五洋食品産業株式会社様
ケーキ製造 クッキングシート挿入作業自動化事例

人の複雑な動きをロボットで再現。
3人分の作業を省力化

海外現地生産も見据えた、冷凍ケーキのパイオニア

五洋食品産業株式会社様(以下 五洋食品産業)は“ストックできるスイーツ”として冷凍ケーキを開発・製造・販売するパイオニア企業です。解凍時に出来たての味を再現できる冷凍ケーキを1日15万食、生産・出荷し、お客様へ安定供給されています。
2010年には福岡県糸島市に新設した糸島工場を拠点に、確かな技術、徹底した品質管理のもと、主力製品のベイクドチーズケーキやモンブランを、自社ブランド製品のほか、業務用OEMとして日本全国をはじめ海外へ出荷しています。さらには海外での現地生産を視野に、設備の拡充を手掛けています。

五洋食品産業株式会社

五洋食品産業株式会社

動画でみる 五洋食品産業様との共創ストーリー「3人分の省力化事例」

課題

人手不足でも生産を継続していくための自動化

独自の製法による味の良い冷凍ケーキへのニーズが高まり、増加する受注量。糸島工場では増員・残業でしのいできましたが、2013年頃から人手不足に直面し、それまでのやり方に限界が見えはじめていました。
ケーキの製造には、焼き型にクッキングシートを敷き詰める工程があり、これまでは人の手作業でおこなってきましたが、作業現場は暑く、過酷な環境のため人材確保が困難になっており、このままでは近い将来、生産が継続できなくなるリスクがありました。

人の手作業によりケーキ焼き型にクッキングシートを敷き詰める

解決策

自由度の高い垂直多関節ロボット
+独自のハンドで複雑な人の動きを再現。
1時間で600個の焼き型へシートを挿入

ケーキの焼き型の側面に敷き詰めるためのシートをハンドに巻きつける

ケーキの焼き型の側面に敷き詰めるためのシートをハンドに巻きつける

経済産業省のロボット導入実証事業に応募して認可を受け、製造工程へのロボット導入の具体化へ着手されました。 同じ動作を繰り返す定型作業にはロボットによる自動化が有効と考えていた中で、人材確保が困難となっていたケーキの焼き型にクッキングシートを敷く工程を、最初のロボット導入対象に選定。ロボットの導入のための情報収集に出向いた展示会をきっかけに、オムロンから具体的なご提案をしたことがを共創のはじまりでした。この提案により、垂直多関節ロボット(Viper)の導入が決定、自動化を実現しました。
ロボットのアームに、独自の側面シート挿入用のハンドを装着。供給機から送り出されるシートをハンドに巻きつけ、ケーキの焼き型の側面に敷き詰めるという、人の複雑な動きを必要としていた作業を再現できました。焼き型には複数のサイズがあるため、焼き型に合わせたハンドの持ち替え、段取り替えにも対応可能です。焼き型の底面シート挿入用のハンドは、シートを吸着して焼き型に挿入します。処理時間は約6秒/個で、1時間あたり約600個の作業が可能です。

シートを吸着して焼き型の底面へ挿入

シートを吸着して焼き型の底面へ挿入

作業者用操作パネルからの段取り替え指示で焼き型に合わせたハンドへ交換

作業者用操作パネルからの段取り替え指示で焼き型に合わせたハンドへ交換

成果

作業者3人分の省力化を実現

2018年に、3700万円の補助金を活用して設備投資を実施。9人の作業者で7200個/日の生産数を、導入後まもなく6人で実行できるようになり、3人分の省力化を実現できました。

9人の作業者で7200個/日の生産数を、導入後まもなく6人での実行へ労働生産性を向上

お客様の声

作業員の負荷軽減と、生産ライン全体での効率化へ

従業員を楽にしたいという思い、そこから生まれてくるものが大きかったので早く実現したかったのです。そしてこの実現によって、もっとフットワーク軽く、他にも展開していけると考えて取り組みました。たとえば、今後は工程と工程をつなぐ搬送工程も自動化したいと考えています。製品をラックに一度片づけて引き出すような、人が行うからこそ必要な、無駄に見える工程があります。
また、重い容器を洗浄する作業なども自動化できれば、作業員の負荷軽減につなげられます。ロボット導入だけではなく、生産ライン全体での効率化をできる限り早く実現したいと考えています。

執行役員 技術戦略室長 田村 勇気様
執行役員 技術戦略室長
田村 勇気様