を示して見せた。
一般的に、産業用ロボットの作業の位置や内容を変更するにはキャリブレーションをはじめとした専門家による対応が必要であり、協働ロボットであってもこれは同じだ。しかし生産現場にそういった専門家がいるとは限らず、協働ロボットに求められる柔軟な作業変更を実現する上で課題になっている。
TMシリーズはアームの先端にビジョンセンサーが標準で装着しており、ラインに設置したランドマークを読み取ることでキャリブレーションを自動で行える。先述のデモはこの機能によって実現されている。また、作業内容のティーチングについても現場の作業員でも行えるような容易さを特徴としている。
オムロンの説明員は「今回のデモの作業員として、ロボットのことをよく知る当社の社員が務めるのではなく、専門的な知識を持たないアルバイトを雇っている。このように、専門家でなくても協働ロボットの作業変更を容易に行えることはTMシリーズの大きな強みだ。食品製造業から評価したいという多くの問い合わせもいただいている」と述べている。