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サーボモータ/サーボドライバ 用語解説


サーボモータは、サーボドライバとセットで使用し、サーボシステムを構成し、負荷を駆動するモータ部と、位置検出器(エンコーダなど)で構成されます。ここではサーボモータ、サーボドライバの用語を解説します。

概要用語解説
参考資料 

関連情報


性能仕様

●実効トルク

モータが運転中に発生しているトルクを平均化(2乗平均)したものです。
この値よりも大きな定格トルクをもつモータを選定します。
単位(N・m)

●トルク定数

モータに電流を流すと、この電流と界磁の磁束とによりトルクが発生します。
この電流と発生トルクとの関係のことです。この値が大きいほど制御のための電流が小さくてすみます。
単位(N・m/A)

●パワーレート

パワーレート=(定格トルク)2/ロータ・イナーシャ×10-3で表します。
この値が大きいほど応答性の良いモータです。
単位(kW/s)

●ロータイナーシャ

ロータ(回転子)の慣性モーメントを示し、記号(Jm)で表します。
この値が小さいほど応答性が良くなります。
単位記号(kg・m2

●適用負荷イナーシャ

ドライバが制御できる負荷イナーシャの範囲のことです。
これは、ゲインの調整範囲、回生吸収能力により制限されます。
単位(kg・m2

●定格出力

定格出力Pは、モータから取り出せる機械的な出力のことです。
定格トルクTと定格回転数Nとの間には次の関係があります。
P=0.105×T×N

●電気的時定数

モータに電源電圧を投入したとき電機子に流れる電流の過渡応答時間のことです。
電気的時定数=電機子インダクタンス/電機子抵抗で表します。
この値が小さいほど電流波形を速く立ち上げることができるので電気的な応答が速いです。

●バックラッシュ

機械系には、ほとんどといってよいほど正転(正方向)と逆転(逆方向)との間に、不感帯に類する差を生じます。(たとえばギヤは、正転→逆転時にすき間分余分に一次側を回転させる必要があります。)
これをバックラッシュと呼びます。
単位は「分」、1回転=360度 1度の1/60=1分となります。
したがってバックラッシュの数値が小さいほど、不感帯に類する差(ガタ)が少ないです。

●回生抵抗

回生エネルギー(モータが回転することでモータ自身から発生するエネルギー)を吸収する抵抗のことです。
サーボドライバは、モータ減速時などに発生する回生エネルギーを、ドライバ内部の回生処理回路で吸収して、直流電圧の上昇を防止しています。
しかし、モータからの回生エネルギーが大きくなりすぎると、過電圧異常が発生します。
この場合には、動作パターンを変更するなどの回生エネルギーを小さくする処置、または、外部回生抵抗を外付けすることによる回生処理能力向上の処置が必要となります。

●振動階級

モータが無負荷で定格回転数で回っているときのモータの軸部分の振動を測定したものです。
振動を全振幅で測定し、5階級に分けています。

●位置制御モード

制御モードのうち、コントローラから位置指令を入力して、それを目標とした位置制御を行うモードのことです。

●クローズドループ

コントローラに指示された位置と実際のモータの位置を比較する制御方式です。
エラー信号はコントローラに返され、システムに適切な位置を正確に指示するために使用されます。
位置だけでなく、速度、加速度、トルクにもとづいてクローズドループ制御を行うこともできます。
フィードバックを使用しないモーション制御方式を「オープンループ」と呼びます。

●オープンループ

アクチュエータの指示と移動結果を比較しない制御方式です。
コントローラがモータに移動を指示した場合、要求された移動が完了したものと想定します。

●制御ループ

プロセス制御では、フィードバックと誤り訂正を使って別の変数を調整することにより、目的の変数を調整することをいいます。
モーション制御では、速度、加速度、位置、トルクに対して制御ループを設定します。

機能仕様

●リアルタイムオートチューニング

機械の負荷イナーシャをリアルタイムに推定し、その結果に応じたゲインを自動的に設定して機械を動作させます。
同時に適応フィルタを有効にして動作させると、共振や振動を低下させることもできます。

●マニュアルチューニング

ゲイン調整方法の1つです。動作パターンや負荷条件などの制約によりオートチューニングできない場合や、個々の負荷に合わせて最高の応答性を確保したい場合などに、マニュアルチューニングを行います。

●ノッチフィルタ

特定の周波数の成分をなくすフィルタです。
ノッチフィルタで共振ピークを抑制することで、ゲインをより高く設定したり、振動を低減したりすることができます。

●外乱オブザーバ機能

外乱トルク推定値を用いることで、外乱トルクによる影響を減らし、振動を低減します。

●摩擦トルク補償機能

機械系に存在する摩擦の影響を低減する機能です。

●ハイブリッド振動抑制機能

モータと負荷とのねじれ量に起因する振動を抑制する機能です。

●フィードフォワード機能

指令値にフィードフォワード値を加算することで制御系の応答性を高める機能です。

●瞬時速度オブザーバ機能

負荷モデルを用いてモータ速度を推定することで、速度検出精度を向上させ、高応答化と停止時振動の低減を両立させる機能です。

●セーフトルクオフ機能

セーフトルクオフ(STO)機能とは、セーフティコントローラやセーフティセンサなどの安全機器からの入力信号によってモータ電流を遮断し、モータを停止させる機能です。

●回生エネルギ吸収

サーボドライバは、モータ減速時などに発生する回生エネルギを、ドライバ内部のコンデンサにより吸収します。
内部コンデンサで吸収しきれない場合は、内部回生抵抗により吸収します。

●回生エネルギー

モータが発電機となって電力を発生することです。
減速時や外力や重力により加速される時に発生します。
サーボドライバの回生吸収能力を超えないよう設計します。

●正転側駆動禁止/逆転側駆動禁止

装置の限界入力を接続することにより、装置の稼働領域外にモータを回転させない機能です。
正転側駆動禁止、逆転側駆動禁止がOFF したときにモータの回転を停止させます。

●制振制御

剛性の低いメカや装置の先端が振動するようなメカを使用する場合の振動を低減する機能です。

●内部設定速度制御

パラメータに指定された速度によって、モータを速度制御する機能です。

●電子ギア

指令パルスに電子ギヤ比をかけたパルス数によって、モータを回転させる機能です。
同期させたい2つのラインの位置/速度を微調整したいとき、指令パルス周波数が低い位置制御コントローラを使うとき、1パルスあたりの機械の移動量を、たとえば0.01mmのように設定したいときに使います。

●トルク制限

モータの出力トルクを制限する機能です。
一定の力で機械(可動部)をワークなどに押しつけたいとき(曲げ機械など)、機械系に過大な力・トルクを加えないようにして、モータおよび機械系を保護したいときなどに使います。

●位置指令フィルタ機能

指令パルスに対して、 選択されたフィルタでソフトスタート処理を行い、緩やかに加速減速させる機能です。
位置指令フィルタ時定数設定でフィルタの特性を選択します。
指令パルス(コントローラ)に加減速機能がないとき、指令パルスの周波数が急激に変化し、 機械が加減速時に振動するとき、電子ギヤ比の設定が大きい時に使用します。

●位置ループゲイン

位置ループゲインが低いと立ち上がり、立ち下がりがゆるやかで位置決めの時間が長くなります。
位置ループゲインが高いほどサーボの追従性がよくなり位置決め速度が上がりますが、高くしすぎるとオーバーシュートして乱調となったり、ハンチングを起こしたりします。

●インクリメンタル指令

現在いる位置から目標位置の間の移動量を指令します。

●絶対値指令

原点を基準とした指令値で移動量を指令します。
したがって、原点にいるとき以外は移動量と指令値とが、異なった値となります。

●偏差カウンタ

アップ/ダウンの2進カウンタで位置指令パルスと位置フィードバックパルスとの差が偏差カウンタのたまりパルス量となります。このたまりパルス量がD/A(デジタル/アナログ)変換器によりアナログ電圧に変換され速度指令電圧となります。

●絶対位置

過去の位置を参照しないで、空間内の位置を完全に記述する位置情報です。

●絶対位置決め

過去の位置を参照しないで、空間内の特定の位置に装置や資材を直接移動することです。

●位置決め完了信号

位置決めが終了したときに発生する信号のことです。
偏差量がパラメータであらかじめ設定した偏差範囲内になったときONします。
主に位置決め後の別の作業を起動するのに使用します。
インポジション信号(INP)

●ブレーキ付モータ

電磁ブレーキが付いたモータのことです。

●電磁ブレーキ

サーボオン時、アラーム発生時、サーボオフ時に保持ブレーキを動作させるブレーキインタロック(BKIR)信号の出力タイミングを設定する機能です。
ブレーキ付モータ使用時に出力タイミングをパラメータで設定します。
保持ブレーキは垂直軸などのアプリでワークの落下防止に使用します。

●ダイナミックブレーキ(DB)

停電時やサーボアンプが故障したとき、サーボモータの端子間を抵抗器を介して短絡し、回転エネルギーを熱消費させて速やかに停止させるブレーキ機能です。
電磁ブレーキより大きなブレーキトルクが得られます。
ただし、停止時の保持トルクはないのでメカブレーキをかけて保持させることが必要です。
メカ保護のために行います。

●フリーラン

モータをサーボオフ状態にし、惰性回転させることです。

●非常停止トルク

異常検出時にパラメータで設定したトルクで停止します。

その他

●絶対値エンコーダ付サーボモータ

電源投入時に自分が1回転内のどの位置にいるかを判定できる回転板をエンコーダの中に持っています。産業用ロボットや多軸の搬送機などでは、電源投入時に自分がどの位置にいるか管理し、停電時の迅速な復旧対応やオペレータの誤動作が防げるなどの効果が期待できます。
なおこのモータを使用時には、電池などでバックアップが必要です。

●インクリメンタルエンコーダ付サーボモータ

インクリメンタルエンコーダ付モータは、絶対値エンコーダ付モータと違い、電源投入時には自分がどの位置にいるかは分かりません。
したがって、位置決めする際には必ず、原点サーチが必要になります。

●エンコーダ分周機能

ドライバから出力するエンコーダ信号のパルス数を任意に設定できる機能です。
応答周波数が低いコントローラを使うときやパルスレートをわかりやすい値に設定したいときに使います。

●サーボモータ

サーボドライバとセットで使用し、サーボシステムを構成します。
負荷を駆動するモータ部と、位置検出器(エンコーダなど)を有します。

●サーボドライバ

サーボモータとセットで使用し、サーボシステムを構成します。
PLCなどからの指令に従い、モータを駆動し、エンコーダなどの信号を受けてフィードバック制御を行います。

●減速機

モータの回転速度を落とし、トルクを増やす動力伝達機構
減速比:1/R ・減速機効率:η とすると、
・速度:1/R倍 ・トルク:R×η倍 ・負荷イナーシャ:1/R2倍となります。

●巻線抵抗

コイルの線抵抗のことです。

●アクチュエータ

空気圧、水圧、電気のいずれかを使って機械的なモーションを生成するデバイスのことです。
工業用の多くのアクチュエータは電気モータで駆動されています。

●ボールねじ

リードねじの1種。ねじ部分のスレッドをキャリッジ部分のボールベアリングで引っ張ります。
機械効率が高く、運動時の消費動力が少ないので、高い剛性・高い信頼性を有しています。
主に高速・高精度の機械に使用されています。

●ラック アンド ピニオン

回転動作を直線動作に変換する装置です。
通常、外側に歯が刻まれた回転歯のピニオンと、内側に歯が刻まれた直線歯のラックで構成されます。

●軸受

回転や往復運動する軸を支える部品のことです。

●カップリング

軸と軸をつなぐために使われる部品のことです。

●タイミングベルト

プーリと組み合わせることにより、回転運動を直線運動に変換する動力伝達機構です。
プーリの直径をDとすると、1回転当たりの移動量はπDとなります。
タイミングベルトは、プーリとベルトの間で滑りが生じないように、歯形が付いていて、互いに噛み合って回転します。

●プーリ

滑車、ベルトに回転を伝える部分(回転体)のことです。

●ベアリング

機械などで、固定部と回転部の間にあって、回転部を支える機械部品のことです。

●同期モータ、誘導モータ

同期モータ:回転子(ロータ)に磁極を持ち、磁界の動きに同期して動きます。
誘導モータ:磁界の動きに遅れて動きます。
回転子はアルミ、銅などの非磁性体で、固定子(ステータ)の回転磁界によって、回転子に誘導電流が生じて、それが磁極を作り回転する仕組みとなります。

●剛性(スティフネス)

物体の外力がかかると元の形を維持しようとする性質のことです。
剛性が高いほど、元の形を維持する能力が高いです。
剛性が低いほど、外力に対して伸びたり縮んだりします。

●慣性(イナーシャ)

物体の現在の運動状態を保とうとする性質のことです。
物体の質量、形状、移動軸に依存します。


最終更新日:2025年04月14日